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妄想する美術史。

妄想と現実間のアートの歴史記録

美術館ブーム?

2005-05-16 | その他美術

『日経おとなのOFF』といい、『東京人』といい、美術館にスポットが当てられている。
『BRUTUS CASA』『美術手帖』では世界の美術館を紹介されることはあったけど、日本の美術館にスポットを当てられることはほとんどなかったと思う。こんなに美術館にスポットが当てられるようになったのは、安藤忠雄氏の功績によるものが大きいのかもしれない。

安藤忠雄氏は積極的にマスメディアを使い、自分の考えや自分の建築、自分の好きな建築を積極的に紹介している。私の拙い記憶によると彼は建築学会に所属していない一匹狼な建築家だ。それまで建築家は専門誌に作品や専門の批評家対象の小難しい論文を載せているだけだった。わかる人がわかる建築であればいい。そんな風潮があったように思う。彼はそんな風潮を打破した。そのおかげで公的な空間にありながら閉ざされた建築は、少し風通しのいいものになった。一般の人々が建築に興味を持ち始めたために、集客の要素のひとつとして美術館建築を有名な建築家に依頼するようになってきた。建築家側も美術館の仕事は、住宅建築をするよりクレームは少ないし、より多くの人に外観と内部空間を体験してもらえるし、評価も上がりやすい。美術館を運営する方にとっても建築家にとってもこれはメリットが大きい。

建築が少し風通しのよいものになったことは、歓迎されることだけど、美術館建築に偏る傾向はどうも素直に喜べない。建築史家 藤森照信氏の『特選美術館三昧』によると、日本の美術館は世界に比べると圧倒的に多いらしい。美術好きとしてはうれしいことだけど、本当にそこまで必要なのか疑問に思う。ここ10年でデパート系の美術館をはじめとする美術館が閉館している。私立の美術館が閉館していく中で公立の美術館は増えている。公立だから安全というわけではない。現に芦屋の美術館は経営難で今後どういった形で経営していくか問題になっている。こういった問題が今後増えていくような気がしている。美術館バブルの時代と言われてもおかしくない時代だ。ブームは去っていくものである。その中の一部は定着していくかもしれないけど、このブームは定着しないような気がしている。ちょっと杞憂すぎるかな。



黒い絵

2005-05-03 | その他美術



短大生のときに海外研修でスペインに行きました。スペイン滞在日程は2日間。
2日の間の主なスケジュールはプラド美術館で絵画鑑賞、夜はフラメンコショーを鑑賞して翌日トレド観光。

実は、その時、美術館にはあまり興味はありませんでした。
「快楽の園」、ベラスケスの「ラス・メニーナス(女官たち)、デューラーの「自画像」が見れればいいなぁ。それくらいの気持ちでしかありませんでした。

そんな軽い気持ちで鑑賞していましたら、ある絵が私の目に飛び込んできました。
それは、ゴヤの「わが子を喰らうサトゥルヌス」。あまりのグロさに目をそむけることもできず、立ち尽くしてしまいました。しばらくして少し正気を取り戻し、あたりを見回してみると、他にもゴヤの「黒い絵」シリーズがありました。「パニック」又は「巨人」に「マドリード 1808年5月3日」。特にチェックしていなかった画家の衝撃的な絵に息ができなくなりました。体も金縛りにあったように身動きもできず、ただ絵の前で立ち尽くすだけでした。目からは涙が流れました。絵にはこういう力があるのだとはじめて知りました。

こういう体験がまたしたい。そんな思いから、私の美術館通いが始まりました。
少しでも素直な自分になりたいから、少しでも素直に感じたいから、だから、私は美術館には一人で行くようにしています。
(現代美術と彫刻は、人と行くことが好きですが。)



因みにリンク先はかつて私が持っていたHPからです。

模写とコピー

2005-04-06 | その他美術

この間、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展を見ていたときのご婦人二人組の会話
ラ・トゥールの模作を見て
A 「まぁ~模作よ!!コピーって許されるのっ!!」
B 「ラ・トゥールの作品はほとんど残っていないから、これも貴重な資料なのよ」
A 「でも、コピーでしょ!」
B 「・・・^^;」
恐らく、Bさんが招待券か何かを持っていてAさんを誘って展覧会にきたのでしょう。Bさんは連れてこなければ良かったと少し後悔した様子でした。
私はこのやり取りを見て、密かに笑ってしまいました。ここ数十年、著作権問題があちらこちらで取り立たされているから、ちょっと知識を持ってしまった人はそれを使いたくてしょうがないのかな。新しい知識を得た子供みたい。そして同じような会話がゴッホ展でも聞こえてきました。世の中、変なところで著作権に敏感になりすぎです。

