東京23区のごみ問題を考える

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23区清掃工場 平成29年度ダイオキシン類の測定結果(排ガス、焼却灰、排水、雨水など)

2018年10月13日 16時40分28秒 | 東京23区のごみ

(注1)飛灰処理汚泥の法基準値 3ng-TEQ/g
(注2)ng(ナノグラム)とは、10億分の1グラムを表す単位        
ただし、※1は既設施設であり、法律に定める方法により飛灰を処理する場合、基準値は適用されない。
(注3)※2は飛灰を中防灰溶融施設等に搬送し、法律に定める方法により処理している。

東京二十三区清掃一部事務組合のホームページで、「平成29年度のダイオキシン類測定結果」が公表されている。排ガス(年4回)の測定結果など、すべての項目の測定結果がでそろったということかな。(お知らせを見落としていたようで、平成30年度の有明清掃工場敷地内の雨水ダイオキシン類が17pg-TEQ/L(平成30年9月採取)だったというので、、、あわてて平成29年度分のダイオキシン類の測定結果グラフの更新)

東京二十三区清掃一部事務組合 更新日:2018年7月23日

ダイオキシン類の測定結果

 
公表された項目は、各工場とも「測定結果はすべて法基準値 を下回りました。」とのことである。多額の費用をかけてのダイオキシン類測定、せっかくのデータ、もったいないので、グラフにしてみた~(ほとんど無意味かもしれないが、過去との比較もしたいので、、、、)
 

参考までに、、、、、
清掃工場からのダイオキシン類の排出は、ピコやナノの単位での測定結果ではあるが、
23区の清掃工場、毎日毎日ごみを燃やし続けて、年間の総排出量にすると火なりの排出。またダイオキシン類の総移動量はかなりの量となる。

2015年(平成27年)23区清掃工場ダイオキシン類の年間の排出量と移動量
23区の清掃工場ダイオキシン類 総排出量 1.5 mg-TEQ/年 (大気や水に)←排ガスや排水 2014年よりも増えた~
23区の清掃工場ダイオキシン類 総移動量 38,590.7mg-TEQ/年(埋立処分場に)←主灰や飛灰 
ダイオキシン類の届け出をTウオッチのPRTR検索で集計した。
各清掃工場の内訳などは↓↓
2015年 都内のダイオキシン類の排出量と移動量(PRTR制度届出から)、ごみ焼却施設など施設別に~


以下、清掃一組のダイオキシン類測定結果からグラフを作成した~
詳細は「ダイオキシン類の測定結果」へ


清掃工場のダイオキシン類測定結果
排ガス

清掃工場の煙突から出る排ガス中のダイオキシン類を定期的に測定しています。ダイオキシン類対策特別措置法の規制対象です。

法的には年に1回以上の測定。清掃一組では、廃プラサーマル以降、年4回の測定を実施している。
ただいま4回目の途中、、ほとんどの工場で、小数点以下ゼロが4~6個もついている。

  ←図をクリックで拡大
(注1)ダイオキシン類対策特別措置法に基づく排ガスの基準値 0.1ng-TEQ/m 3 N     
     (ただし、※は基準値 1ng-TEQ/m 3 N )
(注2)ng(ナノグラム)とは、10億分の1グラムを表す単位
(注3)m 3 N (ノルマル立方メートル)とは、0°C、1気圧の状態に換算した気体の体積


飛灰処理汚泥
ごみ焼却炉のろ過式集じん器で捕集した排ガス中のばいじんを飛灰といい、薬剤で処理しています。この処理飛灰(飛灰処理汚泥)に含まれるダイオキシン類を定期的に測定しています。ダイオキシン類対策特別措置法の規制対象です。


(注1)飛灰処理汚泥の法基準値 3ng-TEQ/g
(注2)ng(ナノグラム)とは、10億分の1グラムを表す単位        
ただし、※1は既設施設であり、法律に定める方法により飛灰を処理する場合、基準値は適用されない。
(注3)※2は飛灰を中防灰溶融施設等に搬送し、法律に定める方法により処理している。


