春も夏も秋も、東京タワーは、いつも見ているから。貴方を。
「優しい」という言葉を使うのに、私は抵抗がある。
はっきり言ってしまおうかな、耳障りな言葉だって。
「優しい味がする」って、なんじゃそりゃって、思う。気持ち悪い。
そこまでの嫌悪感は無いけれど、「まったり」「ほっこり」も、私は絶対に使わない。
「優しい」に、どうして私、こんなにも反応するのだろう。 . . . 本文を読む
軽く目を閉じて、
「もう、帰る」
って、呟いて。
そっと、目を開けば。
もうひとつの世界。
ほら、橋の真ん中で、コートの裾がばたばたしているのが、見えるでしょう?
あれが、貴方。
「実は私。
ずっと、黙っていたけれど。
名字が変わっていた時期があるの。
男の人と暮らしていたの。案外、のほほんと、やり過ごしていたのよ。」
今日はちょっと、泣きたくなった。
何かもう…。
「ダメなのかな」
っ . . . 本文を読む