続・軍務尚書の戯言

国際情勢や医学ニュースに関して日々感じたことを残すブログです。

日米同盟の意義~その重要性~

2005-06-22 05:08:24 | 国際情勢
毎日新聞の実施した在沖縄米軍に関するアンケートで,沖縄県民の70%、全国では45%が「不要」と回答したとのこと。
第二次世界大戦末期の沖縄戦で民間人を含めた20万人が犠牲となり,戦後も在日米軍専用施設の75%が集中し米軍の理不尽な行為やレイプを含めた犯罪に苦しめられている沖縄県民が在沖縄米軍を拒否する気持ちは理解できる。
しかし全国でも45%もの人々が米軍基地の重要性を理解していないことには,驚きを通り越してあまりの「平和ボケ」にあきれるしかない。

小生は以前にも述べた通り,思想的には中道右派もしくは右派の穏健派といったところである。
そのため当然、左翼の平和ボケ夢想論にもとずく「米軍撤退と自衛隊の廃止」に関しては,夢物語として議論しない。
しかし同時に右派の一部の人々が唱える「米軍撤退と日本人による独自防衛」にも到底賛成できないのである。

まず第一に,アメリカが現時点で世界最強の軍事力・経済力を保有し,国際連合すら無視して他の独立国家を濡れ衣のもとに攻撃できる唯一の超大国であることは議論の余地はなく、同盟を破棄することは自殺行為に等しい点である。
今回のイラク戦争で明らかになった最も重要な事実,それは「アメリカににらまれたらどんなに国際連合で弁明しても攻撃される」「アメリカの決断を国際連合は掣肘できない」ということだ。
国際法や国際連合は,超大国アメリカの前では全く無力なのだ。
在日米軍の撤退とこれに伴う日米安保条約の改正はこのアメリカとの同盟を破棄することを意味し、以後アメリカから濡れ衣を着せられて攻撃される可能性が生じることを意味する。
これは軍事的な意味だけでなく,「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引く」と揶揄されるほどアメリカに依存している日本経済は,敵対的なアメリカ国内法を数本発行されればそれだけで大変な経済的損失を被る。
超大国との同盟を維持することで国際社会での地位を安定化させることは国際政治学の常識であり,在日米軍の撤退はこの常識に反するものなのである。

第二に,在日米軍なしに軍事的に日本固有の軍隊だけで日本を中国やロシアの侵略から防衛することは現状ではほぼ不可能に近く,しかも厖大なコストがかかる点である。
前述の「自衛隊の軍事力~隠された実力~」でも検証したが,確かに自衛隊の軍事力は現時点では装備の面で近隣諸国を圧倒しているが、それは装備においてだけで実際の自衛隊は専守防衛の制約に縛られてきわめて偏ったシステムに陥っており,実際の戦闘で兵器の額面どおりの働きができるかというと疑問符が付かざるを得ない。
さらに日本人は戦後の左翼系教育者による偏向教育により「頭の中お花畑」の平和ボケにどっぷりと浸かってしまっており,国家の基本的権利である「国土防衛」に関する意識の低さは笑福亭某と言うタレントがラジオで「竹島を韓国にやれば良い」と発言するほどなのだ。
こうした国民を再度教育して一つにまとめあげ,さらに自衛隊を単独で日本国土を防衛できるだけの規模にするためには厖大な時間と費用が必要である。
しかも仮想敵国である中国とロシアは核保有国であることから究極的には日本も核兵器の所有が必要になるが,国民感情を考えてもこれはほぼ不可能に近い。

第三に,日本が独自で自国を防衛できる軍隊を所有した場合,極東アジア諸国が確実に軍拡競争に突入する点である。
中国や韓国の日本に対する不信感と軍国主義化に対する恐怖感は,近年のアジア情勢を見れば容易に理解できる。
中国や韓国にとって、日本は東の島国で文化も共通したものが多いにも関わらずいち早く西洋化を成し遂げ、あろう事か同じアジアを侵略し、一旦は敗北したもののアメリカにすり寄って復活し大国としてのしあがった信用できない国なのだ。
日本が軍備増強に努めればこれらの諸国も恐怖心から軍拡につとめ,結果終わりのない泥沼の軍拡競争と極東アジア情勢の軍事的緊張をもたらすことになり,これは日本だけでなく世界情勢にも大きな影響を及ぼす。
また、最近のブッシュ・小泉両首脳の蜜月関係とは裏腹に,アメリカも日本を完全に信用してはおらず日本の軍備増強を望んではいない。
アメリカにとって日本人は「日頃は大人しいくせにキレると何するか分からない国」であり、真珠湾攻撃・万歳突撃・神風特攻は記憶に生々しく残っている。
アメリカも日本が同盟国として大人しくしていてくれる方を望んでいるのである。

小林よしのり氏が著書で主張している通りアメリカは白人優位主義国家であり,日本を蔑視し51番目の州ぐらいにしか考えていないことはよく理解している。
原子爆弾を動物実験感覚でソ連への威嚇のために投下したり,歴史上希有な都市への無差別爆撃を実施したうえ、東京裁判という茶番劇を堂々とやってのける国家だ。
そうして第二次世界大戦では多くの日本人の若者が白人の植民地支配から日本とアジアを守るという理想のもとに若い命を散らして逝ったことも知っている。

だからこそ現代に生きる我々は日本をいかにして安全で住み良く、世界に誇れる国にするかを真剣に考えなくてはならない。

在日米軍撤退と独自防衛を主張するのは勇ましいが,現状を分析すればあまりにも国際情勢を無視した暴挙だと言わざるを得ないのである。
また某次期政権政党・民主党岡田代表の言うアジア重視の外交政策と対米追従の見直し論がいかに空疎で「頭の中お花畑」な考え方であるかが理解できるだろう。

沖縄の人々には大変申し訳ないが,沖縄の米軍基地は今後ますます緊張の増す日米対中国の軍事戦略において最重要の拠点であり,アメリカが撤退することはあり得ない。
本土住民としては,償いとして保証金の拠出を進める一方,日米関係そのものをゆるがす米軍兵士の犯罪に関しては政府の毅然とした態度とアメリカ政府への断固とした再発防止策の要求ぐらいしか,沖縄のためにしてあげられないのが残念である。

今日の箴言
「泣く子とアメリカには勝てない」

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