溶融飛灰処理汚泥
灰溶融炉のろ過式集じん器で捕集した排ガス中のばいじんを溶融飛灰といい、薬剤で処理しています。この処理飛灰(溶融飛灰処理汚泥)に含まれるダイオキシン類を定期的に測定しています。ダイオキシン類対策特別措置法の規制対象です。
中防の灰溶融施設は平成26年度から休止、足立、世田谷、品川は平成27年度から休止、板橋は平成28年度から休止
平成28年度からの稼働は多摩川と葛飾のみ


(注1)溶融飛灰処理汚泥の法基準値 3ng-TEQ/g
(注2)ng(ナノグラム)とは、10億分の1グラムを表す単位


焼却灰
焼却炉の底から排出される燃えがらを焼却灰といい、それに含まれるダイオキシン類を定期的に測定しています。ダイオキシン類対策特別措置法の規制対象です。


(注1)焼却灰の法基準値 3ng-TEQ/g
(注2)ng(ナノグラム)とは、10億分の1グラムを表す単位
(注3)※は焼却炉から排出した不燃物の測定値


スラグ
焼却炉から排出された焼却灰を1,200度以上の高温で溶融したのち冷却したものをスラグといい、それに含まれるダイオキシン類を定期的に測定しています。ダイオキシン類対策特別措置法の規制対象です。
工場名 測定日 スラグのダイオキシン類濃度
多摩川 平成29年7月31日 0.0000021ng-TEQ/g
葛飾 平成29年8月30日 0.00000048ng-TEQ/g
世田谷 平成29年7月11日 0.0000012ng-TEQ/g
(注1)スラグの法基準値 3ng-TEQ/g
(注2)ng(ナノグラム)とは、10億分の1グラムを表す単位


排水
清掃工場内で発生する汚水に含まれる固形物・重金属などを取り除き、下水道に放流しています。この放流水に含まれるダイオキシン類を定期的に測定しています。下水道法の規制対象です。


(注1)排水の法基準値 10pg-TEQ/L
(注2)pg(ピコグラム)とは、1兆分の1グラムを表す単位


その他の環境測定
法律で測定が義務付けられていない以下の項目についても定期的に測定し、公害防止、環境負荷の低減に努めています。

土壌
測定は、操業協定なのかどうか、千歳清掃工場と練馬清掃工場のみ


(注1)※は工場所在区が実施
(注2)土壌の環境基準 1,000pg-TEQ/g
(注3)pg(ピコグラム)とは、1兆分の1グラムを表す単位


周辺大気 
記録のある平成12年度からのすべての測定結果を入れてみた。
平成12年度、13年度は24時間サンプリング。平成14年度以降は一週間サンプリングとなっている。夏場測定、冬場測定、清掃工場によっては年に2回~4回測定もあり単純な比較はできないが、大気中ダイオキシン類は、年々数値が下がってきているのがよくわかる。



(注1)※は工場所在区が実施
(注2)大気の環境基準 0.6pg-TEQ/m3(年平均値)
(注3)pg(ピコグラム)とは、1兆分の1グラムを表す単位

大気の環境基準、ダイオキシン類も年平均値なので、、
高めの時は、特異値として追加測定を繰り返せば、平均濃度は低くなる~


江東区内清掃工場周辺
平成12年度の異常なほどの測定結果、
中防の大気ダイオキシン類も、数年前には局所的に高い時期もあったが、今は改善された、

とはいえ、以前に比べると低いとは言え、平成29年度は少し上昇、新江東周辺大気は冬場の測定、、、冬場は高くなる

また、中防大気ダイオキシン類測定は、破砕ごみ焼却施設の休止で平成27年度で終了、
廃棄物処理施設の集中立地の中防であるが、
非常に残念、




雨水排水
平成20年度の練馬清掃工場の雨水ダイオキシン類6.8pg-TEQ/L以来、平成22年度から全工場での測定となった。22年度は、大田も練馬もずいぶん 低くなったが、23年度の江戸川清掃工場(南側雨水排水槽)で高め、24年度は中防灰溶融 西側雨水排水枡で3.8pg-TEQ/L(平成25年1月16日測定)、再測定では0.046pg-TEQ/L(平成25年3月25日測定)となってい る。よほど雨水排水溝の事前清掃を怠ったのか、精一杯清掃しても3.8pg-TEQ/Lだったのか、たまたま周辺からダイオキシン類が飛んできたの か、、、
平成25年度は、全ての工場で小数点以下の数値。どちらにしても、年1回のたまたまの測定結果であるから~

