NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ (Wiron)

新潟で生じている野生鳥獣の問題を解決し、野生動物と人間が共存できる社会を目指して活動します。

11月11日南魚沼市第4回研修会報告

2012-11-20 12:29:08 | イベント・研修報告
「平成24年度サル、クマ等と共存できる地域づくりモデル事業」

集落で取り組む鳥獣被害対策ワークショップと山羊を使った緩衝帯整備研修会

を平成24年11月11日(日) 
船ヶ沢新田高齢者婦人活動施設「かけはし」にて開催しました。

開催趣旨

南魚沼市は豊かな森林とその水の恵みで日本一のコシヒカリを生産する地域ですが、一方で、野生鳥獣による農業被害という深刻な問題を抱えています。新潟県における農業被害額がNo.1のサル、そして、ブナ等の堅果類が凶作になると大量出没するクマ。どちらも日本の在来種であるため、彼らと共存しながらも、そこで生活する住民の安全を守り、農業被害をなくさなくてはなりません。集落環境診断を実施すると、集落の鳥獣被害対策について多くの意見が出されます。その結果をもとに来年度実施する被害対策について住民自ら決定するワークショップを開催します。また、緩衝帯整備には草刈り等多くの労働力が必要です。これを少しでも効率化する方法として、緩衝帯に山羊などの家畜を放牧し、緩衝帯を維持する方法が知られています。今回、全国山羊ネットワークの今井明夫氏を講師としてお迎えし、山羊による緩衝帯整備について講演を行い、山羊の放牧を現地で実演していただくことを企画しました。


日程  
12:30 受付開始

13:00 あいさつ

13:10~14:15 山羊を用いた緩衝帯整備事業について
         全国山羊ネットワーク代表 今井 明夫氏

14:30~16:45 ワークショップ
来年度の船ヶ沢新田におけるサル被害対策事業について

16:45~17:00 講評・あいさつ


今井先生による山羊を用いた緩衝帯整備事業について御講演頂きました。

いかに山羊が農村で自給自足的な生活をする上で
かかせないパートナーとなりうるかについて今井先生より
詳しい実例を交えながらお話し頂きました。

山羊の乳での酪農製品やふれあい牧場、そして、子供達への心の教育まで
幅広い話題を提供して頂きました。

また、山羊を実際に飼育する際の注意点(餌から病気まで)についても詳細に
御説明頂きました。



その後、実際に山羊がいる隣の空き地に行って、飼育の仕方等について
御説明頂き、活発な質疑応答が行われました。



続いて、11月3日に行った集落環境診断の地図と対策案を山本から
簡単に説明し、来年度の船ヶ沢新田で取り組むべき被害対策について
ワークショップが行われました。

3日の時点では、実際にやることを想定せず、比較的自由な意見を出していただいておりましたが、今回は来年実際にやることを想定したワークショップです。
前回でていた課題について実際に誰がどの予算でどの程度行うかについて
熱い議論が交わされました。

その結果、来年度はまず今年船ヶ沢新田自然融和会が実施したとり組みについて
集落の人や隣の集落の人に知ってもらうための発表会を年度末に実施すること
また、来年度は年3回の共同圃場柵の周りの草刈りを実施し、電気柵の維持管理を行うこと、高齢者の人にもわかりやすいサル対策についてまとめられたビデオか紙芝居をワイロンが作成することなどが決まりました。

樹木を伐採した後の管理などの問題点については、来年度実施していく中で
次の対策を考えていくことになりました。




私達ワイロンもお年寄りの方にもわかりやすいサル対策のための劇をビデオに撮って
簡単に見て頂けるような教材を作ることになりました。
年度末の研修会に向けて鋭意取り組んで参りたいと思います。

