ばさ、と花束を放る。
墓前には不釣り合いな程鮮やかな彩り。
「姉貴、この花好きだったろ。だから持ってきてやった。なあ姉貴」
地に膝をついて、墓標に目線を合わせるようにする。
「姉貴の好きなものなら何でも知ってる。嫌いなものももちろん知ってる。……なのに」
何で俺じゃだめなんだ。
乾いた唇を動かす。
「誰よりも姉貴を見てたのは俺だ、誰よりも姉貴を知ってたのは俺だ、誰よりも姉貴を思ってたのは俺だ間違ってもあいつなんかじゃない」
ここに来る度言う事をまた今日も繰り返す。
「あいつには姉貴の相手無理だっただろ務まらなかっただろ、俺なら姉貴を死なせたりしなかった……」
重い溜息を吐き出して、言葉を止めた。
衝動でも激情でもなく、ただ静かに、唇を墓標に押し当てる。
本当は生身の彼女と交わしたかったキス。
今となっては冷たい感触しか返らない。
――虚しいだけだ。
その空虚さに耐えかねたように口を離す。
重い腰を上げて、立ち去りかけて足を止めた。
背後の墓をちらりと見て呟く。
「姉貴が望んでくれたなら、手でも足でも差し出したのに」
何一つ望んではくれなかったと、苦い気持ちをにじませて。
――――――――――
珍しく突発的に浮かんだイメージを文にしきれました。
何か無性に、墓標にキスするナタルが書きたかったんです←
あと「望んでくれたなら」の台詞。
あれは比喩とかじゃないです、本気で言葉の通り。
何も望んでくれない相手に対してそう思い続けたあたりは純粋な片思いなんだなーと思う。
価値観とかそういうのがちょっと狂っちゃってるけど。
まあそれ差し引いてもお姉さん関係はナタルのくせに切ないな……←
一欠片も報われない思いは行き場をなくす。
墓前には不釣り合いな程鮮やかな彩り。
「姉貴、この花好きだったろ。だから持ってきてやった。なあ姉貴」
地に膝をついて、墓標に目線を合わせるようにする。
「姉貴の好きなものなら何でも知ってる。嫌いなものももちろん知ってる。……なのに」
何で俺じゃだめなんだ。
乾いた唇を動かす。
「誰よりも姉貴を見てたのは俺だ、誰よりも姉貴を知ってたのは俺だ、誰よりも姉貴を思ってたのは俺だ間違ってもあいつなんかじゃない」
ここに来る度言う事をまた今日も繰り返す。
「あいつには姉貴の相手無理だっただろ務まらなかっただろ、俺なら姉貴を死なせたりしなかった……」
重い溜息を吐き出して、言葉を止めた。
衝動でも激情でもなく、ただ静かに、唇を墓標に押し当てる。
本当は生身の彼女と交わしたかったキス。
今となっては冷たい感触しか返らない。
――虚しいだけだ。
その空虚さに耐えかねたように口を離す。
重い腰を上げて、立ち去りかけて足を止めた。
背後の墓をちらりと見て呟く。
「姉貴が望んでくれたなら、手でも足でも差し出したのに」
何一つ望んではくれなかったと、苦い気持ちをにじませて。
――――――――――
珍しく突発的に浮かんだイメージを文にしきれました。
何か無性に、墓標にキスするナタルが書きたかったんです←
あと「望んでくれたなら」の台詞。
あれは比喩とかじゃないです、本気で言葉の通り。
何も望んでくれない相手に対してそう思い続けたあたりは純粋な片思いなんだなーと思う。
価値観とかそういうのがちょっと狂っちゃってるけど。
まあそれ差し引いてもお姉さん関係はナタルのくせに切ないな……←
一欠片も報われない思いは行き場をなくす。
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