憲法解釈を変えなければならない危機とは何か
NO.3
国会探検 田中良紹氏 2015.7/31から 文節ごとに分けて紹介します。
1972年は日本が高度経済成長の真っただ中にいた。
田中角栄内閣が誕生し「列島改造ブーム」が巻き起こっていた。
一方の米国はベトナム戦争の泥沼から抜け出るため、電撃的なニクソン訪中を行い、それが世界中に衝撃を与えた。
特に日本にとっては「寝耳に水」の大衝撃だった。
「親台湾で反中国」と思っていた米国が日本の頭越しに共産中国と手を結んだのである。
しかも周恩来とキッシンジャーとの間で日米安保体制は日本を自立させない「ビンのフタ」である事を確認し合った。
日本を永久に米国の従属国にしておくことが米中双方にとっての利益と考えられたのである。
その前年の8月15日にはニクソン政権が「金とドルとの交換停止」を発表、1ドル360円の固定相場制に終止符が打たれた。
それが終戦記念日に発表された意味は米国の日本経済に対する宣戦布告と見るのが経済界の常識である。
この2つの政策転換を「ニクソン・ショック」と呼ぶが、それは米国が日本を「反共の防波堤」として経済発展させた時代の終わりを意味していた。
ソ連が崩壊するといよいよ日本は米国にとって最大の敵となる。
米国議会は日本の仕組みを徹底分析して弱点を一つずつ攻め落とす方法を考える。
もはや冷戦時代のように米国が日本を保護する必要はない。
工業製品で世界を制覇した日本に対し、米国は情報と金融に特化して圧倒的な差をつけ、また最大の市場を持つ中国と手を組んで中国を世界の工場にすることで日本を牽制する。
平和憲法の制約もあり、軍事的に米国に依存するしかない日本に、周辺の脅威を煽れば米国製の兵器を買わせる事が容易である。
米国製の兵器を買えば日本が米軍の指揮下に入らざるを得ない状況も生まれる。
つまり平和憲法は米国の利益になる。
世界に脅威があると言えば日本は米軍に頼らざるを得ず、米軍基地を永久に提供し続ける事にもなる。
憲法の改正は下手をすると日本が自立する契機になり、米国の利益につながらない可能性もあるが、憲法改正ではなく、解釈によって集団的自衛権の行使を認めさせれば、米国に従属する中で米軍の肩代わりを自衛隊にさせることが出来る。
これこそが米国にとって一挙両得になると米国は考えている。
長年米国議会を見てきたフーテンはそう思うが、安倍政権の中枢はそうではないらしい。
米国の宣伝する周辺の脅威を鵜呑みにし、日本に差し迫った危機があるかのように言う。
しかし北朝鮮の核にびくついたり、中国の軍拡に脅威を感ずる感覚がフーテンには分からない。
中国が核を持った時に日本はどうしたか。
日本は自前で核武装しようとしたが米国がそれを認めなかったため、
日本は米国の核の傘の下に入った。
それ以来誰も中国の核にびくついていない。
ところが米国の核の傘があるのになぜ北朝鮮にだけびくつくのか。
びくつくようにさせられているだけではないか。
また経済大国が軍事大国になるのは当たり前である。
中国の軍拡はただそれだけの事でそれ以上の意味があるとは思わない。
しかも米国はまだ中国の軍事力に脅威を感じてはいない。
軍事力で米国に迫れるのはロシアだけである。
米中首脳会談を前に米国は南シナ海問題をクローズアップするが、それは会談前のジャブの応酬の一環で、会談が終われば終わる話である。
ところが安倍政権は中国の軍拡を憲法解釈を変える理由にする。
それでは米国の手のひらで踊らされるだけの話である。
日本の国益を考えた話とは思えない。
その程度の人間が政権の中枢にいる事を明示したのが今回の発言で誠にお粗末と言うしかない。(END)
如月の指針より
http://blogs.yahoo.co.jp/hattor123inakjima/33647867.html
