新宿・・・八王子・・・
甲府を通り過ぎた記憶はない。
車掌に起こされた時には、目的地に着いていた。
鱗仲間の伊藤さんも、車掌に起こされていた。
伊藤さんに、
“顔に寝ぐせが、ついています。”
と、冷静に指摘されて我にかえった。
“涼しいですね。”
“そうですね。”
伊藤さんの頭の中には、鱗の事しかないだろうから、それ以上は話かけなかった。
チェックインして、最上級の部屋に案内された。
“わー、、、凄い。
私のマンションの何倍だろう。”
“うちだって、そうですよ。”
冷蔵庫の飲み物は飲み放題、
お菓子も食べ放題らしい。
すぐに、夕飯がぞろぞろと出されてきた。
多分、現代風の懐石料理というモンなのだろう。
“すごいねー。”
“すごいよねー。”
黙々と、消化していく伊藤さんと私。
デザートを食べ終わった時、伊藤さんが、
“でも、野沢菜が一番、おいしかった。”
と、言った。
私もそう思ったけれど、私はお金を払っていないので、
“So do I”
と、控えめに、言ってみた。
“そうだ、伊藤さん。
私ね、温泉に泊まる時にはね、ラップと海苔と、お塩と梅干を、必ず持って来るんです。旅館によって様々ですが、今日みたいにごはんがお櫃に入って来る時は、大体ご飯って残るので、おにぎりを握るんです。
おにぎりを作っておきますね。”
“えー、すごいね。”
伊藤さんは、私が取り出したラップや海苔やお塩をもの珍しそうに、眺めた。
“いいえ、私は、だめだめ女です。
子供は産めないし、料理は好きではありません。
でも、おにぎりだけは自信があります。”
“冷蔵庫に、野沢菜が入っているよ。”
冷静だった伊藤さんが、ちょっと嬉しそう、よかった。
“ここにラップでくるんでおいて置きます。
温泉は、夜中から明け方前の、人が少ない時が良いと思います。”
“僕もそう、思います。
仮眠をとるのは危険だと思うので、起きて待っています。”
“はい、仮眠はだめです。”
でも、と、私は続けた。
“あずさ号であれだけ寝たから、夜中まで起きていられますよね。”
甲府を通り過ぎた記憶はない。
車掌に起こされた時には、目的地に着いていた。
鱗仲間の伊藤さんも、車掌に起こされていた。
伊藤さんに、
“顔に寝ぐせが、ついています。”
と、冷静に指摘されて我にかえった。
“涼しいですね。”
“そうですね。”
伊藤さんの頭の中には、鱗の事しかないだろうから、それ以上は話かけなかった。
チェックインして、最上級の部屋に案内された。
“わー、、、凄い。
私のマンションの何倍だろう。”
“うちだって、そうですよ。”
冷蔵庫の飲み物は飲み放題、
お菓子も食べ放題らしい。
すぐに、夕飯がぞろぞろと出されてきた。
多分、現代風の懐石料理というモンなのだろう。
“すごいねー。”
“すごいよねー。”
黙々と、消化していく伊藤さんと私。
デザートを食べ終わった時、伊藤さんが、
“でも、野沢菜が一番、おいしかった。”
と、言った。
私もそう思ったけれど、私はお金を払っていないので、
“So do I”
と、控えめに、言ってみた。
“そうだ、伊藤さん。
私ね、温泉に泊まる時にはね、ラップと海苔と、お塩と梅干を、必ず持って来るんです。旅館によって様々ですが、今日みたいにごはんがお櫃に入って来る時は、大体ご飯って残るので、おにぎりを握るんです。
おにぎりを作っておきますね。”
“えー、すごいね。”
伊藤さんは、私が取り出したラップや海苔やお塩をもの珍しそうに、眺めた。
“いいえ、私は、だめだめ女です。
子供は産めないし、料理は好きではありません。
でも、おにぎりだけは自信があります。”
“冷蔵庫に、野沢菜が入っているよ。”
冷静だった伊藤さんが、ちょっと嬉しそう、よかった。
“ここにラップでくるんでおいて置きます。
温泉は、夜中から明け方前の、人が少ない時が良いと思います。”
“僕もそう、思います。
仮眠をとるのは危険だと思うので、起きて待っています。”
“はい、仮眠はだめです。”
でも、と、私は続けた。
“あずさ号であれだけ寝たから、夜中まで起きていられますよね。”