バスケと勉強
(第28号2012年4月24日)
今回の話は卒業した子供たちのことです。先日、あるコーチと話す機会がありました。このコーチのチーム、とても強くてどの大会に出てもある一定のところまでは勝ち上がっていました。6年生がたくさんいてどの子もとても能力が高そうに見えました。私がこのコーチに問いたかったのは、みんな中学校に入ってバスケットボールをやっているかということでした。返ってきたのは、「とんでもない。誰がバスケ部に入るものか。」という意外な返事でした。私はてっきりみんなそのままバスケットボールを続けているものとばかり思っていましたからびっくりです。
その中学校はバスケットボールでは強豪校です。コーチいわく「バスケだけ一生懸命の先生のところに子供たちを預ける親はおらんよ。日曜もなくバスケだけやって勉強には全く関心のない人を誰が信頼しますか。」「親と子が中学校生活に求めているのは勉強と運動の両立ですよ。」
このコーチの話、私にとっては衝撃的でした。小学生でバスケが上手、だから中学生になっても続けてがんばるという当たり前みたいなストーリーを考えていた私にとって、中学校では「勉強と運動の両立」という至極まともな意見です。
このことは、「なぜミニバスをするのか」という根本的なところに考えをもっていかなければ思い至ることが難しいと思われます。子供たちにとってミニバスは運動を楽しむひとつの手段なのでしょう。運動としてのミニバスをやっているうちにその面白さに気づき、益々やってみたいと思うようになる。それは子供を取り巻く他のすべての生活を初めから犠牲にしてバスケに打ち込むということとは本質的に違っています。なぜなら運動も子供たちの健全な育ちの中で必要なひとつの要素に過ぎないからです。それを我々はとかく勘違いをしてしまいます。バスケ一筋に打ち込んで、将来の大選手を期待してしまいます。でも、本当の大選手は運動能力だけでなく知力にも優れた人です。勉強と運動の両立ができた人の中から結果的に出てきた人が大選手なのではないでしょうか。
小学生のミニバスはどうあるべきか、答えは出ているのではないでしょうか。子供たちには子供たちの生活があります。その中のひとつとして運動の領域もあるべきですし、それ以外に子供たちの成長には欠かせないいろいろな生活(家庭生活、学校生活、遊び、勉強、自由時間など)があります。要は生活のバランスと思われます。
我々ミニバスの指導に関わる者は、ミニバスの活動を児童の健全育成の助けになるもののひとつとして子供たちの全生活を意識しながら進めていってほしいと思います。
勝利のために子供たちの全生活を犠牲にすることを求めてはいけないのです。
(第28号2012年4月24日)
今回の話は卒業した子供たちのことです。先日、あるコーチと話す機会がありました。このコーチのチーム、とても強くてどの大会に出てもある一定のところまでは勝ち上がっていました。6年生がたくさんいてどの子もとても能力が高そうに見えました。私がこのコーチに問いたかったのは、みんな中学校に入ってバスケットボールをやっているかということでした。返ってきたのは、「とんでもない。誰がバスケ部に入るものか。」という意外な返事でした。私はてっきりみんなそのままバスケットボールを続けているものとばかり思っていましたからびっくりです。
その中学校はバスケットボールでは強豪校です。コーチいわく「バスケだけ一生懸命の先生のところに子供たちを預ける親はおらんよ。日曜もなくバスケだけやって勉強には全く関心のない人を誰が信頼しますか。」「親と子が中学校生活に求めているのは勉強と運動の両立ですよ。」
このコーチの話、私にとっては衝撃的でした。小学生でバスケが上手、だから中学生になっても続けてがんばるという当たり前みたいなストーリーを考えていた私にとって、中学校では「勉強と運動の両立」という至極まともな意見です。
このことは、「なぜミニバスをするのか」という根本的なところに考えをもっていかなければ思い至ることが難しいと思われます。子供たちにとってミニバスは運動を楽しむひとつの手段なのでしょう。運動としてのミニバスをやっているうちにその面白さに気づき、益々やってみたいと思うようになる。それは子供を取り巻く他のすべての生活を初めから犠牲にしてバスケに打ち込むということとは本質的に違っています。なぜなら運動も子供たちの健全な育ちの中で必要なひとつの要素に過ぎないからです。それを我々はとかく勘違いをしてしまいます。バスケ一筋に打ち込んで、将来の大選手を期待してしまいます。でも、本当の大選手は運動能力だけでなく知力にも優れた人です。勉強と運動の両立ができた人の中から結果的に出てきた人が大選手なのではないでしょうか。
小学生のミニバスはどうあるべきか、答えは出ているのではないでしょうか。子供たちには子供たちの生活があります。その中のひとつとして運動の領域もあるべきですし、それ以外に子供たちの成長には欠かせないいろいろな生活(家庭生活、学校生活、遊び、勉強、自由時間など)があります。要は生活のバランスと思われます。
我々ミニバスの指導に関わる者は、ミニバスの活動を児童の健全育成の助けになるもののひとつとして子供たちの全生活を意識しながら進めていってほしいと思います。
勝利のために子供たちの全生活を犠牲にすることを求めてはいけないのです。