NO.3
国会探検 田中良紹氏 2015.7/31から 文節ごとに分けて紹介します。
1972年は日本が高度経済成長の真っただ中にいた。
田中角栄内閣が誕生し「列島改造ブーム」が巻き起こっていた。
一方の米国はベトナム戦争の泥沼から抜け出るため、電撃的なニクソン訪中を行い、それが世界中に衝撃を与えた。
特に日本にとっては「寝耳に水」の大衝撃だった。
「親台湾で反中国」と思っていた米国が日本の頭越しに共産中国と手を結んだのである。
しかも周恩来とキッシンジャーとの間で日米安保体制は日本を自立させない「ビンのフタ」である事を確認し合った。
日本を永久に米国の従属国にしておくことが米中双方にとっての利益と考えられたのである。
その前年の8月15日にはニクソン政権が「金とドルとの交換停止」を発表、1ドル360円の固定相場制に終止符が打たれた。
それが終戦記念日に発表された意味は米国の日本経済に対する宣戦布告と見るのが経済界の常識である。
この2つの政策転換を「ニクソン・ショック」と呼ぶが、それは米国が日本を「反共の防波堤」として経済発展させた時代の終わりを意味していた。
ソ連が崩壊するといよいよ日本は米国にとって最大の敵となる。
米国議会は日本の仕組みを徹底分析して弱点を一つずつ攻め落とす方法を考える。
もはや冷戦時代のように米国が日本を保護する必要はない。
工業製品で世界を制覇した日本に対し、米国は情報と金融に特化して圧倒的な差をつけ、また最大の市場を持つ中国と手を組んで中国を世界の工場にすることで日本を牽制する。
平和憲法の制約もあり、軍事的に米国に依存するしかない日本に、周辺の脅威を煽れば米国製の兵器を買わせる事が容易である。
米国製の兵器を買えば日本が米軍の指揮下に入らざるを得ない状況も生まれる。
つまり平和憲法は米国の利益になる。
世界に脅威があると言えば日本は米軍に頼らざるを得ず、米軍基地を永久に提供し続ける事にもなる。
憲法の改正は下手をすると日本が自立する契機になり、米国の利益につながらない可能性もあるが、憲法改正ではなく、解釈によって集団的自衛権の行使を認めさせれば、米国に従属する中で米軍の肩代わりを自衛隊にさせることが出来る。
これこそが米国にとって一挙両得になると米国は考えている。
長年米国議会を見てきたフーテンはそう思うが、安倍政権の中枢はそうではないらしい。
米国の宣伝する周辺の脅威を鵜呑みにし、日本に差し迫った危機があるかのように言う。
しかし北朝鮮の核にびくついたり、中国の軍拡に脅威を感ずる感覚がフーテンには分からない。
中国が核を持った時に日本はどうしたか。
日本は自前で核武装しようとしたが米国がそれを認めなかったため、
日本は米国の核の傘の下に入った。
それ以来誰も中国の核にびくついていない。
ところが米国の核の傘があるのになぜ北朝鮮にだけびくつくのか。
びくつくようにさせられているだけではないか。
また経済大国が軍事大国になるのは当たり前である。
中国の軍拡はただそれだけの事でそれ以上の意味があるとは思わない。
しかも米国はまだ中国の軍事力に脅威を感じてはいない。
軍事力で米国に迫れるのはロシアだけである。
米中首脳会談を前に米国は南シナ海問題をクローズアップするが、それは会談前のジャブの応酬の一環で、会談が終われば終わる話である。
ところが安倍政権は中国の軍拡を憲法解釈を変える理由にする。
それでは米国の手のひらで踊らされるだけの話である。
日本の国益を考えた話とは思えない。
その程度の人間が政権の中枢にいる事を明示したのが今回の発言で誠にお粗末と言うしかない。(END)
如月の指針より
http://blogs.yahoo.co.jp/hattor123inakjima/33647867.html