ヲノサトル責任編集・渋東ジャーナル 改

音楽家 ヲノサトル のブログ

映画愛

2009年08月24日 | 大学

ノンキに車を語ってる場合ではなく、大学が夏休みのうちにやらなければならない仕事は山ほどある。論文、作曲、後期の授業準備 etc...  実はとりあえず最も優先順位の高いのが、前期の採点。

ようやく『映像論B』採点を完了した。数百枚からのレポートに目を通して評価するのは毎年、かなり時間のかかる作業ではある。

しかし濃い。今年のレポートはかなり濃い…。「日本映画」という、比較的誰もがそれなりに語りやすいテーマだったせいか、思い入れたっぷりのずっしりした文章が多い。思わず、しっかりと読まされてしまった。(ゆえに時間もかかったというわけ)

なんともマニアックで、ぼくも気がつかなかった点への指摘も多々あった。『家族ゲーム』のラストシーンのヘリコプター音は、中盤に出てきた「おじいちゃんの棺桶」を運ぶためではないか?とか。『[focus]』のディレクターは、あれだけ「とりあえず画をおさえておこうよ」と必要以上に映像を撮っておきたがるくせに、最も肝心な画が実は撮れていないとか。『バウンスKoGALS』の上映時間が109分なのは"マルキュー"ヘのオマージュだとか。よく考えつくものです(笑)圧倒的多数の支持を得たのは『太陽を盗んだ男』。『食人族』は賛否両論。というかトラウマになった人も少なくない様子。すまない。

全体に、単なるデータを並べたようなレポートは少なく、自分の身の周りに映画を引き寄せて「自分ごと」としてしっかり考えたのがわかる文章が多くて、うれしかった。何より、その映画が好きなんだな、とか、映画にガツンと衝撃を受けたんだな、という内面がしっかり伝わってくるのが良い。やっぱ「愛」だよね「愛」! 愛がほとばしるあまり、映画の登場人物のイラストまで描いてくる子もいるあたりは、さすが美大。

しかし採点していていちばん困るのは、せっかく良い文章が書けていても肝心の出題テーマからズレているもの。たとえば出題と関係なく自分の好きな映画について熱く熱く語っているとか。入試だったらあっさり0点になっても仕方ないケースだろうが…今回はそこまで非情に徹する気にはなれず。(なので、がんばって書いたつもりなのに成績がやけに低い人がいたら、何かその手のミスをした可能性を考えて下さい>受講生)


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