東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

中防 東京PCB処理事業所、敷地境界の大気中ダイオキシン類 久々の高濃度(南南西の風)~その2~ & TRP 微量PCB処理の運用方法の変更案など

2018年01月30日 20時45分40秒 |  PCB/DXN類など

敷地境界、大気中のダイオキシン類 0.57pg - TEQ/m3、久々の高濃度
悪夢の再来にならないことを祈る!!


先日、本ブログに「中央防波堤内側埋立地及び江東区周辺の大気中のダイオキシン類は~(東京PCB処理事業所、敷地境界で久々の高濃度、南南西の風)2018年01月13日 」を書いたのだが、、、その続報及びTRPの微量PCB処理の運用方法の変更案など


東京オリンピックの競技会場予定地もあり、
江東区と大田区が帰属を巡って争っている中央防波堤埋立地(中防)とはどんな場所?


中防にあるJESCO東京PCB処理事業所の敷地境界 大気中のダイオキシン類濃度、環境基準は超えていないとはいえ、また、たった一度の環境測定結果でなにを騒ぎ立てるかと批判されようとも、都内の平均濃度が0.016pg-TEQ/㎥というこのご時世に、いかに廃棄物処理施設集中立地の中防といえども、0.57pg-TEQ/㎥というのはやはり異常に高濃度といえるのではないか~ ましてや、中防周辺は、東京オリンピックの競技会場予定地にもなっているのだから、、、周辺環境がダイオキシン汚染では、選手も観客も困るだろう。そして、江東区と大田区が帰属を巡って争っている地でもある。もっと環境改善に向けて関心を寄せて欲しい、、、

過去にも繰り返し大気中ダイオキシン類が高濃度の時期があり、、、それなりに発生源と思われる施設の改善などで、それ以降は、落ち着いていたのだから~。今回、またまたそういう異常事態の再来かと、、、今度はなにが原因なのか、どこが発生源か、と、犯人捜しもしたくなる。しかし、大気中のダイオキシンなど化学物質の発生源を探し当て、原因を特定するというのは素人には至難の業である。

わかっていることは、JESCO敷地境界(北西端)で平成29年7月20日~7月27日の間に測定した大気中ダイオキシン類濃度が0.57pg-TEQ/㎥(南南西の風)で、「ダイオキシン類の成分はPCDD、PCDF成分が主体でCo-PCB成分は少なく、PCB由来のDXNsとは考えにくい。」ということだけである。

従って、PCDD、PCDF成分主体=いわゆる焼却由来のダイオキシン類の発生源はどこだ、、、ということになるのだが、
現在、中防での焼却施設は、東京臨海リサイクルパワー(TRP)のエコプラント(流動床ガス化溶融炉+バーチカル炉)だけとなる。(かつては、23区清掃一組の破砕ごみ焼却施設や灰溶融施設もあった。)全てを疑ってかかり、疑惑の解明ができれば、、、そのほかをあたるしかないのだが、、、、

本日、東京臨海リサイクルパワー(TRP)の
「微量PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会」を傍聴した~

TRPは、産業廃棄物の焼却処理や医療廃棄物の焼却処理の他に、流動床ガス化溶融炉で微量PCB汚染絶縁油の焼却処理も行っている「微量PCB汚染廃電気機器等の無害化処理に係る大臣認定施設」でもある。詳しくはTRP「微量PCB処理について」のページ


委員会の開始前に、真っ先に、配付資料の環境モニタリングの結果を開いてみた、、、

しかし、TRPの敷地境界の大気中ダイオキシン類の測定結果は、特に問題になるような数値はなかった、、、

それはそれで良かったのだが、、、
しかし、なんといっても年に3回の環境測定、、、
連続測定でも無い限りは、なにかあってもキャッチはできないのだが、、、
とりあえず、、、ダイオキシン類の発生源の追跡もおあずけ、残念、
なにしろ他に測定している場所がないので、


TRP敷地境界大気ダイオキシン類測定(今年度の結果をグラフに追加)
TRPの営業運転開始は平成18年8月からだが、大気中ダイオキシンの測定は平成22年4月から、、



地域環境安全委員会では、、、
いつもどおりの、進行で、
(1)微量PCB汚染絶縁油の処理状況
(2)環境モニタリング結果
(3)安全対策(教育・訓練、災害事例、設備不具合) ←平成29年7月以降炉停止は6回
と進んで、、、詳細は、TRP「微量PCB処理について」で資料も公開されるだろう~


