私ね
事情聴衆と言うのを受けました
別に、悪いことした訳ではないのだけれど、色々聞かれました
人を疑ってはいけない そんな後ろめたさもあったけれど、被害届出しました
弊社の製品を、大きなトラックに積み込んで、 いったい何処に運んだのだろう
苗字と携帯番号だけ残して、立ち去ったその人は、何処のどなたなんざましょ
『現金で払いますから~』 そう言っていた割には、品物だけ持ち逃げ?して
肝心の携帯電話も、最初は留守電。。。のちに電源消されて、もうお手上げ~
一ヶ月以上無しのつぶてで、いよいよしびれをきらし、警察署に電話した次第です
根掘り葉掘り聞かれました 事案に関与した、相棒と息子と私の個人情報も
何もかも包み隠さず伝え、解決に期待して、その時を待つことにしました
そして。。。
始まりは電話にて、単価の問い合わせでした その時も『現金で払いますから~』
見積もり段階から、決定の報に変わり、配達依頼へと移って行った訳で-
何日かして、場所が分かりにくいから引き取りに来るとの連絡が入る
毎度毎度の『現金で払いますから~』を、やっぱり聞かされた その台詞、まるで呪文?
私が受けた電話では、パレットに積んで置いてくれと、相手側は言っていた
「パレットの貸し出しはしていないので、持参されたし!」 冷たき事務員(私)は発した
やっぱり私も聞かされた 『必ず現金で払いますから~』 今度は必ずがついていた
【飛び込みさん 現金は当然です!】 冷たき事務員は、腹の隅っこでそう叫んだ
ある雨の朝、その人はやって来た 4トントラックに、パレットがずらりと並んでいた
その荷台で、とびっきりの笑顔の現金マンでありました 麦わら帽子を被ってなさる
相棒親方は、フォークリフトを操って、一生懸命に積みこんでいます
その横を通り抜けた事務員は『現金で払いますから~』の現金マンに、軽く会釈した
事務所から自宅に戻っていた事務員は、きっと現金マンが現金を連れて来たと喜んだ
だがしかし、再び事務所に戻って見ると、領収書を発行した形跡が無い 何で?
既に立ち去った現金マンは、雨が降っていた為に『セメントは後で取りに来ます お金は
その時でいいですか?』と言って、帰って行ったらしい それじゃ現金払いの意味が無い!
一週間後、再び姿を現した現金マン 今度は息子が応対しました
先日のセメントと、新たに鉄筋を御用達 有り難く車に乗せて差しあげた、我が息子です
『あの… 今日は三万円しか持って来ていません 今から銀行に行って下ろして来ます
支払いは明日で良いですか?』 呪文に引っ掛かった我が息子、またもや見送りましたとさ
え! え! それじゃみすみす、お持ち帰り戴いたのではありませんか 事務員は憤る
何と言うお人好し親子なの? 苗字と携帯番号だけしか分からない現金マン サギだぁ-
いつも冷静沈着に接客する相棒は、何故免許証の写しをとらなかったかと反省しきり
そういう時に限って、冷たき事務員が事務所に居なかったのが、何とも悔やまれまする
はい その後は、電話掛けても出ちゃ来ない 笑顔のサギ野郎~ 二度と来ないわね
現金マンにとっては大した額じゃない? いいえ~ 私たちには大金です
悔しいやら情けないやら~ 事務員は、お人好し親子が哀れでなりませんでした ブ-ブ-
汗水垂らして、一生懸命に製造した製品を、ちゃっかり持って行った現金マン 何処行ったぁ-
そんな訳で、被害届を出したのでありました 先日、警察署から連絡が入りましたゎ
「現金マンお探しの人物の居場所が分かりました」って~~~
「ほ、本当ですかぁ~」 冷たき事務員の頬が緩んだ
=つづく=