勝敗より結末

どっちが勝つと思ってるんですか？と
多くの人に聞かれる。

勝たねばならないのは田村潔司だろう。
絶対に負けたくないのは桜庭和志だろう。
僕が勝って欲しいのは田村潔司だけど、
歴史に幕を下ろすなら桜庭和志が勝つべきだ。
実際の試合展開は、ノスタルジーに浸れるような
空気はなく、殺伐として残酷なものだろう。

桜庭、開始早々からパンチを出しながら前へ。
田村、サクのパンチに合わせてローを蹴りまくる。
桜庭、膝が流れて堪らずタックルに来てテイクダウン
田村、桜庭に転がされながらパウンドを耐える。
桜庭、膝のダメージでポジション取りに手間取る。
田村、隙を見て立つ、再びローとミドルで応酬する。
桜庭、堪らず再びタックルでテイクダウン
田村、密着しながらガードポジション
桜庭、遮二無二パウンドを振り下ろす
田村、密着して耐える。

僕らの望む”回転体”なんて一切出てこない。

知っている。分かっている。でも、田村には淡い
期待があったろう。だけど、会見で素手で顔面あり、
時間無制限の果し状を叩きつけた桜庭は、
そんな、昔みたいな試合が出来るなど、甘い考えを
出すなよ！と田村に釘を刺した。

桜庭は身体がボロボロだ。
田村は心情がボロボロだ。

彼らに、これ以上の何かを求める事に無理がある。
たとえ、切ない結果が待ち受けていても、願わくば
最後にリング上で抱き合ってくれればいい。
握手してくれればいい。
Ｕの体現は無理でも、Ｕの結末だけは見たい。
ＭＭＡジェネレーションズに”ナンダヨ、つまんねぇ！”
と詰られる内容になる可能性が高いが、オッサン
たちのエレジーだと理解を示してくれる程度の
やり取りは魅せてくれ。

現実は待ってはくれない。
そうやって、次世代の者たちに追い越された事を
実感して、我々は去っていけばいい。
だけど、残っている。
歩んで来た道に。

天命の日まで後、４５日です。