ところが、ところが、、、

なんと、議題の(4)その他で、「PCB絶縁油無害化処理の運用の変更」が提案された、、、

東京臨海リサイクルパワー「PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会」資料から

運用方法の変更案について(1/2)

現在の課題
(1)PCB含有絶縁油の受入方法がタンクローリーのみのため、小規模事業者から処理のご要望があってもお断りをせざるを得ない。

(2)廃掃法上は5,000mg/Kgの絶縁油(低濃度PCB)まで認定事業者が処理できることになっているが、今の認定内容では100mg/Kgを少しでも超える絶縁油はお断りせざるをえない。※

(3)廃掃法上は850℃以上であれば安全に無害化できるとされているが、今の認定内容は1,100℃以上とされており、高温のために燃焼炉への負担が大きく、また炉内温度の低下の際、早目に絶縁油から他の燃料(灯油等)に切り替えなければならず、余分なエネルギーを浪費している。※

(4)東京都内外の複数の事業所にPCB絶縁油を持つ事業者からの一括の処理を要望された際には、お断りをせざるを得ない。

※当社は廃掃法が改定される前の技術基準での認定を受け、処理を行ってきました。

運用方法の変更案について(2/2)

PCB絶縁油無害化処理運用方法の変更案
      変更項目
(1)ドラム缶による受入を可能にする。
       →少量を保有する事業者に対応する。
(2)廃掃法上の低濃度PCB絶縁油(5,000mg/Kg以下)の受入を可能にする。
(3)焼却温度を1,100℃以上から1,000℃以上にする。
(4)都内以外の一般事業者保有分も受入可能にする。

今後、当委員会をはじめ関係個書とご相談・ご確認をいただきながら、実施の可否を検討していただきたい。

 

なんてこった、、びっくり仰天、

TRPは、微量PCB廃棄物処理の運用方法の変更を提案
 ○ タンクローリーからの受入を → ドラム缶の受入も可能に
 ○ 微量PCB絶縁油(100mg/Kg)から → 低濃度PCB(5,000mg/Kg以下)に、
  ○ 焼却温度を1,100℃以上 → 1,000℃以上に、
 ○ 東京都内分受入を → 都外からの受入も可能に

要するに、現在は、微量PCB汚染廃電気機器等の無害化処理認定施設であるが、処理を行う廃棄物の種類、処理方式の変更を行いたい。そのために、再度、実証試験などを経て、低濃度PCB廃棄物の無害化処理の認定申請を行いたい~ということになる。

TRPが微量PCB汚染廃電気機器等無害化処理認定施設となったのは、平成23年6月6日 で、全国で4番目と先駆けの認定施設である。今では、大臣認定事業者は34社+都道府県知事等の許可事業者は5社となり、次々と設置場所の追加などを繰り返し、全国各地に処理体制は拡大している。さまざまな処理方法の認定施設がある。

TRPの運用方法を変更したいという意味合いはわかりはするが、、、

説明があまりに押しつけがましいというか、いかにも、小規模事業者のため、より多くの一般事業者の受入も、、、という感じで、、、(説明を聞いている限りでは、変更したとしても、事業の拡大はさほどではないだろうとおもうが、、)

肝心の、ドラム缶で受け入れるとした場合も、抜油後の筐体は神奈川の処理事業者との連携でというだけで、具体的な処理体制は示されず、、、  今では、機器ごと、ドラム缶ごとPCB処理を行う事業者も各地に広がっているというのに、、、保管事業者側は、絶縁油と、筐体と、収集運搬と、2社、3社に処理を委託してどんなメリットがあるのかもみえずで、、抜油や、ドラム缶(どうも受入専用のステンレス製?)からのタンクへの受入は? 具体的な安全対策もよくわからない、、という中途半端なおおまかな提案だった~ 関係各所に今後も相談しながら実施の可否を検討して欲しいということであった~


TRPのおもいは?

もちろん、すこしでも早く、国内のPCB廃絶に向けて、TRPも、より多くの事業者の受け皿となるという心構えはいいのだろうが、、
住民サイドからすれば、それは総論おおいに賛成の理論で、中防には、すでに高濃度のPCB処理施設も受け入れている。TRPに関しては、極微量のPCBだからそうそう問題は無いだろうがスタートだったのだから、、、それをいまさら~

