【 2021年7月24日 記 】
本のタイトルに使われている《人新世》という語であるが聞き慣れない言葉である。はじめこの本を無視していた頃、《新人生》くらいに勝手にとっていた。今の若者なりの《新しい》資本論解釈くらいに高をくくっていた。
「人新世」(ヒトシンセイと読むらしい)とは『人類の経済活動が地球に与えた影響が余りにも大きいため、地質学的に地球は新に突入し、それをノーベル化学賞受賞の学者が「人新世」と名付けた』(P-5 はじめに)ということであった。
最近、日本でもドイツでも中国でも1000年に1度と言われるような大豪雨災害が起きているが、この本は「SDGsは『大衆のアヘン』である!」から始まる。(はじめに、冒頭)
「産業革命以降、人間は石炭や石油などの化石燃料を大量に使用し、膨大な二酸化炭素を排出するようになった。・・・「人新生」の気候変動も(地球)存続の危機に直面している」という問題意識で、冒頭の言葉の意味するところは「政府や企業がSDGsの行動をなぞっとところで気候変動は止められない-それはアリバイづくりのようなもので、目下の危機から目を背けさせる効果しかない」と断言する。
「近代化の経済成長は、豊かな生活を約束していたはず」だが、「《人新世》の環境危機によって明らかになったのは、まさに経済成長が人類の繁栄の基盤を切り崩しつつある」というのが本の著者の第一の本題意識である。
「その原因の鍵を握るのが資本主義の他ならない」という観点から、マルクスの『資本論』を単に焼き直すのでなく、150年ほど眠っていたマルクスの思想の新しい面を「発掘」し展開するつもりだといって、本編に入っていく。
本書の「はじめに」の数頁を読んだだけで、すっかりこの本の虜になってしまった。
【 続く・・・予定 】