文責 山本 麻希



11月3日南魚沼第3回研修会報告

2012-11-20 12:03:40 | イベント・研修報告
「平成24年度サル、クマ等と共存できる地域づくりモデル事業」

集落で取り組む集落環境診断研修会

主催:新潟県南魚沼地域振興局、南魚沼市 企画:新潟ワイルドライフリサーチ

を平成24年11月3日(土)に

八海山麓サイクリングターミナルにて開催しました。

開催趣旨

南魚沼市は豊かな森林とその水の恵みで日本一のコシヒカリを生産する地域ですが、一方で、野生鳥獣による農業被害という深刻な問題を抱えています。新潟県における農業被害額がNo.1のサル、そして、ブナ等の堅果類が凶作になると大量出没するクマ。どちらも日本の在来種であるため、彼らと共存しながらも、そこで生活する住民の安全を守り、農業被害をなくさなくてはなりません。野生動物の被害を防ぐ上で動物を誘引しない集落環境を作ることは大切です。そこで、船ヶ沢新田地区をモデルとして鳥獣被害対策のための集落住民の合意形成手法である「集落環境診断実習」を企画しました。

日程

9:00 受付開始
9:30 あいさつ
9:40~10:30  講演 集落環境診断とは?        
新潟ワイルドライフリサーチ 山本 麻希
10:45~12:30  集落環境調査
12:30~13:30  お昼
13:30~15:45  集落環境診断(ワークショップ)
16:00~16:40  発表会
16:40~17:00  講評


まずは、午前中研修室にて 集落環境診断と地域の合意形成について
山本から説明をさせて頂きました。



現地における集落環境調査のやり方、集落地図への記入の仕方、
ワークショップの進め方等について詳細をお話ししました。


続いて、船ヶ沢新田の集落にバスで向い、集落環境調査と地図作製を行いました。
あいにくの雨にもかかわらず、みなさん熱心に取り組んで頂きました。



お昼の休憩を挟んで、再び研修室にてワークショップの開催です。

午前中の環境調査で作成した地図の内容を大きな模造紙に印刷した地図に
書き込みながら、集落の課題をすべてあげていきます。
そして、その課題の中から、来年度この集落で最も効果がありそうな課題を
4つ優先順位をつけ、それぞれの対策を考えて頂きました。



課題はいろいろでてきました。

船ヶ沢新田は、林縁の果樹の伐採や林縁の杉林の強度間伐を行ったため、
サルやクマの出没は激減しました。
しかし、伐採した場所に2mちかい背の高さのあるかや(ススキ)が茂っているのが
大きな問題となりました。
また、伐採した桑が再び生えてきたり、共同圃場柵の中にもまだ耕作放棄した畑が
あることなどが指摘されました。



今回は船ヶ沢新田を2つのグループに分けて環境診断して頂きました。
つぎの11日はこの2つの案を基に、来年度船ヶ沢新田として実際に取り組む
事業についてワークショップを行って決定したいと思っています。

11月1~2日長岡市鳥獣被害対策指導者研修会報告

2012-11-15 11:39:28 | イベント・研修報告
野生鳥獣被害対策指導者育成のための研修会

日時 平成24年11月1日(木)~2日(金)

場所 長岡市越路支所

主催:新潟ワイルドライフリサーチ 共催:長岡市

を実施しました。


開催趣旨

医療なら、症状に合わせた検査を行い、それを医師が診断し、患者にインフォームドコンセントを行い、患者と治療の合意を形成して、処方や治療に入るというステップを踏みます。しかし、鳥獣被害対策の場合、被害の生じた集落や動物の調査、その結果を見て診断を行うことができる医療の医師に相当する専門的な技術を持った被害対策の技術者がいないため、正しい診断・対処が行われず、被害が改善されない、あるいは被害が拡大するという現象が県内でも生じています。また、正しい診断に基づき、地域住民の合意形成を計り、対策を実際に実行するのも重要なスキルです。現場で鳥獣被害対策の指導に従事する行政担当者、農業普及指導員、JA職員などを対象に、被害対策の診断、防除技術、住民の合意形成技術を身につけて頂くため、野生鳥獣被害対策指導者育成のための研修会を開催します。


日程              

1日目午前

野生動物管理の基本的な考え方 ワイロン会長 山本 麻希

サルの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン理事 望月翔太

イノシシの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン会員 清水晶平

1日目午後

サル:ラジオテレメトリーの実習

イノシシ:電気柵設置・管理技術の実習

ジビエの利活用について ワイロン 副会長 長野康之

 ジビエ料理提供 ねおかんぱーにゅ南部 村越洋一シェフ


2日目

集落環境診断について  ワイロン会員 近藤 圭佑

長岡市越路地区のモデル集落にて環境調査

集落環境診断ワークショップと結果発表会



挨拶は、長岡市農政課の小林課長様です。
いつもワイロンとの共催研修で大変お世話になっています。



長岡市も栃尾のサル、越路、小国のイノシシと野生動物の被害が徐々に拡大しているとのお話をいただきました。

続いて山本から野生動物の管理に関しての考え方について講演しました。
全国の被害状況、そして、イノシシ、シカの捕獲頭数の増加、
猟友会の減少や高齢化問題。
野生動物の被害対策を行っていく上で今後考えねばならないこ
とは山積みです。



サルの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン理事の望月さんから
お話し頂きました。

サルの個体管理は群れ管理が肝要。特にオトナメスを無計画に捕獲することの危険性について指摘がありました。防除と個体管理のバランスが大切です。



イノシシの生態の特徴、被害対策の技術について ワイロン会員の清水さんから
お話し頂きました。
上越市柿崎区での調査研究をもとにしたイノシシの被害に合いやすい農地の条件や
電気柵の効果と弊害などについて指摘がありました。



午後は実習です。

サルの方はテレメトリーをつかった方向探査の実習をしました。
みなさん、熱心に電波を追いかけています。




イノシシの方は、電気柵の設置実習をしました。



その後、ジビエの利活用について ワイロンの副会長長野さんからお話し頂きました。



ジビエはフランス語で野生動物の肉を意味します。

現在、流通されない野生動物の肉を利活用する上で超えなければならない法の問題や
実際の衛生上の問題などについて紹介がありました。

その後、ねおかんぱーにゅ南部のシェフ 村越様から




6月のイノシシシンポジウムの際に解体したイノシシ肉を使った
ジビエ料理を御提供頂きました。


あまりのおいしさに参加者からは絶賛の声が!

村越様によるとイノシシ肉は大変素晴らしい素材で料理の
イマジネーションが沸くということでした。

素晴らしい素材を今後も地産地消のシェフのお立場から御利用頂きたいと思いますし、
有害捕獲など、今後捕獲個体数が増加して行くであろう中で、
ジビエとしての利活用を図る方法を模索していくことの大切さについて痛感しました。

2日目は集落環境診断実習です。

ワイロン会員の近藤さんから集落環境診断について御講演頂き、
その後、越路地区にある小坂集落で現地調査を実施しました。

ものすごい雨で、残念ながら写真を撮る余裕すら有りませんでした。

小坂集落は、集落の裏手に少し斜面のきつい林があり、
その上に畑地があります。
近くまでイノシシが出没したり、ハクビシンによる被害が報告されているようです。

今後この集落にイノシシが来たらという想定で、集落環境調査を行いました。

その後、再び越路支所に戻り、集落環境診断ワークショップを行いました。



みなさん熱心に集落の問題点を掘り出し、この集落にとって何が最も効果的な対策か、優先順位をつけて考えていきます。

最後に集落環境診断結果について発表を行いました。

みなさんはじめてと思えないくらい素晴らしい発表でした。

イノシシの被害対策で大きな問題となったのは個体管理をしなければならないのに
地元猟友会が高齢化、人口減少で今後もイノシシが捕獲できるかという点でした。
最後はガバメントハンターの話も飛び出し、長岡市の若い職員の人に期待しようなんていう案もでたほどです。

どの地域も同じ問題を抱えていると思います。
このことは、私達ワイロンでも長期的に取り組まねばならない課題だと再認識しました。

2日間の研修を終え、雨にもかかわらず熱心に御参加頂いた皆様に感謝申し上げます。
参加された皆様がこの技術を各自の自治体に持ち帰り、
より良い鳥獣被害対策が実践されることを心から祈っております。

