このHPでもお知らせしていた通り、去る7月13日(土)に十日町市の大厳寺高原にてブナの開花(結実)調査を実施しました。
当日はあいにくの雨にも関わらず、19名の方々が参加してくださいました。
まず、長野がブナの開花(結実)の豊凶について、そしてクマの出没との関係について説明した後、調査の方法を皆で確認して早速調査を開始しました。参加者を6つのグループに分け、それぞれトレイルの左右について重複を避けながらブナの開花(結実)状況を双眼鏡で目視しながら判断していきます。評価基準は、森林総合研究所の基準に準拠し
非結実:まったく実がない
一部 :ごくわずかな実がつく
部分 :樹冠上部に多くの実がつく
全体 :樹冠全体にたくさんの実がつく
としました。
1グループ2名から3名の方々が同じ個体を観察し、どの基準とするかを判断します。もし、判断に違いがあった場合は、互いに確認しあい、再度判断するという方法を取りました。例えば、私が非結実だと判断しても、実は一部に実がついていることがあり、実際は“一部”であったこともありました。このようにたくさんの目で見ることで判断の精度が上がります。
参加いただいた皆さんの日ごろの行いが良かったのか、調査開始後すぐに雨も上がりました。ただし、湿度100%といった感じの蒸し暑さで、汗だくの中皆さん頑張ってくださいました。
昨年は大凶作といえるほど開花(結実)していなかったのですが、今年はそこそこ実を確認することができました。
詳細はこれからまとめますが、調査した203本のブナのうち、開花(結実)していた個体は116本で、開花個体の割合は57%でした。ちなみに、昨年は0%、一昨年は89%という結果でした。
ブナの開花率と秋以降のクマの目撃・痕跡数の間には高い相関関係のあることが分かっています。ただし、昨年は大凶作でしたが、私たちが想像していたほどのクマの出没はありませんでした。
ブナの開花(結実)調査は地味な活動ではありますが、春のブナの開花率から秋以降のクマの出没を予測できる可能性が大いにあります。ただし、精度を高めるためには今少し継続して、広範囲でデータを取り続ける必要があります。
多くの会員の方にもこの調査法を体験していただき、身近なブナ林で楽しみながら調査をしていただくことで、人とクマとの共存に一歩でも近づけると思います。大厳寺高原での調査は、多くの方々に楽しみながら調査手法を理解していただく目的で実施しています。もちろん来年も実施しますので、皆さん是非ご参加ください。来年こそは、勉強会+調査+温泉+一杯というスケジュールを実現したいと思っています。
最後に、調査終了後の集合写真。
皆さんの、やりきった感いっぱいの笑顔が印象的でした。
(文責 長野康之、写真提供 樋口正仁氏)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます