雑談の達人

初対面の人と下らないことで適当に話を合わせるという軽薄な技術―これがコミュニケーション能力とよばれるものらしい―を求めて

文系の頭の良さとは何か

2014年03月22日 | その他の雑談

金融日記の管理人が文系をdisっている。確かに異論はない。氏に比べれば、わが国の凡百の文系学者などバカばかりであろう。しかし、そうは言っても、氏がこの上なく愛する金儲けで圧倒的に成功しているのは、右を見ても左を見ても、氏がバカにする文系がほとんどなのである。文系がそれほどバカなら、頭脳明晰で理路整然な理系が、社会エリート層を圧倒的に席巻していても良さそうではないか。

なぜ、そんなに優秀な理系が、低能極まりない文系に負けるのか。文系に何がしかの強さがあるのか。おそらく、それはあると思う。次のような例え話で示すことができる。

あるところに儲け話がある。元手をウン百万円かだせば、それが短期間で途方もない利子がついて戻ってくるという夢のような話だ。非常に巧妙な手口で仕組まれているが、実体はもちろん詐欺であるとしよう。それでも、氏が見下す幾千万ものバカな文系が、ホイホイと飛びつきそうな類の話だ。

運悪く、この詐欺師が氏のような賢い理系に出会ってしまったとしよう。もちろん理系は騙されるわけもなく、肩をすぼめて首を振りつつため息をつき、忽ちにして詐欺師の儲け話の矛盾や問題点を見抜き、時には鋭く指摘し、世の中に警鐘を鳴らすとともに、自分以外の愚かな物に忠告する寛大さをも発揮することであろう。

それでは「賢い文系」はどうするのだろう。それは、詐欺師に向かってこう言うのである。「そんな儲け話があるなら、お前のカネでやれ!」と。それでおしまいである。まさに一刀両断である。おそらく詐欺師に発言の機会は5秒もないだろう。いちいち詐欺師の弁舌にさえ付き合わない。次の5秒には、その詐欺師の存在すら忘れている。いや、更に言えば、端から詐欺師を寄せ付けさえしないかもしれない。怪訝そうな表情を一瞬見せるだけで、詐欺師を退散させるかもしれない。

結局のところ、実際に世の中をリードしているのは小利口な理系ではなく、こうした文系的賢さである。細かな専門的知識はなくとも、いちいち理詰めで相手を論破などせずとも、確たる証拠など求めずとも、それまでの常識や経験、相手の雰囲気やしぐさ、話し方や内容で判断するのである。自分自身をめぐる利害関係の網の目を、大きな文脈の中で常に意識し、そうした大局的な観点から物事を判断しているといってもいいだろう。自分の所に近づいてくる人間がどのようなレベルの連中なのか、どこそこに集まっている人間は信頼に足るのかどうか、なぜ目の前の人間はそのような発言をしているのか、瞬時に判断しながら世の中を渡っている。

「文系ってマジバカだよね」と悦に入っている理系のプライドと虚栄心をくすぐりつつ、どうやってたらまんまとカネ儲けに利用できるのか。真の文系ならば、バカだアホだとの罵詈雑言を華麗にスルーし、優秀な理系を徹底的に使い倒す方法を考えていることだろう。


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