文責 山本 麻希






















10月14日南魚沼第二回研修会報告

2012-11-14 12:14:16 | イベント・研修報告
平成24 年度サル、クマ等と共存できる地域づくりモデル事業

「サル捕獲技術研修会」と「集落環境診断予備調査研修会」

主催:新潟県南魚沼地域振興局、南魚沼市 企画:新潟ワイルドライフリサーチ


を平成24年10月14日(日)10:00~

船ヶ沢新田高齢者婦人活動施設「かけはし」

にて開催致しました。

本研修会は平成24 年度サル、クマ等と共存できる地域づくりモデル事業の第二回目の研修会です。

捕獲研修会趣旨

サルは無計画に捕獲すると群が分裂する危険性があるため、捕獲した個体の性別を識別し、計画的な群の管理を行っていく必要がありますが、この場合の捕獲手段として箱罠が多く用いられています。また、サルの個体管理には、VHF発信器を用いた行動調査のデータが欠かせませんが、発信器を装着するにはサルを箱罠で捕獲する必要があります。そこで、南魚沼市におけるサルの捕獲技術の向上を目的として、サルの捕獲の経験が豊富な猟友会新発田支部の荒井俊明氏を講師としてお招きし、新発田におけるサルの捕獲体制や箱罠による捕獲技術を学ぶ研修を企画しました。

集落環境診断予備調査研修会趣旨

野生動物が集落に出没するのは、集落内に動物を誘引する餌があるからです。したがって、野生鳥獣被害対策には、集落の環境整備が欠かせません。集落の環境整備を地元住民が主体となって実施するための合意形成手法として集落環境診断という技術が確立されています。
 11月3日に船ヶ沢新田地区において実施する予定の集落環境診断の前に、行政担当者、集落のリーダーなどの関係者で事前の予備調査を行うことを企画しました。

日 程
10:00~   受付開始(於:かけはし)
10:15~  新発田市におけるサル捕獲体制について
10:45~   現地指導
 13:15~   集落環境診断の進め方について
 14:00~   集落環境調査
 15:30~   集落環境診断ワークショップ
 17:30~   まとめ     


まずサルの捕獲研修会です。
新発田でサルの学術捕獲とテレメトリー調査を担当されてる猟友会新発田支部の荒井様を講師としてお迎えしました。



荒井様より新発田市におけるサルの捕獲体制について講義をいただいたあと、
実際に新発田市で荒井様がお使いになっている捕獲檻を持参頂き、
捕獲の仕方、捕獲後の保定の仕方など、細かな技術について御説明頂きました。



参加者からは熱心な質問が飛び、経験の豊富な荒井様が一つ一つ丁寧に答えて下さり、
非常に有意義な研修会となりました。


午後からは、集落環境診断予備調査研修会を行いました。

山本の方から、集落環境診断とは何か?どのように進めるのかについて
説明をし、その後、南魚沼市船ヶ沢新田の現地をまわって集落環境調査
を実施しました。



その後、再びかけはしに戻り、集落環境調査で作成した情報から集落の地図を
作成し、その地図を見ながら、この集落で最も効果の高い鳥獣被害対策について
4つほど選んで対策を考える集落環境診断を実施しました。



現地研修の様子。


船ヶ沢新田は、市と県の事業で、H23年に山際のクルミ、桑などの果樹の伐採、
見通しの悪い杉林の強度間伐を実施し、サルの出没件数が激減した実績をお持ちです。



伐採した見通しの良い林縁にたつ高橋会長(船ヶ沢新田自然融和会)。



杉林も強度間伐をいれたため、見通しがよく、サルやクマが隠れる隙がない。

林縁の畑には電気柵が設置されている。



電気柵の下草による漏電を防ぐために長岡技術科学大学とファームエイジ株式会社、港屋株式会社が共同開発中の導電性のある防草シートの実施試験を行っている。



戻ってきて地図作製をしている様子。



最後に、集落環境診断の結果を発表して頂きました。




今回は、11月3日に行われる本調査の前に
関係者や行政担当者の方が行った予備調査でしたが、
みなさんとても熱心に取り組まれ、非常に良い研修会でした。

南魚沼地域振興局の県のHPにも研修会の報告がありますので、
併せて御覧下さい。

http://www.pref.niigata.lg.jp/minamiuonuma_kenkou/1350856930029.html


文責 山本麻希












7月16日南魚沼第1回研修会

2012-11-14 11:32:13 | イベント・研修報告
平成24 年度サル、クマ等と共存できる地域づくりモデル事業

「集落で取り組むサル、クマ被害対策 研修会」

主催:新潟県南魚沼地域振興局、南魚沼市 企画:新潟ワイルドライフリサーチ

を平成24 年7月16日(月) 祝日

に八海山麓サイクリングターミナル (http://www.yo.rim.or.jp/~sanroku/)

