NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ (Wiron)

新潟で生じている野生鳥獣の問題を解決し、野生動物と人間が共存できる社会を目指して活動します。

『ツキノワグマの農作物被害防除と保護管理』 in 津南町 開催しました

2011-09-07 18:55:14 | イベント・研修報告
去る9月3日(土)に津南町公民館(文化センター)にて講演会『ツキノワグマの農作物被害防除と保護管理』を開催し、 9月4日(日)には、クマ被害対策のために電気柵を設置したデントコーン(家畜飼料用のトウモロコシ)畑やクマ捕獲のために仕掛けられた檻の視察を行なう現地研修会を開催しました
台風12号が停滞し、時折吹き付ける強い雨と風にも関わらず56名の方々が参加してくださいました

講演会は、まず長岡技術科学大学助教・新潟ワイルドライフリサーチ会長の山本麻希さんから『日本におけるツキノワグマの現状について』と題して、ツキノワグマの現状と、なぜ農作物被害が生じるのか、私たちは何をしなければならないのか、分かりやすく解説していただきました。

続いて、長野県北信地方のクマ対策員として活躍し、ワイルドライフサービス代表、B.S.C.N(Bear Smart Community Nagano)代表の後藤光章さんに、『長野県北信地方におけるツキノワグマの保護管理と被害防除の現状』と題して、後藤さんが取り組んでおられる長野県での事例についてたくさんの写真を交えてお話頂きました。後藤さんはもう10年以上クマに関わっておられて現場での経験が豊富なので、発言の一言一言に非常に重みがあり、私たちも多くを学ばせていただきました。(←後藤さん、これからもよろしくお願いいたします。)



次に国際自然環境アウトドア専門学校の長野が『津南町における被害実態アンケート結果について』紹介し、

最後に津南町地域振興課農林班の高橋将さんに『津南町におけるツキノワグマ対策の現状』として話していただききました

会場の様子


最後は、質疑応答のほか、何人かの参加者の方からは貴重なコメントをいただきました。問題が問題だけに、この講演会で何か結論が出たわけではありませんが、様々な立場の方々が共通の問題について話ができたことで大変貴重な時間となりました。

一夜明けた4日(日)は台風の影響が色濃く残る天候の中、現地研修会を実施しました
現地でクマの被害について解説してくださっている大口猟友会会長と参加者たち


デントコーン畑に張られた電気柵


クマ捕獲用に仕掛けられた罠


現地では、後藤さんから電気柵の張り方のコツなど、現場でしか分からないことを解説していただいたり、津南町でのクマの捕獲事情を聞かせていただくなど、盛りだくさんな内容となりました。

天気が悪かったのが残念ですが、これをきっかけに今後もこうした講演会や研修会などを継続的に開催していき、新潟県のクマの、そして他の野生鳥獣の被害防除と保護管理、さらに人との共存を目指してWironはまだまだ頑張っていきます