“Are You Wimpy?”を時系列で再編して細かな修正を加えて・・・原稿用紙250枚分くらいになることが発覚。結構たくさん書いていたんだなと感慨深かったですが,元々書き始めた段階で,小説なんか書いたこともないワタシがひたすらに脳裏に浮かぶ映像だけを「ボキャブラ地獄」に陥りながら作文したものだから,時を少し置いて客観的に読み直すと,自分でも「?」って思うトコがイパーイありました(爆
いろいろと訂正して完成し,ダメ元でとあるコンクールに提出してみました。身の程知らずもいい所です。落選した段階で,ココに上げる予定ですので,出入りしてくれている皆さんはお楽しみに。
取り敢えず,自分なりにまとめ終わったなぁって感じがするので「巡り逢いの妙」シリーズも再開しなければ。それに,「TOP SECRET」ってシリーズの構想も。「いいね」はつきませんが,たまに読んでくれてる人もいるみたいなので…。
…と思いつつも,この数日間は“Are You Wimpy?”が映像化されたらなんて妄想を抱いてワクワクしてました。
俳優志願の14歳次男が映画監督に憧れてるっていうのもあるので,いずれはまとめた原稿を「遺言」代わりに残そうかと。
…それで,実は映画「Are You Wimpy?」のエンディングタイトルのBGMに松田聖子さんの「薔薇のように咲いて 桜のように散って」をこれまた勝手に設定して繰り返し聞きながら絵コンテも描いたり。




…それから円山さんに山田孝之さんをキャスティングしたりして…。



妄想は勝手ですから,エゴイスティックに楽しんでいます。
因みに音楽担当は銚子出身の樽屋雅徳さんと決めてますw
面白い様に細かい矛盾点やら気に入らない表現とか凡ミスが発覚。
何しろ30年程前の話なんで・・・

( ´艸`)
時は戦国時代。1575年の長篠の合戦で甲斐の武田軍が織田信長公の鉄砲隊に惨敗を喫したことは有名ですが,ここに不思議な縁を辿る夫婦の話をしたいと思います。
武田軍の配下に木曽義昌公という方がいらっしゃいますが,この方は平安時代末期に平家を滅ぼした源氏の一族だった木曽義仲公の子孫ということになっております(諸説ございますが)。そしてその奥方であらせられますのが武田信玄公の三女,真理姫でございました。
しかしながら長篠の合戦後,かつての勢力を失いつつあった武田氏を裏切って織田側に寝返ってしまったということは余り知られていません。1992年の大河ドラマの中でも緒方直人さんが演じる信長公が「木曽義昌が寝返って我らを案内する」と言う場面があります。真理姫を娶るいきさつでも戦で破れた木曽氏が降伏していますから,自然の流れと言えば自然なのかもしれませんが,問題となるのは妻の一族を裏切って滅ぼすことに手を貸してしまったという一点なのでございます。
平成の世の中になってある,カップルが結婚にこぎ着けました。
木曽氏の流れを汲む一族に生まれた青年が出会ったのは武田氏の流れを汲む一族に生まれた女性。
青年の兄の嫁が,偶々戦国の史実に明るく,義弟の嫁となる女性の名字を聞いてドキリとしたそうです。
その姓の響きは明らかに武田氏の子孫ということを示している上に名の響きには「真理」を連想させる"M"と"R"の音が存在していたからです。
それでも,二人の仲睦まじい様子を見ている内に,そんな古の縁故に纏わる懸念など愚かしいことだと,いずれ忘れてしまう兄夫婦なのでした。
余談ですが,これも複雑な話になってしまいますが,彼の兄とは申しましても,実は彼らは腹違いの兄弟であって,正当な流れは弟にありましたから,それを物語るエピソードもあるのです。
弟夫婦が短期旅行に出掛けた際,通りすがった神社が気になって立ち寄ってみると,それが偶然「義仲公の産湯の地」だったなどという事がありました。それに対して,兄夫婦が「先祖供養」を目的に,長野の"義仲寺(ぎちゅうじ)"に参った際には激しい雨に見舞われ,雨が凪ぐのを待って車外に出ようとすると雨が強くなって,まるでお参りを阻んでいるのではないかという事もありました。しかも兄はその旅行から帰宅するや体調を崩し手術まで受けるという志儀に至ったのであります。
考え様によっては,弟夫婦がご先祖との縁が強いという事を示しているということもあります。
いずれにしましても,数年経って弟夫婦が離婚しました際には,何となく古の縁というものを少しだけ思い起こす兄夫婦なのでありました。
これもまた余談に他なりませんが,弟の名前には義昌公の意味名とも言うべき「義」という字が入っております。その義昌公の幼名であった「宗太郎」には字こそ異なりますが兄の名前に通じるものですし,亡父が兄のことを「そうたろう」と好んで呼んでいたのは本当に偶然だったのでしょうか。
因みに,義仲公のお従弟で,義仲公を討ち果たした義経公の伝説が残る銚子市と,秀吉公の御代になって家康公と共に関東に領地を頂いた義昌公が開いた旭市を生活の中心としている兄夫婦がこの地に導かれましたのには,また別の「巡り合わせ」がございます様で,それは別の機会に。
武田軍の配下に木曽義昌公という方がいらっしゃいますが,この方は平安時代末期に平家を滅ぼした源氏の一族だった木曽義仲公の子孫ということになっております(諸説ございますが)。そしてその奥方であらせられますのが武田信玄公の三女,真理姫でございました。
しかしながら長篠の合戦後,かつての勢力を失いつつあった武田氏を裏切って織田側に寝返ってしまったということは余り知られていません。1992年の大河ドラマの中でも緒方直人さんが演じる信長公が「木曽義昌が寝返って我らを案内する」と言う場面があります。真理姫を娶るいきさつでも戦で破れた木曽氏が降伏していますから,自然の流れと言えば自然なのかもしれませんが,問題となるのは妻の一族を裏切って滅ぼすことに手を貸してしまったという一点なのでございます。
平成の世の中になってある,カップルが結婚にこぎ着けました。
木曽氏の流れを汲む一族に生まれた青年が出会ったのは武田氏の流れを汲む一族に生まれた女性。
青年の兄の嫁が,偶々戦国の史実に明るく,義弟の嫁となる女性の名字を聞いてドキリとしたそうです。
その姓の響きは明らかに武田氏の子孫ということを示している上に名の響きには「真理」を連想させる"M"と"R"の音が存在していたからです。
それでも,二人の仲睦まじい様子を見ている内に,そんな古の縁故に纏わる懸念など愚かしいことだと,いずれ忘れてしまう兄夫婦なのでした。
余談ですが,これも複雑な話になってしまいますが,彼の兄とは申しましても,実は彼らは腹違いの兄弟であって,正当な流れは弟にありましたから,それを物語るエピソードもあるのです。
弟夫婦が短期旅行に出掛けた際,通りすがった神社が気になって立ち寄ってみると,それが偶然「義仲公の産湯の地」だったなどという事がありました。それに対して,兄夫婦が「先祖供養」を目的に,長野の"義仲寺(ぎちゅうじ)"に参った際には激しい雨に見舞われ,雨が凪ぐのを待って車外に出ようとすると雨が強くなって,まるでお参りを阻んでいるのではないかという事もありました。しかも兄はその旅行から帰宅するや体調を崩し手術まで受けるという志儀に至ったのであります。
考え様によっては,弟夫婦がご先祖との縁が強いという事を示しているということもあります。
いずれにしましても,数年経って弟夫婦が離婚しました際には,何となく古の縁というものを少しだけ思い起こす兄夫婦なのでありました。
これもまた余談に他なりませんが,弟の名前には義昌公の意味名とも言うべき「義」という字が入っております。その義昌公の幼名であった「宗太郎」には字こそ異なりますが兄の名前に通じるものですし,亡父が兄のことを「そうたろう」と好んで呼んでいたのは本当に偶然だったのでしょうか。
因みに,義仲公のお従弟で,義仲公を討ち果たした義経公の伝説が残る銚子市と,秀吉公の御代になって家康公と共に関東に領地を頂いた義昌公が開いた旭市を生活の中心としている兄夫婦がこの地に導かれましたのには,また別の「巡り合わせ」がございます様で,それは別の機会に。
手紙を読み終えて一呼吸置いてからページを揃えて元の通りに畳んでいると,ニコニコと微笑みながらハーデット氏は幸せそうに話し始めた。
「こんな手紙を息子から貰うなんて・・・」
3年ほど前,ジェイソンは大学を出るとすぐに軍隊に志願したのだという。それはハーデット氏にとっては思いも寄らないことで,最初は強く反対したが,強気の息子を宥めることができなかった。それで仕方なく,軍隊の厳しさを身に染みて分かっている彼が根回しをして,安全な事務職に息子が配属される様に画策した。そのことが返って息子の気持ちを逆撫でして親子の関係に多少なりとも亀裂が入った様だ。以来,ジェイソンは父親との連絡を絶ち,まるで反抗するかの様に敢えて危険な任務に就く事を希望し続けたそうだ。それでも,この年の最初に勃発した湾岸戦争で,彼が所属する部隊への派遣命令は下されなかったらしい。ハーデット氏には本当に身に覚えのないことであったが,ジェイソンはそれも父親の策謀なのだと思い込んでいた様だ。
「ジェイソンさん,怪我が大したことないといいですね」
僕は手紙をゆっくりとハーデット氏に返した。
「ありがとう,ソーヤン。・・・泣いてるのですか」
「いえ・・・」
僕の両目からは無意識に涙が零れ落ちていた。その時の僕は,ホッとしたせいか,さっきまでの緊張の糸が完全に解けて全身が弛緩していく様な感覚を覚えていた。
