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憲法第9条に3項を加憲して、「自衛隊の存在を憲法に記述する」ことの意味を考える

2017-11-26 15:16:27 | 世の中の状況について


 今、「憲法改正」で問題になっているのは、「9条」を巡る論議で、憲法一般の改正問題と区別する必要がある。つまり、「戦争をする国」に変えていくのか、そうではない「平和に貢献する国」を目指すのかの選択が最大の関心事になっているということである。

 安倍晋三・自公政権のこの間の動きはこうである。

 2014年7月の現憲法下での「集団的自衛権」を容認した【閣議決定】と、その直前に同じく【閣議決定】のみで「武器輸出3原則」を廃止し「防衛装備移転3原則」と名前を変えた法律に変え、事実上武器輸出を《解禁》して「戦争をする国」に大きく踏み出した。それに先立つ2013年の12月には「特定秘密保護法」が国会で成立している。
 そして、2015年9月に国民の大反対の元、強行成立させた「安保法制」=戦争法。更に2017年の6月には「テロ等準備罪」の名目で「共謀罪」を成立させている。

 これらの動きを見るならば、「災害救助の自衛隊を憲法に書き加えることくらいいいのでは?」と考えることが、どんなに危険かということがわかる。



 北朝鮮の挑発的行為を理由に、最近盛んに日米合同訓練をやっていることは日常的に報じられている。「日米安全保障条約」があるから《当然》と見る向きもあるかもしれない。その安保条約であるが、アメリカは本当に日本を守ってくれるのだろうか。
 それに、沖縄をはじめとして日本にアメリカの軍事基地は堂々と居座っているというのはどうゆうことなのか。ほんとに日本の安全のために必要なのだろうか。


 トランプ大統領は、「日本を守ってやっているのだから、米軍の経費を負担しろ。」と圧力をかけるが、実態は、米軍は日本を守ることなど考えてもいないし、守るどころか、自衛隊が米軍の一翼を担うことによって日本が攻撃対象になる危険性さえ負わされている。その分かりやすい例が、この京都にある。

                                 



 京都府の丹後半島に、北朝鮮からのミサイル攻撃に備え迎撃するという名目で、「Xバンドレーダー基地」が設置されたが、そもそもこの設備はアメリカをまもるためであって日本を守るものではないアメリカに向け発射されたミサイルを打ち落とすことなど現在の技術では不可能という。仮に、1発を迎撃できたとしても複数の弾道を全て迎撃は出来ないし、多弾頭ならそれこそどうしようもないという。第一、その気になったらまずは「日本のレーダー基地」を狙ってくるだろうと言うことだ。だから、地元の住民は「核シェルター」の要望を政府に出すくらい緊張しているという。

                  


 一方、現在の自衛隊が、表に見える《災害救助の自衛隊》と違って、どんなことになっているか、その実態はというと。

 少し古いが、「自衛隊・米軍・戦場最前線からの報告」という副題のついた2003年刊行の『攻撃か、それとも自衛か』(加藤健二郎著 現代人分社刊)という本の中身を見ると多数の写真が掲載されていて、その中の一つに「ハイテク導入の近接戦闘訓練」というのがあって、「バトラーシステムを装着した自衛隊員」の写真が載っていた。説明によると「実戦経験を持たない陸上自衛隊が、ハイテク技術によって実践に近い訓練をすることは、技術立国日本の得意分野を生かして」いるそうである。この後、筆者は「レーザー光線による命中判定システ」を使った演習場での実践訓練を体験取材することになるのだが、参加人員は約100名で、全兵士が無線機とナビゲーターを装着し、一人兵士が持つTESC関連の装備は100万円強となる、まさにハイテク兵士なのだという。
 10年以上前の時代でこのような様子である。アメリカが地上部隊の派遣で、兵士の士気や費用の問題で躊躇する中、日本への肩代わりを強く迫っている現在では、どんなものかと思うと想像すると恐ろしい。

 トランプは《真剣に》米軍の肩代わりを日本の自衛隊に期待している。海外派兵ばかりではなく、先日の訪日の際真っ先にトランプが要求したことは「アメリカの高額な武器の購入」だった。それにも即座に積極的に応えたのは安倍首相である。自衛のための武器ではなく、アメリカと行動を共にしてそれを助けるための武器の購入である。


                    
                      

 だから安倍首相は何としてでも、自衛隊を合憲として公に認知させたいのだ。何としてでも憲法に自衛隊を書き加えたいと思っているのだ。

 もし、そうなったらどのような影響があるか。

 上に見たように、自衛隊はもはや自国の安全だけを担う集団ではなく、アメリカの世界戦略にがっちり組み込まれた世界有数の装備を持った《軍隊》である。その自衛隊に憲法の《お墨付き》を与えるということは、「集団的自衛権」を持たされた「自衛隊」を合法化するということで、国民生活の様々なところで影響が出てくる。

 現在闘われている各種の「違憲裁判」が意味をなさなくなる。公的存在となった自衛隊に対する予算上の「優遇措置」や自衛隊を特別に扱う「法律」制定の根拠の提供。そして現在《ただの公務員》に過ぎない自衛官を軍人にする「軍法」の制定と「軍法会議(裁判)」の設立。そして、有無を言わさぬ軍事徴用の頻出。徴兵制の復活、等々。

 災害救助も名目上、任務の一つに残るかもしれないが、軍事優先の世の中になればそんなことはしていられない。


 巷には、「9条変更は許さない」というのは国民感情で、世論調査でも6割以上取っているのだから、《発議されても「国民投票」で覆せる》と安易に思っている向きもある。しかし、権力はしたたかで金も沢山ある。金力にものを言わせマスコミを総動員するば、改憲派に有利に世論をひっくり返すことすら可能である。


 権力を侮ってはいけない。発議そのものをさせない状況を事前に作ることが今求められている。

 
  憲法第9条が、戦後70年余りの平和をまもってきたという事実であり、自衛隊員を含めた全国民を守ってきたのも事実である。

 もし、9条が改変され戦争する世の中に突入したら、真っ先に戦場に駆り出されるのは今の若者-子や孫の世代である。そんな世の中になることは何としてでも防がねばならない。

 目覚めよ! 若者!

 
   『経ヶ岬バンドレーダー基地』-の解説に関するサイト







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