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巡り逢いの妙① 姓名の縁(えにし)

2020年08月24日 | 日記
時は戦国時代。1575年の長篠の合戦で甲斐の武田軍が織田信長公の鉄砲隊に惨敗を喫したことは有名ですが,ここに不思議な縁を辿る夫婦の話をしたいと思います。

武田軍の配下に木曽義昌公という方がいらっしゃいますが,この方は平安時代末期に平家を滅ぼした源氏の一族だった木曽義仲公の子孫ということになっております(諸説ございますが)。そしてその奥方であらせられますのが武田信玄公の三女,真理姫でございました。

しかしながら長篠の合戦後,かつての勢力を失いつつあった武田氏を裏切って織田側に寝返ってしまったということは余り知られていません。1992年の大河ドラマの中でも緒方直人さんが演じる信長公が「木曽義昌が寝返って我らを案内する」と言う場面があります。真理姫を娶るいきさつでも戦で破れた木曽氏が降伏していますから,自然の流れと言えば自然なのかもしれませんが,問題となるのは妻の一族を裏切って滅ぼすことに手を貸してしまったという一点なのでございます。

平成の世の中になってある,カップルが結婚にこぎ着けました。

木曽氏の流れを汲む一族に生まれた青年が出会ったのは武田氏の流れを汲む一族に生まれた女性。

青年の兄の嫁が,偶々戦国の史実に明るく,義弟の嫁となる女性の名字を聞いてドキリとしたそうです。

その姓の響きは明らかに武田氏の子孫ということを示している上に名の響きには「真理」を連想させる"M"と"R"の音が存在していたからです。

それでも,二人の仲睦まじい様子を見ている内に,そんな古の縁故に纏わる懸念など愚かしいことだと,いずれ忘れてしまう兄夫婦なのでした。

余談ですが,これも複雑な話になってしまいますが,彼の兄とは申しましても,実は彼らは腹違いの兄弟であって,正当な流れは弟にありましたから,それを物語るエピソードもあるのです。

弟夫婦が短期旅行に出掛けた際,通りすがった神社が気になって立ち寄ってみると,それが偶然「義仲公の産湯の地」だったなどという事がありました。それに対して,兄夫婦が「先祖供養」を目的に,長野の"義仲寺(ぎちゅうじ)"に参った際には激しい雨に見舞われ,雨が凪ぐのを待って車外に出ようとすると雨が強くなって,まるでお参りを阻んでいるのではないかという事もありました。しかも兄はその旅行から帰宅するや体調を崩し手術まで受けるという志儀に至ったのであります。

考え様によっては,弟夫婦がご先祖との縁が強いという事を示しているということもあります。

いずれにしましても,数年経って弟夫婦が離婚しました際には,何となく古の縁というものを少しだけ思い起こす兄夫婦なのでありました。

これもまた余談に他なりませんが,弟の名前には義昌公の意味名とも言うべき「義」という字が入っております。その義昌公の幼名であった「宗太郎」には字こそ異なりますが兄の名前に通じるものですし,亡父が兄のことを「そうたろう」と好んで呼んでいたのは本当に偶然だったのでしょうか。

因みに,義仲公のお従弟で,義仲公を討ち果たした義経公の伝説が残る銚子市と,秀吉公の御代になって家康公と共に関東に領地を頂いた義昌公が開いた旭市を生活の中心としている兄夫婦がこの地に導かれましたのには,また別の「巡り合わせ」がございます様で,それは別の機会に。


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