【 雲の中の『涸沢小屋』の標識 】
【2012年9月24日(月)】 山行第3日目
【 赤線が予定のルート、青線が実際のコース】
6:45 『涸沢小屋』 出発-7:15北穂南陵の取付き-10:45北穂分岐-11:00北穂頂上(北峰)
-12:00『北穂小屋』 出発-16:25涸沢岳頂上-17:00 『穂高岳山荘』 到着
昨日はひたすら雨の中をあるいて、どうにか『涸沢』に到着した。『奥又の池』の訪問も、『前穂北尾根の五・六のコル』越えも実現ならなかった。
今日こそは晴れて、『北穂東稜』から『北穂の池』へ行き、『ゴジラの背』を越えて北穂登頂を実現したいと思う。
天気予報では、朝のうち少し雨が残るかもしれないが昼からは回復する見通しだという。外に出て、空を見るとわずかに青空が見えたが、すぐにガスに覆われる。
【『北穂小屋』のテラス 】
【 涸沢カールの残雪もわずか 】
少しくじけた気分で午前6時45分、『涸沢小屋』を出発。涸沢カールの上半分はすっぽりガスに覆われている。前穂の北尾根も吊尾根も奥穂の峰もこれから向かう北穂も何も見えない。緩やかなカーブを描いて下方に伸びるカールの斜面だけが見える。
紅葉にはまだ早い時期かとは思っていたが、グレーと緑の縞模様のごく一部が少しだけ赤くなっているだけだった。
『南稜』と『東稜』の分かれ道は、ゴルジュ帯を上がった『南稜』の鎖場の取りつき地点あたりである。ガレ場を横切る踏み跡が『東稜』方面に水平にのびているから、すぐわかると思っていた。
それまでに天気が回復して青空が見えたら『東稜』に挑戦しようと思っていた。霧雨状の雨の降る中、もくもくと高度を稼ぐ。そろそろ鎖場あたりかな思う頃、雨が少し強くなる。
知らないうちに、南稜の鎖場に取り付いていた。どちらに行くか判断する機会もYさんと相談する時間も持たずに、『南稜』を選択してしまったことになる。このガスと雨では『東稜』に行っても意味がないし、ましてや『北穂の池』へのルートを見極めるのも困難だ。あっさり、今日の目標もあきらめざるを得なかった。
【『南陵』から『東稜・ゴジラの背』を眺める 】
ガスの切れ目から、『東稜のゴジラの背』らしき稜線が見える。本当ならあの稜線を行っているはずだったが、またしても天気に裏切られてしまった。
程なく、北穂のテント場を通過し『北穂の分岐』に午前10:45に到着。ここから『北穂小屋』までは目と鼻の先だ。夏の最中ならまだ雪渓の残っている、ちょっと危なっかしいガレ場を渡ると、もう『北穂』の頂上だ。11時頂上着、視界なし。
北穂のテラスで昼食を兼ね40分ほど休息をとる。缶ビールを1本飲み、カロリーメイトを2かけら口に入れた後、やはり物足りないので、ラーメンを注文する。たっぷりビスケットやサプリメントで胃袋を満たしたYさんもお付き合いでラーメンを注文した。これがいけなかったのか、この後、Yさんは体調不良に陥る。その後、北穂・涸沢間(一般路しては最も難コースの1つである)の縦走路では、だいぶペースも落ち、夕食も食欲がないとという事でほとんどとらず、『ザイテングラード』からの下山も考えた。Yさんとはもう10年以上も一緒に山に行っているのだが、こんなことは初めてである。
結局この後も、予定のコースを進むことになるのだが。
【 ガスに煙る縦走路 】
北穂・涸沢岳間はそんなこともあって《苦業》の連続だった。天気も雨こそ降らなかったが、たびたびガスに巻かれ、景色を堪能する事もスリルを味わうこともできなかった。
ただ、目の前の岩場をいかにクリアしていくことだけに集中した。
【 北穂南峰付近を下るYさん 】
【 北穂南峰のチムニー 】
【 相変わらずガスの中の縦走路 】
元気な単独行の若者や私らより若いと思われる何組ものグループには抜かれたが、4人組の一団とは抜きつ抜かれつである。親と子のそれぞれの夫婦のようだったが、親夫婦の女性の方が、《少し難しい》場所に来ると立ち止まるように動かなくなる。何回かの渋滞に付き合わされた後、ようやく先を譲ってもらったが、こちらも手こずる場所がその後数か所あったが、無事通過出来るか、気がかりになる。
【 ガスの切れ目からようやく見えた『涸沢岳』の頂上 】
ガスの切れ目から『涸沢岳』の頂上が見える。鎖場とはしごのつづく難所を切り抜けるとようやく晴れ間が広がって来た。もう頂上は近い。
【 姿の美しい『前穂北尾根』-1峰から5峰まで(右から)左端が5・6のコル 】
『前穂』の恐竜の背のような『北尾根』も間近に見える。反対側には笠ヶ岳とガスの中から『ジャンダルム』が浮かぶ。
【 『ジャンダルム』の雄姿も 】
16時45分に『涸れ沢岳』の頂上に到着。後は、『穂高岳山荘』の赤い屋根を見下ろしながら、斜面を下り、夕食に間に合う時間ぎりぎりの午後5時前に、『穂高岳山荘』に到着する。
【 『穂高山荘』の夕食 】
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2012年9月?北ア穂高連峰山行
