NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ (Wiron)

新潟で生じている野生鳥獣の問題を解決し、野生動物と人間が共存できる社会を目指して活動します。

11月1~2日長岡市鳥獣被害対策指導者研修会報告

2012-11-15 11:39:28 | イベント・研修報告
野生鳥獣被害対策指導者育成のための研修会

日時 平成24年11月1日(木)~2日(金)

場所 長岡市越路支所

主催:新潟ワイルドライフリサーチ 共催:長岡市

を実施しました。


開催趣旨

医療なら、症状に合わせた検査を行い、それを医師が診断し、患者にインフォームドコンセントを行い、患者と治療の合意を形成して、処方や治療に入るというステップを踏みます。しかし、鳥獣被害対策の場合、被害の生じた集落や動物の調査、その結果を見て診断を行うことができる医療の医師に相当する専門的な技術を持った被害対策の技術者がいないため、正しい診断・対処が行われず、被害が改善されない、あるいは被害が拡大するという現象が県内でも生じています。また、正しい診断に基づき、地域住民の合意形成を計り、対策を実際に実行するのも重要なスキルです。現場で鳥獣被害対策の指導に従事する行政担当者、農業普及指導員、JA職員などを対象に、被害対策の診断、防除技術、住民の合意形成技術を身につけて頂くため、野生鳥獣被害対策指導者育成のための研修会を開催します。


日程              

1日目午前

野生動物管理の基本的な考え方 ワイロン会長 山本 麻希

サルの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン理事 望月翔太

イノシシの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン会員 清水晶平

1日目午後

サル:ラジオテレメトリーの実習

イノシシ:電気柵設置・管理技術の実習

ジビエの利活用について ワイロン 副会長 長野康之

 ジビエ料理提供 ねおかんぱーにゅ南部 村越洋一シェフ


2日目

集落環境診断について  ワイロン会員 近藤 圭佑

長岡市越路地区のモデル集落にて環境調査

集落環境診断ワークショップと結果発表会



挨拶は、長岡市農政課の小林課長様です。
いつもワイロンとの共催研修で大変お世話になっています。



長岡市も栃尾のサル、越路、小国のイノシシと野生動物の被害が徐々に拡大しているとのお話をいただきました。

続いて山本から野生動物の管理に関しての考え方について講演しました。
全国の被害状況、そして、イノシシ、シカの捕獲頭数の増加、
猟友会の減少や高齢化問題。
野生動物の被害対策を行っていく上で今後考えねばならないこ
とは山積みです。



サルの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン理事の望月さんから
お話し頂きました。

サルの個体管理は群れ管理が肝要。特にオトナメスを無計画に捕獲することの危険性について指摘がありました。防除と個体管理のバランスが大切です。



イノシシの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン会員の清水さんから
お話し頂きました。
上越市柿崎区での調査研究をもとにしたイノシシの被害に合いやすい農地の条件や
電気柵の効果と弊害などについて指摘がありました。



午後は実習です。

サルの方はテレメトリーをつかった方向探査の実習をしました。
みなさん、熱心に電波を追いかけています。




イノシシの方は、電気柵の設置実習をしました。



その後、ジビエの利活用について ワイロンの副会長長野さんからお話し頂きました。



ジビエはフランス語で野生動物の肉を意味します。

現在、流通されない野生動物の肉を利活用する上で超えなければならない法の問題や
実際の衛生上の問題などについて紹介がありました。

その後、ねおかんぱーにゅ南部のシェフ 村越様から




6月のイノシシシンポジウムの際に解体したイノシシ肉を使った
ジビエ料理を御提供頂きました。


あまりのおいしさに参加者からは絶賛の声が!

村越様によるとイノシシ肉は大変素晴らしい素材で料理の
イマジネーションが沸くということでした。

素晴らしい素材を今後も地産地消のシェフのお立場から御利用頂きたいと思いますし、
有害捕獲など、今後捕獲個体数が増加して行くであろう中で、
ジビエとしての利活用を図る方法を模索していくことの大切さについて痛感しました。

2日目は集落環境診断実習です。

ワイロン会員の近藤さんから集落環境診断について御講演頂き、
その後、越路地区にある小坂集落で現地調査を実施しました。

ものすごい雨で、残念ながら写真を撮る余裕すら有りませんでした。

小坂集落は、集落の裏手に少し斜面のきつい林があり、
その上に畑地があります。
近くまでイノシシが出没したり、ハクビシンによる被害が報告されているようです。

今後この集落にイノシシが来たらという想定で、集落環境調査を行いました。

その後、再び越路支所に戻り、集落環境診断ワークショップを行いました。



みなさん熱心に集落の問題点を掘り出し、この集落にとって何が最も効果的な対策か、優先順位をつけて考えていきます。

最後に集落環境診断結果について発表を行いました。

みなさんはじめてと思えないくらい素晴らしい発表でした。

イノシシの被害対策で大きな問題となったのは個体管理をしなければならないのに
地元猟友会が高齢化、人口減少で今後もイノシシが捕獲できるかという点でした。
最後はガバメントハンターの話も飛び出し、長岡市の若い職員の人に期待しようなんていう案もでたほどです。

どの地域も同じ問題を抱えていると思います。
このことは、私達ワイロンでも長期的に取り組まねばならない課題だと再認識しました。

2日間の研修を終え、雨にもかかわらず熱心に御参加頂いた皆様に感謝申し上げます。
参加された皆様がこの技術を各自の自治体に持ち帰り、
より良い鳥獣被害対策が実践されることを心から祈っております。

文責 山本 麻希






















最新の画像もっと見る

コメントを投稿