平成27年度は、足立清掃工場の雨水排水の5.7pg-TEQ/L(測定日:平成27年11月2日)
再測定で0.036pg-TEQ/L (測定日:平成28年1月13日)

平成28年度は目黒清掃工場の雨水排水は7.5pg-TEQ/L測定日:平成28年8月17日
なんだろう? 7.5ピコなど、、 、目黒の再測定は1.3pg-TEQ/L (測定日:平成28年11月28日)

平成30年度の測定で、有明清掃工場敷地内の雨水が17pg-TEQ/L(平成30年9月採取)だったという~


(注1)雨水排水の法基準値 10pg-TEQ/L
(注2)pg(ピコグラム)とは、1兆分の1グラムを表す単位


関連(本ブログ) 清掃工場の雨水排水関連↓↓
■ 23区清掃工場 「雨水」ダイオキシン類調査結果一覧(続き)(2009年10月31日)
■ 練馬清掃工場の雨水ダイオキシン問題で一組を訪問 (グラフ)(2009年10月15日)
清掃一組に関する報道等について「練馬工場 雨水ダイオキシン」2009年09月30日
雨水にダイオキシン 練馬清掃工場 環境基準上回る2009年09月19日
23区 大田清掃工場(第一)ダイオキシン類〈雨水〉22ピコ環境基準超過!2009年09月10日


汚水処理汚泥

(注1)汚水処理汚泥の法基準値 3ng-TEQ/g
(注2)ng(ナノグラム)とは、10億分の1グラムを表す単位
(注3)※は汚水処理汚泥を工場内で処理して埋立てを行わないため、測定していない。

 




参考

東京都埋立処分場 大気中のダイオキシン類測定結果
処分場の大気中のダイオキシン類濃度を年2回調査しています。
 埋め立てられたごみからダイオキシン類が外気に放散されていないか確認するためです。
 過去3年間の測定結果は下記のとおりです。
 測定結果は、環境基準値と比べても低濃度でした。

大気中のダイオキシン類は夏場より冬場が高い傾向にあるといわれるが、
このデータは顕著に現れている


注):環境基準は、一般公衆が通常生活していない地域については適用されないため、当処分場は法令上は適用されません。また、環境基準値は1年平均値です。


☆東京都「大気中のダイオキシン類測定結果」より作成

 


 

過去の中防の大気中のダイオキシン類
廃棄物処理施設集中立地の中防で、ついに大気中のダイオキシン類濃度が基準値超える!
ただし、大気の環境基準は年間平均値なので、、、測定回数を増やせば基準値の抑えられる、、、
現在では、、、原因特定、その後さまざまな対策で改善されている(はず~)
 

関連(本ブログ)
中防 東京PCB処理事業所、敷地境界の大気中ダイオキシン類 久々の高濃度(南南西の風)~その2~ 2018年01月30日

 
 
 

※TRP「微量PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会」資料より作成

 




過去の23区の清掃工場ダイオキシン類排出は~

23区の清掃工場 排ガス中のダイオキシン類測定結果
特別措置法制定前 (昭和63年度~平成9年度) 

これは年間の総排出量ではなく煙突排ガスのダイオキシン類である!! 
ほんとうに驚くほどの清掃工場からの排出量、、、、だった~



※グラフは東京都清掃局「区部の清掃工場におけるダイオキシン類測定結果」より作成


清掃工場周辺における大気中のダイオキシン類測定結果
(平成10年度)


※グラフは東京都清掃局「区部の清掃工場におけるダイオキシン類測定結果」より作成


ダイオキシン類モニタリング 発生源 区別ダイオキシン類排出量
1995年度現況からの算出(g-TEQ/年) 年間の総排出量(グラム)


※グラフは『一般環境大気中のダイオキシン類モニタリング 地点検討のための基礎資料作成報告書(平成10年1月)株式会社ライテック』より作成
(大田区はやや曖昧な数値である。もっと高い数値の可能性もあり。民間施設があるということで情報開示資料が墨塗してあったため、逆算で清掃工場分を案分して算出したもの)

 




関連(本ブログ)
平成28年 ダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)について 2018年04月03日

☆ダイオキシン類、大半が大気への排出となっている

 

 

 

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