にて開催しました。

開催要領のチラシは以下の通り(クリックすると画像が拡大します。)




こちらの事業は、本年度、南魚沼市と南魚沼地域振興局からワイロンが委託を受け
実施するモデル事業の記念すべき第一回目の研修会となります。

本研修会の趣旨

南魚沼市は豊かな森林とその水の恵みで日本一のコシヒカリを生産す
る地域ですが、一方で、野生鳥獣による農業被害という深刻な問題を
抱えています。新潟県における農業被害額がNo.1 のサル、そして、ブナ
等の堅果類が凶作になると大量出没するクマ。どちらも日本の在来種
であるため、彼らと共存しながらも、そこで生活する住民の安全を守り、
農業被害をなくさなくてはなりません。近年、中山間地の過疎、高齢化
が進み、野生動物の対策を実施する労働力の確保が困難となっていま
す。また、猟友会の会員数の減少、高齢化もあり、捕獲だけで被害を減
少させることは不可能です。荒廃する里山を目の前に、今後、野生動物
とどのように共存していくべきか、専門家による講演とサルによる農業被
害を減らすことに集落で取り組んでいる船ヶ沢新田地区の事例を交えな
がら、みなさんでこの問題について考えてみたいと思っています。

研修会の日程

12:30~ 受付開始

13:00~ 開会挨拶

13:10~14:10
   長野県北信地方におけるツキノワグマの保護管理と被害防除の現状
   後藤 光章 (BSCN代表)

14:15~15:15
   集落で取り組むサルの被害対策
   山本 麻希 (長岡技術科学大学助教・ワイロン会長)

15:15~15:30 質疑応答

15:30~15:40 休憩

15:40~16:10
   船ヶ沢新田におけるサル対策の取り組み
   高橋 富美男 (船ヶ沢新田自然融和会代表)

16:10~17:00
   総合討議「南魚沼市における効果的な野生鳥獣対策に向けて」


研修会報告

当日は、参加人数が多く、当初サイクリングターミナルの研修会で実施する予定が、
急遽、隣に併設している体育館での実施となりました。
当日は、大変な猛暑日で、体育館内は38℃近い気温であったにもかかわらず、
95名の参加者がありました。



まずは、北長野クマ専門対策員であり、自らBear Smart Community Naganoを主宰されている後藤光章様より、長野県の北信地方におけるツキノワグマの保護管理と被害防除の現状についてお話し頂きました。



クマの被害を防ぐには、クマが好きなトウモロコシや果樹などの誘因物をきちんと防除することが大切であることなど、現地での豊富な御経験に基づきお話し頂きました。

続いて山本から、サルを中心として集落で取り組む被害対策として
鳥獣の被害対策の単位である集落のみなさんの合意に基づき被害対策を行うために導入されている集落環境診断の手法についてお話しさせて頂きました。



また、南魚沼市の鳥獣被害対策のモデル地区となっている船ヶ沢新田地区で船ヶ沢自然融和会という鳥獣被害対策のための地元住民団体を設立された地域リーダーでいらっしゃる高橋富美男氏から、これまでの船ヶ沢新田における鳥獣被害対策のとり組みについてお話し頂きました。




総合討議の前に、全国山羊ネットワーク代表の今井明夫氏から里山と里の間に設置すると効果の高い緩衝帯整備にヤギを導入する事例についても急遽御紹介頂きました。



総合討論では、野生鳥獣被害対策を進める上で問題となっている狩猟者の高齢化、人口減、
そして銃刀法の規制が厳しくなったことや若者のレジャーの多様化により、若い猟友会員が増えないことなどの問題がとりあげられました。



第一回目の研修会として非常に中身の濃いものとなりました。
何より、本来のクーラーの効いた研修室では人が入りきらず、
クーラーのない体育館での実施にもかかわらず最後まで熱心に聴講いただき、
総合討論では熱心な御発言をいただいた参加者の皆様に心より御礼を申し上げます。

なお、当日の研修会については県のHPにも報告がアップされております。
こちらも是非御覧下さい。

http://www.pref.niigata.lg.jp/minamiuonuma_kenkou/1346101253971.html



文責 会長 山本 麻希