体罰について考える
(34号 2013年1月19日)
大阪の強豪高校バスケットボールチームのキャプテンの自殺が大きなニュースとなっています。彼は指導者による体罰によって追い詰められ、自死という選択をせざるを得なかったようです。
この報道に接し、バスケットボールの関係者としてより強い関心を抱くと同時に、何とも言えない嫌悪感を持ってしまうのは私だけではないでしょう。それは何だろうか、そのことについて考えてみたいと思います。
そもそも「体罰」とはある罪に対して直接体に苦痛を与える罰のことです。では、バスケットボールのゲーム中または練習中における「罪」とはいったいどのようなものであろうか、いくら考えても思いつきません。果たしてスポーツをする中で罰を与えられるほどの罪は発生するのでしょうか。もし、罪が発生するとしたら(手を出したくなったら)それは紛れもなく指導者自身の思い上がった逆鱗に触れただけのことであります。「意にそぐわない」、「気に入らない」ということが罪の判断基準になっているのです。
この事件に対する嫌悪感は指導者の暴力の裏に隠されている当人の生徒を見る目を感じてしまうからでしょう。彼にとって生徒は道具、指導者を有名にしてくれる存在として捉えていたのではないかという嫌な感じが伝わってきます。暴力こそないにしても優秀な生徒を集めて全国的に有名な高校にしようとする人たちの魂胆は同根です。つまり、生徒を道具と見ているのです。これこそが嫌悪感の正体ですね。
指導者にとって、いいチームを作りたい、もっと高いレベルのバスケを目指したいというのは当然の願いです。良い選手にも集まってもらいたい。これも理解できることです。誰でも指導者は理想のバスケットボールを頭に描いていますが、これを現実のものにしていくには、実は指導者の資質向上以外に方法はありません。とにかく指導者が勉強し続け、指導力の向上を図るしかないのです。
我々ミニバスの指導者は指導力の向上以外にももうひとつ大切なことをいつも意識しておいて欲しいと思っています。それは、ミニバスを通して子どもたちの心の成長を図っていくということです。長い人生の中で最初に出会うのがミニバスというスポーツとしたら、そこでスポーツの楽しさを味わい、生涯体育に結びつけていけばそれだけで大成功ではないでしょうか。チームメートと協力したり、苦難を乗り越えたり、相手を大切にしたりと運動が持つ人格形成の機能を大いに発揮させることも子どもたちのスポーツにとっては大切なことであります。
我々の取り組んでいるミニバスは子どもたちの健全育成という大きな目標があるということをここで再確認しておきたいと思います。家庭生活、学校生活などをちゃんとやって運動も楽しむバランスのとれた生活こそこの時期の子どもたちにとっては大切なのです。このことが理解できない指導者、勝利ばかりに目が行く指導者は子どもたちにとって有害な存在なのではないでしょうか。
(34号 2013年1月19日)
大阪の強豪高校バスケットボールチームのキャプテンの自殺が大きなニュースとなっています。彼は指導者による体罰によって追い詰められ、自死という選択をせざるを得なかったようです。
この報道に接し、バスケットボールの関係者としてより強い関心を抱くと同時に、何とも言えない嫌悪感を持ってしまうのは私だけではないでしょう。それは何だろうか、そのことについて考えてみたいと思います。
そもそも「体罰」とはある罪に対して直接体に苦痛を与える罰のことです。では、バスケットボールのゲーム中または練習中における「罪」とはいったいどのようなものであろうか、いくら考えても思いつきません。果たしてスポーツをする中で罰を与えられるほどの罪は発生するのでしょうか。もし、罪が発生するとしたら(手を出したくなったら)それは紛れもなく指導者自身の思い上がった逆鱗に触れただけのことであります。「意にそぐわない」、「気に入らない」ということが罪の判断基準になっているのです。
この事件に対する嫌悪感は指導者の暴力の裏に隠されている当人の生徒を見る目を感じてしまうからでしょう。彼にとって生徒は道具、指導者を有名にしてくれる存在として捉えていたのではないかという嫌な感じが伝わってきます。暴力こそないにしても優秀な生徒を集めて全国的に有名な高校にしようとする人たちの魂胆は同根です。つまり、生徒を道具と見ているのです。これこそが嫌悪感の正体ですね。
指導者にとって、いいチームを作りたい、もっと高いレベルのバスケを目指したいというのは当然の願いです。良い選手にも集まってもらいたい。これも理解できることです。誰でも指導者は理想のバスケットボールを頭に描いていますが、これを現実のものにしていくには、実は指導者の資質向上以外に方法はありません。とにかく指導者が勉強し続け、指導力の向上を図るしかないのです。
我々ミニバスの指導者は指導力の向上以外にももうひとつ大切なことをいつも意識しておいて欲しいと思っています。それは、ミニバスを通して子どもたちの心の成長を図っていくということです。長い人生の中で最初に出会うのがミニバスというスポーツとしたら、そこでスポーツの楽しさを味わい、生涯体育に結びつけていけばそれだけで大成功ではないでしょうか。チームメートと協力したり、苦難を乗り越えたり、相手を大切にしたりと運動が持つ人格形成の機能を大いに発揮させることも子どもたちのスポーツにとっては大切なことであります。
我々の取り組んでいるミニバスは子どもたちの健全育成という大きな目標があるということをここで再確認しておきたいと思います。家庭生活、学校生活などをちゃんとやって運動も楽しむバランスのとれた生活こそこの時期の子どもたちにとっては大切なのです。このことが理解できない指導者、勝利ばかりに目が行く指導者は子どもたちにとって有害な存在なのではないでしょうか。