【2012年9月24日(月)】 山行第3日目
【 赤線が予定のルート、青線が実際のコース】
6:45 『涸沢小屋』 出発-7:15北穂南陵の取付き-10:45北穂分岐-11:00北穂頂上(北峰)
-12:00『北穂小屋』 出発-16:25涸沢岳頂上-17:00 『穂高岳山荘』 到着
昨日はひたすら雨の中をあるいて、どうにか『涸沢』に到着した。『奥又の池』の訪問も、『前穂北尾根の五・六のコル』越えも実現ならなかった。
今日こそは晴れて、『北穂東稜』から『北穂の池』へ行き、『ゴジラの背』を越えて北穂登頂を実現したいと思う。
天気予報では、朝のうち少し雨が残るかもしれないが昼からは回復する見通しだという。外に出て、空を見るとわずかに青空が見えたが、すぐにガスに覆われる。
【『北穂小屋』のテラス 】
【 涸沢カールの残雪もわずか 】
少しくじけた気分で午前6時45分、『涸沢小屋』を出発。涸沢カールの上半分はすっぽりガスに覆われている。前穂の北尾根も吊尾根も奥穂の峰もこれから向かう北穂も何も見えない。緩やかなカーブを描いて下方に伸びるカールの斜面だけが見える。
紅葉にはまだ早い時期かとは思っていたが、グレーと緑の縞模様のごく一部が少しだけ赤くなっているだけだった。
『南稜』と『東稜』の分かれ道は、ゴルジュ帯を上がった『南稜』の鎖場の取りつき地点あたりである。ガレ場を横切る踏み跡が『東稜』方面に水平にのびているから、すぐわかると思っていた。
それまでに天気が回復して青空が見えたら『東稜』に挑戦しようと思っていた。霧雨状の雨の降る中、もくもくと高度を稼ぐ。そろそろ鎖場あたりかな思う頃、雨が少し強くなる。
知らないうちに、南稜の鎖場に取り付いていた。どちらに行くか判断する機会もYさんと相談する時間も持たずに、『南稜』を選択してしまったことになる。このガスと雨では『東稜』に行っても意味がないし、ましてや『北穂の池』へのルートを見極めるのも困難だ。あっさり、今日の目標もあきらめざるを得なかった。
【『南陵』から『東稜・ゴジラの背』を眺める 】
ガスの切れ目から、『東稜のゴジラの背』らしき稜線が見える。本当ならあの稜線を行っているはずだったが、またしても天気に裏切られてしまった。
程なく、北穂のテント場を通過し『北穂の分岐』に午前10:45に到着。ここから『北穂小屋』までは目と鼻の先だ。夏の最中ならまだ雪渓の残っている、ちょっと危なっかしいガレ場を渡ると、もう『北穂』の頂上だ。11時頂上着、視界なし。
北穂のテラスで昼食を兼ね40分ほど休息をとる。缶ビールを1本飲み、カロリーメイトを2かけら口に入れた後、やはり物足りないので、ラーメンを注文する。たっぷりビスケットやサプリメントで胃袋を満たしたYさんもお付き合いでラーメンを注文した。これがいけなかったのか、この後、Yさんは体調不良に陥る。その後、北穂・涸沢間(一般路しては最も難コースの1つである)の縦走路では、だいぶペースも落ち、夕食も食欲がないとという事でほとんどとらず、『ザイテングラード』からの下山も考えた。Yさんとはもう10年以上も一緒に山に行っているのだが、こんなことは初めてである。
結局この後も、予定のコースを進むことになるのだが。
【 ガスに煙る縦走路 】
北穂・涸沢岳間はそんなこともあって《苦業》の連続だった。天気も雨こそ降らなかったが、たびたびガスに巻かれ、景色を堪能する事もスリルを味わうこともできなかった。
ただ、目の前の岩場をいかにクリアしていくことだけに集中した。
【 北穂南峰付近を下るYさん 】
【 北穂南峰のチムニー 】
【 相変わらずガスの中の縦走路 】
元気な単独行の若者や私らより若いと思われる何組ものグループには抜かれたが、4人組の一団とは抜きつ抜かれつである。親と子のそれぞれの夫婦のようだったが、親夫婦の女性の方が、《少し難しい》場所に来ると立ち止まるように動かなくなる。何回かの渋滞に付き合わされた後、ようやく先を譲ってもらったが、こちらも手こずる場所がその後数か所あったが、無事通過出来るか、気がかりになる。
【 ガスの切れ目からようやく見えた『涸沢岳』の頂上 】
ガスの切れ目から『涸沢岳』の頂上が見える。鎖場とはしごのつづく難所を切り抜けるとようやく晴れ間が広がって来た。もう頂上は近い。
【 姿の美しい『前穂北尾根』-1峰から5峰まで(右から)左端が5・6のコル 】
『前穂』の恐竜の背のような『北尾根』も間近に見える。反対側には笠ヶ岳とガスの中から『ジャンダルム』が浮かぶ。
【 『ジャンダルム』の雄姿も 】
16時45分に『涸れ沢岳』の頂上に到着。後は、『穂高岳山荘』の赤い屋根を見下ろしながら、斜面を下り、夕食に間に合う時間ぎりぎりの午後5時前に、『穂高岳山荘』に到着する。
【 『穂高山荘』の夕食 】
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2012年9月?北ア穂高連峰山行