わたしの里 美術館

とりあえず西洋絵画から始めて、現代日本作家まで

伐折羅大将像

2008-07-27 | 神仏や 神話の人物

 

 

 伐折羅大将  (ばさらたいしょう)

  国宝指定のおり、本地が薬師如来であるので、迷企羅(めきら)大将として登録されている。しかし新薬師寺に伝わる尊命は、伐折羅大将である。身の丈は、166.1cmであり、寅の方角 ( 3時から 5)をお守りしている。

 

 かっと見開いた目は、如何なる敵をも見逃さない。大きく開いた口からは、雄叫びがあたりじゅうにこだましている。右手に金剛杵と呼ばれる宝剣を、下段後ろに構えている。このかまえは右手正面を無防備にしたようにも見えて、いわば隙をみせている。ところが大音声の咆哮は、攻めかかる敵を怖じけさせる。よく見れば左手はつよく強張って、いかにも必殺の気合い充分なる様である。

 体躯は仏像によく見られる、 三曲法 で激しい動きを表現している。

 

 

 

十二将

四天王像などと同様、甲冑を着けた武将の姿で表され、十二体それぞれの個性を表情・ポーズなどで彫り分け、群像として変化を持たせた作例が多い。十二神将像は、中国では早くから制作され、敦煌壁画にも作例がある。中国では十二支と結び付けて信仰され、その影響により日本においても特に平安期以降の作品で頭上に十二支の動物を戴くものが多い。しかし十二体の像の持物(じもつ)、ポーズ等は必ずしも一定の様式に基づくものでなく、図像的特色のみから各像を区別することはほとんど不可能である。

日本では奈良・新薬師寺の等身大の十二神将像が、奈良時代(8世紀)に作られた最古の作であるとともに造形的にも優れたものとして名高く、以降も数多く制作されている。多くの場合、薬師如来を本尊とする仏堂において、薬師如来の左右に6体ずつ、あるいは仏壇の前方に横一列に安置されるが、新薬師寺のように立像で円形の仏壇周囲をぐるりと取り囲んで配置される場合もあれば薬師如来像の光背や台座部分に十二神将を表す場合もあるなど、表現形態はさまざまである。 (Wikipedia)

 

 

 


薬師十二神将(じんしょう)の一神で、伐折羅大将・金剛(こんごう)大将とも呼ばれます。
 勢至菩薩(せいしぼさつ)を本地(ほんじ)とする丑(うし)の刻(午前2時頃)の守護神で、七億の夜叉(やしゃ)をひきつれ、仏法を守護するという夜叉王です。その姿は一般的に、頭上に狗頭(くとう)をいただき、忿怒(ふんぬ)の相(そう)を表しています。左手は腰を押え、右手に剣を持っています。
 「伐折羅」は「バザラ」とも読み、ほかに跋折羅・跛折羅・伐闍羅の表記や、縛日羅(ばじら)・和耆羅(わきら)の呼び方もあります。
 「バサラ」は梵語(ぼんご)(サンスクリット)の「vajra」で、意味は異なりますが金剛や金剛杵(しょ)とも訳されます。金剛はダイアモンドのことで、右手に持つ剣が金剛杵なのです。


十二神将     刻(とき)    本地(ほんじ)

1 宮毘羅(くびら) 子神(23~ 1) 弥勒菩薩(みろくぼさつ)
2 伐折羅(ばさら) 丑神( 1~ 3) 勢至菩薩(せいしぼさつ)
3 迷企羅(めきら) 寅神( 3~ 5) 阿弥陀如来(あみだにょらい)
4 安底羅(あんちら) 卯神( 5~ 7) 観音菩薩(かんのんぼさつ)
5 アジ羅(あじら) 辰神( 7~ 9) 如意輪観音(にょいりんかんのん)
6 珊底羅(さんちら) 巳神( 9~11) 虚無蔵菩薩(こむぞうぼさつ)
7 因陀羅(いんだら) 午神(11~13) 地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
8 波夷羅(はいら) 未神(13~15) 文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
9 摩虎羅(まこら) 申神(15~17) 大威徳明王(だいいとくみょうおう)
10 真達羅(しんだら) 酉神(17~19) 普賢菩薩(ふげんぼさつ)
11 招杜羅(しょうとら) 戌神(19~21) 大日如来(だいにちにょらい)
12 毘羯羅(びから) 亥神(21~23) 釈迦如来(しゃかにょらい)
 そのお姿があまりにも際立(きわだ)って異様だったので、鎌倉末期ころから奇(き)をてらい華美をつくす振る舞いや派手(はで)な姿をする伊達者(だてもの)も「ばさら(婆娑羅・婆沙羅・婆佐羅・時勢粧)」と呼ばれるようになりました。
 足利尊氏(あしかが・たかうじ)に従い初期の室町幕府に重きをなした佐々木高氏(たかうじ)は『太平記(たいへいき)』で「ばさら大名」として描かれています。

 

 右の十二神将の表は一般的なもので、切手画像の伐折羅大将がある新薬師寺では、伐折羅大将の本地は阿弥陀如来となっています。
 そのため寺伝尊名と異なり、国宝指定名称では迷企羅大将となってしまいました。「改たむるに憚(はばか)ることなかれ」なのですが……。
 なお、宮毘羅大将は金毘羅(こんぴら)さまとしても親しまれています。
http://pddlib.v.wol.ne.jp/photo/stamp/basara.htm

 

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