うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

山本七平の「田中角栄の時代」

2016年07月13日 15時28分37秒 | 山本七平さんのこと

 わたしは暇にあかせて、本を読んでいるが、いくら再読しても読み耽るのは山本七平の本である。先日都内に出かけたついでに3件目の本屋でやっと見つけて新刊の「田中角栄の時代」を求めた。実は昭和61年に単行本で「ご時世の研究」の再刊本とのこと。今少し、石原慎太郎の田中角栄を扱った「天才」がベストセラーであるらしいが、わたしにしたらなにを今さらの感がする。石原はあの当時、自民党の青嵐会として活動中。彼は今でも見かけは颯爽としているが、本業が小説家であるならこれほど想像力がない人物であったのか。今頃、気付いたのか。
                 

                 
 山本七平の著書は古びない。「田中角栄の時代」の内容について、山本氏は嫌いなようであるが、その分析力に他の凡百の評論家の追随を許さず、うわべではなく垂直的な判断内容が光っている。新潟の風土地誌、地勢と生活的な視点、政治家としての職務と気質。田中の独創性のなさ(当時の政権構想は他人の受け売りである。)、政治的な展望、発想・展開力のなさ。
 この間来、わたしは大量に書籍を廃棄処分してきたが、山本七平のものだけは残した。彼の著作内容はすべて悲惨な戦争体験から導き出す記述であり、また聖書研究などはコツコツとつみ重ねていく精緻な世界を記しているのだ。透徹性。世の中の真実とは何か。研究室にこもり書籍をいくら読んでもアカデミズムの学者には手も足も出ない世界だ。物事においての立つ位置の確かさ、動機の純粋さ。山本七平の著書は世間では、多分、これからも読み継がれるだろう。
 ところで、同氏の著作のなかで、「ある異常体験者の偏見」にあらためて惹かれる。どうやら、この本がわたしの生涯の本に決まったようである。困ったときの道しるべとなる本だ。
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