裏やまちゃんchronicle

日常も非日常もまだまだ続きます。

かえれないのに

2006年09月20日 | “I”novel
出張からの帰り。
目的のホームに続く階段を降りる。
隣のホームから、発車のベルが鳴り響く。
ふと、視線を預けると、
(あっ・・・。)
あの特急に乗れば、あの場所に行けるんだ。
どうする?
今飛び乗れば、確か2時間後にはあの場所に着くはず。
・・・知っている。
私は、飛び乗らない。
特急は、無表情のままホームを滑り出した。
帰りの東京行きの新幹線の指定席なんて、紙切れに過ぎない。
飛び乗れなかったのではなく、
飛び乗らなかったの私。
だって・・・。
もう、あのマンションは、別の誰かが住んでいるはず。
あの山が遠くに見えた、あの最上階の部屋は、
もう私の住処ではない。
帰りたいな・・・。
帰りたいよ・・・。

東京がすき。
東京がすきなの。
あの頃の私はいないけれど。

もうすぐ。
誰かと出会う。
そして、すきになる。
でも、誰だかわからない・・・。

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