地域環境委員会の委員長は、環境省の「微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会」で、微量PCBを焼却で処理する方向性を決められた当事者でもあるので、とにかく、処理体制の拡大に貢献するということには使命すらかんじておられるかもしれない。TRPは、立派な施設ですばらしい処理体制でと称えた上で、運用方法の変更にも何ら問題はないようなお考えのようで、、、これまでの経緯云々を問題にするのはおかしいかの発言までも、、、しかし、委員長には過去は過去のことかもしれないが、地域住民には、過去の出来事や不祥事などは、そっくりそのまま不信の塊として残って抱え込んでいるので、、、

関係各所の意見を聞くとはいえ、地域住民の代表は区議会議員や自治会の役員達なので、充て職で任期が過ぎれば次々交替される、、、過去の経緯なども知り得ないことも多い。それは、東京電力やTRPの担当者にもいえることであろう。TRPの第1回目の微量PCB廃棄物処理事業に係る地域環境委員会で、挨拶された東京電力の環境部長さんが「このPCBの処理、長年の悲願であり感無量である」というようなことを言われていたのを思い出す~

本来なら、TRPも東京電力の保管分の処理をするのが第一目的であったのだろ。さもなければ、タンクローリーで絶縁油だけの受入などという殿様商売はしないだろう。(東電は、千葉にも神奈川にも筐体洗浄のリサイクルセンターを持っていたので)いろんな社会情勢で、現状よりも更に欲もでてくるのか、、委員会の傍聴後、帰宅して真っ先に、気になった「神奈川の処理事業者」との連携とはどこのことだと、チェックした~  TRPが絶縁油の処理、筐体の洗浄処理事業者と連携して進めていくというのは、、、おそらく、、東京パワーテクノロジー株式会社(川崎市)との連携かな?(東芝環境ソリューションの名前も並列するかもしれないが)


東京パワーテクノロジーとは?

東電環境エンジニアリング株式会社、東電工業株式会社、尾瀬林業株式会社の三社が2013年7月1日に経営統合して発足
東京電力は、神奈川のPCB絶縁油の自家処理は、横浜リサイクルセンターと川崎リサイクルセンターで行っていた。横浜リサイクルセンターは平成27年6月19日で廃止し、川崎リサイクルセンターは平成28年1月25日で廃止し、そして、PCB洗浄施設は平成28年3月1日から東京パワーテクノロジー(株)へ事業移管している。川崎市から、特別管理産業廃棄物処分業許可を取得して、東京電力以外の微量PCB機器の洗浄処理等が可能になっている。(参考:微量PCB 付着機器の洗浄処理・再資源化事業の拡大について~「TEPCO 川崎リサイクルセンター」での事業を東京パワーテクノロジーへ移管~


東京パワーテクノロジーの「精密再生洗浄法」は?
東京パワーテクノロジーの洗浄処理は「精密再生洗浄法」となっていたのだが、東電の自家処理時の容器の洗浄は溶剤洗浄法
」となっていたので、、、「精密再生洗浄法」聞き慣れない名称で、久しぶりにというか、数年ぶりに、PCB処理技術ガイドブック(改訂版)を開いてみると、、、なんと、溶剤洗浄法(精密再生洗浄法)となっていた。

溶剤洗浄法(精密再生洗浄法)低濃度PCB汚染容器・部材処理】{東京電力(株)、三井物産(株)}
洗浄溶剤は炭化水素系容剤 NS220P

ということで、なんのことはない、TRPは、東京パワーテクノロジーとの連携で、処理体制の構築ということになるのかな?
それならそれと、、、最初っからそう言った方が、関連会社でしっかり連携するから安心ですとした方が話が早かろうに、、、
遠回しに、、社会貢献を前面に出すだけでなく、いろんなおもいをさらけ出しての議論の方がよいのに、、、
へたに隠し立てすると、、、逆効果で、狙いは、関連会社との連携で、事業の拡大を目指すのか、、、となってしまう~
もちろん、事業拡大が悪いわけではない、事業者としては当然のことだから。東京パワーテクノロジーも絶縁油の処理はできないのだから、連携するに越したことはないだろうし、、、「PCB洗浄処理事業・ワンストップサービス」でPCB廃棄物の処理が進むのは望ましいことだし、、、

もちろん、、、これらは、すべて私の勘ぐりで、妄想なのかもしれないが、、、 

どちらにしても、微量PCBであれ、低濃度PCBであれ、1,100℃以上であれ、1,000℃以上であれ、PCBは分解するので大丈夫ということだけでは説明にならない。そんな理論上云々の議論はわかっている。しかし、それらは、産業廃棄物処理事業者として、施設全体の安全管理、安全運転あればこそなので、地域住民には、処理事業者としての信頼をえなければ話は先に進まない、、、とりあえず~

 

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