領海基点内の無所有280離島、重要国土として国有化
産経新聞 1月5日(日)7時55分配信
政府が、領海の範囲を決める基点となる離島のうち、所有者のいない離島が約280に上ることを把握し、重要国土として国有化する方針を決めたことが4日、分かった。名前のない離島は名称を公募することも検討。業者に委託して所有者情報や面積などの精査を進めており、来年度から国有化後の具体的な管理方法を本格的に検討する。
山本一太海洋政策担当相が産経新聞の取材に明らかにした。内閣官房総合海洋政策本部によると、領海の基点を構成する離島は約400ある(重複を除く)。日本の領海は昭和52年の領海法などで境界が定まっているが、これまで基点となる島に所有者がいるかどうか調査していなかった。昨年8月から関係省庁で調査を進めたところ、有人離島が約50、無人離島が約350あることが判明。無人離島のうち所有者がいるのは2割で、所有者のいない無主の島が8割に上ったことが分かった。
山本氏は「国境離島の重要性に鑑みれば、無主の島は国有化しなければならない」と強調。国境離島の保全は、昨年4月から非公開で有識者懇談会(座長・奥脇直也明治大院教授)による検討を進めていた。今年3月に報告書が出るため、山本氏は「法律をつくる必要があれば状況をみて判断する」と話した。
さらに領海基点の離島のうち、名称のない島が160あることが新たに明らかになった。地域での呼び方を確認した上で、公募などで名称を確定するという。
離島の国有化をめぐっては、平成24年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化後、中国が海洋監視船を航行させたりして、挑発行為がエスカレート。有識者懇談会の中では、所有者のいる離島に関しても、国益や公共性の観点から強制収用案が浮上している。
■中韓に比べ出遅れ感
日本は約7千の島々からなる島国であるにもかかわらず、国境離島の保全はこれまであまりにもずさんだった。そもそも誰が所有しているか、所有者の国籍はどこなのかなど追跡できていない。中国や韓国と領土をめぐる対立が深まったことで政府が動き出したが、国有化後の管理については課題が残る。
総合海洋政策本部によると、灯台など航路標識の設置のための国有化は海上保安庁の所管だが、その他の場合、どこの省庁の管轄となるかは明確でないという。地方自治体の管理に委ねる手もあるが、離島への交通手段に費用がかかり、消極的な自治体が大半だ。
離島保全のずさんさにつけ込む形で、長崎県・対馬のように外資に防衛施設周囲の土地を購入された事例も発覚。特に中国や韓国と接する九州や沖縄の漁業者から、領海の管理強化につながる離島の保全を求める声が多かった。
韓国では2010年に無人島とその周辺海域を管理する法律を施行。中国も同年、無人島の国有化など海洋管理を定めた法律を制定した。日本でも自民党などが同様の法律案を作成し国会での採決をうかがっているが、出遅れ感は否めない。(天野健作)
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最終更新:1月5日(日)10時47分
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