この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著)-従来のマルクス主義経済学の焼き直しに留まらない、斬新な提案と画期的な内容に満ち溢れた快心作

2021-07-09 22:19:03 | お薦めの本
    【 2021年7月10日 記 】

 『2021年新書大賞 第1位』と派手なカバーが掛けられ、平積みにされたこの本を店頭で何度も見かけたが、さんざんマルクス主義やら史的唯物論関連の本を何十冊も読んできて、「今更、また資本論を読むの?」と思いながら書店の前を何度となく素通りしてきた。そういえば、新訳の「資本論」が刊行されていることもあって、それに便乗した「資本論を改めてもう一度読もう!」という出版社のキャンペーンに乗った企画かと。それにしても、《若僧がマルクスをどんな風に紐解いているのか》と冷やかしが半分混じった興味もあった。

 《これがどっこい》である。読んでみたら止まらない。内容にぐんぐん引きずり込まれ、読みかけの他の本をほっぽり出して
この本に集中した1週間だった。

 『気候変動、コロナ禍・・・』と入口の問題がタイムリーであるばかりでなく、『唯一の解決策は潤沢な脱成長経済だ』という結論に至るまで、可能な限りの文献、諸学者の言説、論文を取り上げ、批判的に検討し、より納得のいく方向に導いている。本当によく勉強していると驚かされる。単に多くの資料にあたっているだけでなく、論理展開が正確で見事だ。文章も読みやすく、わかりにくい用語の参照(フィードバック)も随所に示され、編集も親切だ。ともかく脱帽である。

 内容を紹介したいが、とてもブログの1頁では紹介しきれないし、自分にはそんな能力も余力もない。ともかく読んでもらうことである。その内容の豊かさ、斬新なアイディア、内容の的確さに驚かされる。

        

 カバーの裏表紙にある「推薦のコメント」を挙げたが、(通常は大したものではないものを大げさに紹介するものだが)こんな言葉だけでは物足りないような、圧倒的迫力を持った本である。


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