朝7時、日曜日なのにお母さんが起こしにきた。
「ミミが・・・」。 見に行くと、直径1mの円の血の海。
その中にミミが横たわっている。 苦しいらしく、
ときどき両足で地面を蹴ってクルクルと回転して、右半身は
血だらけだ。
なんとか血の海から引き上げ布をかぶせてやる。
9時頃になると「キューン」と悲しい泣き声を数分間隔
で発するようになった。 「死にたくない」と言っているのか
それとも「苦しい。 助けて。」と言っているのか・・・。
この声を聞いていると、たまらなく辛くて寂しい。
午後になると、泣き声の間隔が長くなってきて、12時30分
頃には、とうとう声もでなくなった。 撫でてやっても、反応は
何もない。 自然に目頭が熱くなってくる。
16年と6カ月。 我が家に来たときは、親が恋しくて泣くので
二日間も添い寝をしてやった。
それからは、近くの山に行くときも、
春も夏も秋も冬も、休みの日は、いつも一緒だった。
この写真は4才のときのもの。
近所でも評判の賢いやつで、
こんなに美犬だった。
そして午後4時30分。 あの世に旅立っていった。
木を削って墓標を作り「ミミ ありがとう」と書いた。
ミミの横たわるベランダは、真っ赤な夕焼けで・・・。
(お前のことは一生忘れないよ)