「やさしい息子さんですね・・・。僕も日本の両親を思い出しました」
「・・・やはりあなたは・・・」
そう言いかけたハーデット氏は,僕の涙に釣られたのか,胸ポケットから取り出したハンカチで目元を拭いながら手紙を仕舞った。
「いや,もういいのです」
「ハーデットさん・・・?」
「ソーヤン,息子に会ってもらえますか」
「僕もジェイソンさんに会いたいです」
「そうですか,それは光栄です」
「クリスマスの週は・・・確か28日が土曜日ですね。どうですか」
「必ず」
「ではこの時間にここで・・・」
ハーデット氏は2,3度頷いてから,テーブルを両手でポンと叩くと,「飲み直しませんか。私に奢らせてください」と言ってカウンターに向かおうとしたが,思い立った様に名刺を僕に差し出した。
「遅ればせながら・・・」
僕は名刺に記された名前を見てようやく合点がいった。僕が“Wimpy”と呼ばれていたように,ジェイソンの源氏名が“Victor”だったんだ。思い起こせば,赤いベレー帽にサングラスを掛けたイギリス兵,そして気味の悪い笑い声を上げる,僕たちが「ガードマン」と呼んでいた連中の1人は同一人物だった。ああ,そう言えば確か喘息もちだと言っていたっけ。
「ビクター・ハーデットさん?」
「ええ。息子に劣らず大それた名前をつけられたものです。よろしく」
ニッコリと微笑んだ老人はそう言い捨ててから大勢の客の間を縫ってカウンターの方へ進んだ。
勝利という意味の“victory”を想起させる名前は,まるで僕の仇名の“wimpy”とは正反対のイメージを持っていた。僕は決してジェイソンが思う様な英雄じゃない。僕のことを何度も助けてくれたビクターこそが英雄ではないのか。複雑な心境で自分が何者なのかも未だ分かっていない僕は自分自身に問いかけた。。
「Are You Wimpy?」
それから深呼吸を1つしてから自答した。
「Sure, I am.」
そう呟くと,僕は込み上げる笑いを抑える事ができなかった。リアノは,よくもまぁピッタリの名をつけてくれたものだ。その通り,僕は何も成し遂げられないただの弱虫なんだ。
手紙にも書いてあったが,ジェイソンは僕の心情を計るためにライフルに弾丸を込めなかった。ならば父親の名前を使うことでハーデット氏の心情を計っていたのだろうか。そうでなければ,父親の名前を騙ることはないだろうに。
円山さんを探す目的で2度目のミッションに参加した僕だったが,その望みは叶えられず失望の内に帰国した。僕は想像を絶する過酷な状況に置かれ,自分自身が生きていくことすら危ぶまれていた。帰国直前に行方不明になったビクターのことも気がかりだったが,そのビクターがこうして生き延びていて,しかも円山さんの情報を手に入れてくれたというのは朗報だった。ただ,その時の僕は円山さんの様子を詳しく知るのを少し恐れていたかもしれない。僕が偶然目にしたあの新聞には鬼のような形相の円山さんが写っていたからだ。円山さんは間違いなくイレイナの為に武器を取った。それはイレイナを守る為か,それとも・・・。いずれにしても僕とは違うベクトルを彼は抱えていた。アジャやイーゴを失った僕の心には悲しみと同時に怒りと絶望が渦巻いていたはずだが,それは決して僕のことを復讐の路へとは駆り立てなかった。もしそれが僕のような不信心な者への神様の思し召しで,最愛の人たちを失った空虚を埋めるような新しき出会いを授けてくれたのならば,それは何と我が身の幸いなることかと思っていた。そんな僕にとって円山さんの心情はいかなるものか計り知れぬものがあった。
「Cheers!」
ハーデット氏と僕はグラスを頬まで上げて,この日の出会いを祝福し合った。ドロリとしたギネスの舌触りの向こうから爽やかな炭酸が僕の口の中の傷を微かに刺激するのと同時に殴られた顎の左側がズキズキと疼いた。ハーデット氏は一気に飲み干したパイントグラスをコンという乾いた音をさせながら優しくテーブルの上に置くと,気持ち良さげにフーっと息を吐いて微笑みかけた。それはあの「神の息吹」とは似ても似つかない生に満ちた勢いを湛えていた。僕の様子を伺う彼の視線に煽られる様に,僕も残りのビールをゴクゴクと飲み尽くした。僕はハーデット氏と同じように息を吐いてグラスを彼のグラスの脇に並べた。そして「皆さんのところへ戻りましょう」というハーデット氏の合図で僕たちは何事も無かったかの様にテーブルを後にした。外の気温は下がりつつあったが,ブランズウィックは客の熱気でポカポカと暖かかった。あと3週間ほどで新しい年を迎えようという週末は,賑やかな雰囲気の中で蕩ける様に過ぎていくのだった。
-THE END-