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推理学 1

2008-03-05 | ポストモダン・メソッド

シャーロックホームズの推理法
 先月は「発想法」として、演繹法、帰納法、アブダクションを考察しましたが、今月は発想法に関連して、「推理法」の導入として“推理小説”を取り上げてみたいと思います。推理小説といえばコナン・ドイルが生んだ「シャーロック・ホームズ」でしょう。推理小説の“祖”は、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」とされていますが、推理小説を完成させたのは、ドイルでありホームズの推理術でしょう。
 シャーロック・ホームズ研究では、彼の推理法は、演繹だ、帰納だ、アブダクションだと多くの論議がなされていますが、実際は、あるときは「演繹」を、又あるときは複数の仮説に対しての「帰納法」を、そして推理がいきずまったときは「アブダクション」によって、ワトスンレストレード警部などは想像もしない推理と発想を成し遂げるのだと思います。シャーロキアンならどの事件のどのホームズの推理が、演繹か帰納かなどがが、思い浮かばれるでしょう。
 又、ホームズは犯人の残した「痕跡」を“記号”として理解し、これを“データ”化し、集合させ、帰納的に推理していく面があり、「ホームズは“記号論”者だ。」とも言われています。そして、ホームズはそれに加えて、「仮説ー確率法」「消去法」も駆使しています。つまり、ホームズの推理の成功の多くは、複数の事件の原因に対する仮説の中から、蓋然性(確率性)の高いものを選択して、また、蓋然性の低いものは“消去”していく手法によるものです。そして、それとともに、それらの仮説に対して、演繹、帰納を駆使し、他の登場人物や、読者にはまねのできない“発想”を生み出すのでしょう。
 いずれにしても、ホームズのようなマネはムリなものの、的確な推論出来得るために、常に演繹・帰納的訓練とアブダクションしうる、柔らかな、先入観の持たない発想力を身につけたいものです。次は、「ハードボイルドの推理法」です。

参考文献 : 内井惣七 1988 「シャーロック・ホームズの推理学」 講談社 ウンベルト・エーコ他著 富山太佳夫他訳 1990 「三人の記号」 東京図書  JA.シービオク他著 富山太佳夫訳 1994 「シャーロック・ホームズの記号論」 岩波書

      



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