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宇宙から還りし王第20回人類初の恒星間船アンバサダー号には25人の乗員がいて 地球を目指し30年が。宇宙船に入り1人の生体反応が。「ロバート・H・ネイサン」の名前が

2020年01月24日 |  宇宙から還りし王(山稜王改題)
UK宇宙から還りし王(ハーモナイザー01)■新宇宙への門「タンホイザーゲイト」から帰還したネイサンはゼルシア国自然保護地区ラシュモア山で王国を建設。自ら発する言葉で人類を次の高みへと進化させようと。
この小説のURL : https://ncode.syosetu.com/n1598de/20/
 
宇宙から還りし王第20回人類初の恒星間船アンバサダー号には25人の乗員がいて 地球を目指し30年が。宇宙船に入り1人の生体反応が。「ロバート・H・ネイサン」の名前が
 

宇宙から還りし王(山稜王改題)第20回

(1978年作品-2020年改稿)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

 

 「こいつはまるでジャングル密林の中だ。コードというつたが機械という枝や

 根を包みこんでいる」

解析官ラマが言う。

 

  その時、解析士ヨーマンが叫んでいた。

  「生体反応あり」

  「どのあたりだ」

ラマは別のモニターをONした。

 

アンバサダー号の立体設計図がプロジェクトされモニターに同化さ

れた。

「中央部、冬眠チ『一Iブ付近です』

「冬眠チューブだと、古いタイプだな、通称「コフィン(棺桶)」だな」

「解析官、これを見て下さい」

「何だ」

「これは上部からコフィン付近を見た分析図ですが、何かおきづき

になりませんか」

 

 「というと、うん、コードがすべて一つのコフィンにつながってい

るな」

 

 「いや、私にはコフィンから全てのコードが生え出ている

ような気がします」

 

 「なぜ、こうなっているんだ。アンバサダー号、中心頭脳にリサー

チしろ」

「中心頭脳端子発見しました」

「よし、探素子を端子へ入力」

「入力OK」

 

「可動しているか」

「死んでいるようです」

「刺激を与えてみろ」

「ラジャー」

 

高圧電流が放電された。

「どうやら可勤し始めた様です」

「で、中心頭脳の情報はひき出せるか」

「やってみます」

 宇宙ステーションDELの中央脳に、アンバサダー号中央頭脳の

情報が転位された。

 「転位OK。終了しました」

 

 「じゃ、遭難時の情報をひきだせ」

 

解析士ヨーマンはコンソールを操作する。が思ったような答えがモニター

に現われない。何度もその作業をくりかえす。別のアクセスを次々

試みる。

「ラマ解析官。だめです。遭難時のデータが出力しません」

「なぜだ」

「この頭脳の情報は答えています。アンバサダー号は遭難していな

いと」

 

 宇宙ステーションDEL司令室はとりあえず、宇宙船アンバサダ

ー号の冬眠チューブをとり出すことにした。

 

マニュピュレーターにより、通称コフィンが、コードから次々に

切りはなされる。

 

「生体反応、異常はないか」

「OKです。変化なし」

 

 生命維持コフィンは、船体アンバサダー号から切りはなされるの

をいやがっているように、ョーマンには見えた。がこんな事を口に

出すべきではない。

 

モニターを見ている他のステーションの乗組員は、その風景を一

種畏敬の念を持ってながめていた。

 

 生体反応はその一つだけ。つまり生体反応が人間とすれば一人だ

け生きていることになる。

 

 そのモニターを見ていた人々はフンバサダー号の一片、わずか1

9平方の板がすべり落ち、マニュピュレーターの裏に隠れて、宇宙

ステーション中に侵入したのに気づいていなかった。

 

その金属片は、生き物の様に居住区を通りすぎ、地球行きのシ々トルの中へ潜り込んだ。

 

 見物人たちは息を飲んだ。いよいよコフィンが無菌室へ運び込ま

れた。

 

 アンバサダー号には25人の乗員が乗り込んでいた。そして地球を

出発して30年の月日が立っている。その間、アンバサダー号に何か

がおこったのだろうか。そしてタンホイザーゲイトには辿りつけた

のだろうか。

 

 コフィンの中をカメラが映す。

 

ネームプレイトがその男の胸につ

けられていた。人々はモニターを通じ、その男の名前を口にしていた。

 「ロバート・H・ネイサン」

 

(続く)

■宇宙から還りし王(山稜王改題)

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



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