63億円のゴミ
朝日新聞特別報道部・著「プロメテウスの罠」より抜粋、要約
◎63億円のごみ
日本から英仏に運んだ使用済み核燃料は再処理されプルトニウムが取り
出され、その時に出る高レベル廃棄物はガラスで固められ、500キロ
の「ガラス固化体」となる。
これらは放射性物質の崩壊熱により高温を発し、放射能も強くて近づけ
ない。青森の六ケ所村での中間貯蔵を経て地中深く埋められる予定だが
場所さえ決まっていない厄介なごみである。
昨年、英国の核物質運搬船が青森県のむつ小川原港に運んできた「ガラ
ス固化体」は76本あった。
それを関西、九州、四国、各電力が「輸入」する形で引き取り、函館関
税に申告した金額が約63億7千万円だった(1本当たり8,379万円)
「ガラス固化体」の返還が始まったのは1995年にフランスからで、
1本平均額が5,761万円となり、イギリスからの返還では平均額は
1本8,787万円となった(フランスの1,5倍)※これに消費税がか
かる。つまり、電力会社は「ごみ」にお金を払って輸入しているので
ある。
核燃料のリサイクルという形でこんなにも巨額の出費をし、更にその処
理にまた莫大な費用がかかる仕組みになっている。
そして、こうした費用は全て電気代に上乗せされていくのである。
「プロメテウスの罠」
著者・朝日新聞特別報道部 発行所・株式会社学研パブリッシング 初版・2012年7月17日
(画像はお借りしています)
使用済み核燃料の運搬船
輸送船から降ろされるガラス固化体の入った輸送容器