絵がうまくなりたいから巨匠の絵を模写して学ぶのは勿論問題ではなく、その模写したものを自分の作品だと発表してしまうことが問題になるわけです。でも、この線引きというのが現代アートにおいて微妙になってきているのも事実なんですよね。フェルメールの『画家のアトリエ』を単純に二倍にしただけの作品を1968年にマルコム・モーリーという人が発表していたり、自ら贋作作家と名乗るマイク・ビドロいにいたっては、ピカソ風、ポロック風、マチス風の絵を発表しています。ビドロが皮肉っているのは、絵だけではなくタイトルもマグリットの『これはパイプではない』をもじっているところも面白い。ビドロは知ったかぶっている人に対して偽者を提示しても感動するのではないかという皮肉が込めているのかもしれません。確かに、誰々の絵というだけで、特別なフィルターを無意識にかけてしまう自分がいます。有名な画家が描いた絵ならば、本心ですばらしいと思っていなくても長く見てしまうことはたまにあります(笑)贋作が目の前にあっても恐らく私は気がつかないでしょう。そんな風ないろいろなことを考えていると、何故、私は絵を見に行くのだろうと考えてしまいます。まぁ、答えはできるだけいいものを見たい。できるだけ、何かを感じたいからとちゃ~んとあるんですけどね。。。

ん~ このテーマ、やっぱり気軽に書ける内容ではなかったようです。反省。じっくり時間のあるときにまた考えましょ。

<参考図書>
名画に教わる名画の見かた 視覚デザイン研究所
美術の入門書です。活字を読みたくないときに息抜きで読んでいます。

ご利用は計画的に

2005-04-03 | その他美術

今まで、大学生料金で展覧会を鑑賞できましたが、4月からは一般料金を払わなければいけません。ずっと、学割で会場に入っていたので、一般の料金が高く感じます。そこで、できるだけ安く見るための方法をあれやこれや考えてみました。

ぐるっとパス
提携施設を入場料無料や常設展・企画展の割引されるチケット。料金は2000円。期間は2ヶ月間。

2ヶ月はちょっと厳しいです。(でも、始めた年って1ヶ月だったような記憶があります。うろ覚えですが・・・)
大規模な企画展は100円~200円引きくらいでしょうか。HPがまだ2005年バージョンではないので確認できませんが、それくらいと見積もって10展覧会見ないと損してしまいます。常設展を見ることにしても6~7くらい利用しないと元が取れません。そして、こういうのを買ってしまうと元を取らなければならないと躍起になりそうな性格をしているので却下。

「前売券を買う」
王道だけど、侮れません。ただ、入手方法によって差がありそうです。

イープラス
配送手数料が100円か500円(1件につき)かかってしまいます。
ほとんど得しない、若しくは損をしてしまいます。

ぴあ
Iモードでないので、ファミリーマート引き換えだと手数料が100円。配送にしてもらうと手数料が600円(1件につき)。
やはり、ほとんど得しない、若しくは損をしてしまいます。

みどりの窓口
たぶん隣町に行かないと入手できなさそう。よって交通費300円プラス
あまりメリットないかも。。。

ローソン
HPでは手数料書かれてないことは・・・っとちょっと期待。
1度やってみようかしら。

「招待券入手」
情報収集をきちんとしなければいけないので、ずぼらな私には無理です。

でも、これだけ必死に考えても、割引される金額は100~200円。
招待券入手する手間を考えると、かなりめんどくさいし、
チケットがしょぼくなることを考えると、かなり微妙な気がしてきました。

思い出の美術館

2005-03-04 | その他美術

北海道立近代美術館は私が一番最初に行った美術館です。確か高校3年生の冬くらいに姉に連れられて初めて美術館デビューをしました。
最初に見たのはアールヌーボ-調のガラスの展覧会だったと思います。何故、姉は私を連れていこうとしたのか全く覚えていませんが、恐らく招待券でも持っていたから誘っただけなのでしょう。初めての美術館は、とても緊張しました。音をたててはいけない、人の鑑賞の妨げになってはいけないと思い、作品を鑑賞するよりも人の迷惑にならないようにするのが大変でした。しかし、本物の美術品を見るという行為、美術品に興味を持つ人しか集らない独特な美術館の雰囲気に妙な心地良さを感じました。

美術館の近くの短大に進学し、休講時や授業の終わった後などに美術館に行っていました。特に興味のある展覧会が開かれてないときは、2階のロビーでぼーっと『回転螺旋・1月』と木々の緑を眺めて過ごしてました。短大を卒業後も近代美術館の近くで働き、仕事は休みがないくらい忙しかったのですが、休日出勤で早めに仕事が終わった日はロビーで過ごしていました。恐らく、現段階ではこの近代美術館が一番滞在時間の長い美術館かもしれません。そして、私の中で一番記憶に残っていて居心地のいい美術館はこの北海道近代美術館かもしれません。
今回、久しぶりに近代美術館に行きましたが、私にとって心地いい空気が流れていました。いろいろな思い出や記憶があるだけにこの美術館を訪れると不思議と安らかな気持ちになれます。

ムンクが好きです

2005-02-11 | その他美術

昔からムンクは好きです。
私のムンク好きの歴史は中学2年生頃から始まります。
その頃はまだまだ美術館デビューもしてなく、美術自体興味がありませんでした。
ある日曜日の朝、新聞の日曜版でムンクの『叫び』が紹介されていて、
その絵を見た兄は面白い絵があると私を呼び出し、私に得意げに見せました。
毒々しい後ろの夕焼け空と骸骨のような形が非常に印象的でした。
これが、最初のムンクの出会いでした。

っと気取って文章を書いてみましたが、その時の印象を正直に言うと、
「気持ち悪い、面白い絵だなぁ」

さて、その後も美術に興味を持つこともなく高校に入り、高校の帰り道に『THE GREAT ARTIST』という隔週発行の本があり、たまたまその週はムンクを扱っていて、恐る恐る手に取ってしまったが最後、ムンクから離れられない人間になってしまいました。

またも、オーバーな・・・

因みにその時、魅せられた絵は『マドンナ』
ムンクの『マドンナ』が好きな理由は簡単、すごく気持ち悪いから。
特に干乾びている胎児が不気味で怖くて、それでいてなんか気になってしまう。
こんなにも気になってしまう絵というものが、この世にあるのだとはじめて知り、それからずっとムンクという画家が気になり、好きになりました。

そして、短大に入り、ムンクが好きだと堂々と言うと、友達は私に当時流行っていたムンク人形を誕生日にプレゼントしてくれました。
その人形で遊んだのがこちらで、それをパワーアップしたのがこちらです。

前ふりが長すぎましたね(笑)




接吻

2005-02-09 | その他美術

クリムトの有名な絵ですが、この間ジュサブロー館に行ったときに奥の目玉座に向かう途中にさりげなくこの接吻のジュサブローバージョンがあったのです。高さが20センチくらいの小さな作品で展示されていたというより、さりげなくなにげなく置かれてました。
平面で装飾的な印象を損なわずに布で作られていてとても素敵に感じました。


実をいうとクリムトは高校時代、嫌いな画家でした。
嫌いな理由はクリムトの絵がひどく不健康に思えたからです。
当時、好きな画家はシャガールやルノワールでした。
一般的に好まれる画家ですね。
精神が今より健全だったと思われます。

クリムトの絵が好きになり始めたのはいつごろからなのかは残念ながら覚えていません。
気がついたら「愛しい」絵になっていました。
こんな風に溶けあうような接吻に憧れていました。
高校時代に不健康に感じていた絵は、いつのまにか私の中で健康的な絵に変わっていました。
大人になったってことかしら。

そして、6~7年ほど前にこの絵のパズルを作り、今もそのパズルは部屋に飾っています。


今年のまとめ

2004-12-29 | その他美術

今年見に行った、あるいは行かされた展覧会、美術館を覚えている限り列挙してみます。


12月22日 明和電機 ナンセンス=マシーンズ
NTTインターコミュニケーション・センター

12月22日 ヴォルフガング・ティルマンス展 Freischwimmer
東京オペラシティアートギャラリー

12月10日 フィレンツェ -芸術都市の誕生展
東京都美術館

12月10日 マティス展
国立西洋美術館

11月20日 生誕110年 速水御舟展
山種美術館

11月20日 東京国立近代美術館 常設展
東京国立近代美術館

11月20日 草間彌生展
東京国立近代美術館

10月1日 RIMPA展
東京国立近代美術館

9月5日 大阪市立東洋陶磁美術館

9月5日 祈りの道 ー吉野・熊野・高野の名宝-
大阪市立美術館

7月2日 栄光のオランダ・フランドル絵画展
東京都美術館

6月20日 京都市立美術館 常設展

6月20日 都のGOODTIMES 男・女・遊・楽展
細見美術館

6月20日 鳳翔館・平等院ミュージアム

6月17日 コピーの時代
滋賀県立近代美術館


今年の後半しか行ってないことが判明してしまいました。(汗)
そういえば、今年の前半は、映画館にちょっと行って、あとは、買ったばかりのハードディスクレコーダーでDVDを借りてきて見てました。

6月20日と9月5日は研修で回ったので。よーく見ることができなかったのよね。
大阪市立東洋陶磁美術館と細見美術館はいい感じの美術館でした。
展覧会で一番面白かったのはRIMPA展。構成がほんとうによかった。

来年の目標は30の展覧会制覇と日本美術と陶芸を少しわかるようになりたい。
あとは、来年こそアートナビゲーター検定試験の3級受験予定。(今年、予定がはいって受けそびれました)
3月には10の展覧会に行くわよ~。

それまでは、大学卒業が最大の目標だな・・・

30歳は・・・

2004-12-10 | その他美術

今日は、国立西洋美術館に「マティス展」を東京都美術館に「フィレンチェ-芸術の都市誕生展」を見てきました。
この詳細については後ほど書くつもりではおりますが、

その前に、、、「フィレンチェ-芸術の都市誕生展」でチラシにも載っているアントニオ・デル・ポッライオーロの「若い女性の肖像」の絵を前にした40歳半ばくらい女性二人の会話に笑ってしまいました。

A:ああ、これポスターに出ている絵じゃない?
B:若い女性なんだ・・・。でもさぁ~若く見えないよね。なんか30歳の中年に見えるわ。
A:ほんと、若々しくないわぇ~、首も長いし。この時代の絵ってみんな同じに見えちゃうわっ
B:ほんとほんと。

・・・・・・。
30歳は中年なのかぁ・・・