「鋼の錬金術師」◆
雑誌ネタではございません。単行本派の方もどうぞ。
さて、鋼をキーワードにgooブログをうろうろしていたら、こんな感想に出会いました。
鋼の錬金術師を読んだ。面白かったけれどギャグが多すぎて
違和感。
ともすれば陰惨になりがちな話をギャグが救っているのは
分かるけれど。
絶対ギャグを入れてはいけないところ(ホーエンハイムと
エドが会うところなど)までギャグを入れるのはどうか。
えー?!って、思った。
鋼はギャグがあるからいいんじゃん!!
どうしてホーパパと会うとこに、ギャグ入れちゃいけないわけよー?
でも、どうして「ギャグがあるからいい」のか、うまく説明できなくて。
むーって、考えてました。
暗くなりすぎるのを救う、っていうのはこの方も評価していて。
でも、ギャグの良さはそれだけじゃない。
多分、この方と作者との、ギャグ臨界点(なんだそりゃ)が、違いすぎるんだろうなー。
いやまったく、荒川先生のギャグ臨界点は、ものすごいギリギリだ。
そこでなお、ギャグ入れるか?!ってとこまでギャグをつっこむ。
私が真っ先に思いつくのはハボとロイの「ボイン漫才」(笑)
湿気たマッチにしろ、あんなベタネタを、あの緊迫の場面で入れるんだよ?!
相当ヤバイ地点にまで足を踏み入れてしまっていることを、キャラも読者も分かってる。
作者はもっとわかってる。
あれを最後にハボは退場だっていうのに!(最期、さえ考えていたというのに!!)
ほんと、ギリギリ。
私はギャグ、好き。
ギャグを入れる作者の姿勢が好き。
もちろん、話を暗くしない、っていう計算もあるだろうけど。
それよりさ、作者さんの、なんか、照れを感じるんだ。
ものすんげー真剣に必死に話を作っていても。けれど所詮たかが漫画なんだよね、っていう、客観的視点を絶対忘れない。
そんで、いやあ、こんな恥かしい台詞書いちゃってるよーとか、そうゆう、照れ。
漫画だもん楽しくないとねー、っていう、照れ。
その照れをね。私、すんごい好ましく感じるの。
まず、ギャグは明りだ。
話を明るくする。
次に、ギャグは漫画だ。
所詮たかが、されど、漫画。
それから、ギャグは落差だ。
そこにはまだ、ギャグの余裕がある。
たとえホーエンハイムが登場しようとも。たとえハボックが刺される一瞬前でさえ。
本当にギリギリのところまで、これでもまだ日常のうちだとギャグは言っていて。
そして、突き落とす。
「本当にそれはトリシャだったのか」
「ハボック!!しっかりしろ!!」
その先になって初めて、ギャグの入る余裕は無くなる。
エドが埋葬跡を掘り返す場面。
ロイがラストを焼き尽くす場面。
各キャラクターの本性を剥き出しにする時、キャラクターが限界の先に挑むとき、作者もまた限界に挑み、そこにはついに、緊迫と痛みしか無い。
それからね。もう一つ。
ギャグは話を引き締める。
こちらを読んで、あっそうだ!って思いました。
Cafe Chaconne Passionateの、リアルタイム感想 2005 11.14付けの記事。(重大な雑誌ネタバレがありますので、単行本派の方はリンク先はご覧にならない方が良いと思います)
緊迫と衝撃な場面のあと、力の抜けた期待通りのギャグ絵。そしてジン、となる台詞。
ここにギャグが無かったら「セリフが王道すぎて単純に涙誘うだけのシーンになってしまったかもしれないと私は感じる。コントラストをつけて湿っぽい雰囲気をべそべそと広げることなく、引締まった切なさで留めるこういうところが凄く好き。」
私もすごく好き~!!
あああ、単行本派の方のために、類似シーンを引用したいのだけど。
今月号ほどクる場面を私は思いつけない・・・・・・(涙)
ええと。
でも、わかるでしょう?切り替えの色っていうか。
今月号とは全然おもむきが違うけど、例えばホーエンハイムと会う場面でも、エドの緊張感(=読者の緊張感)を、「大きく・・・なったな?(疑問系)」と「最小国家錬金術師」でハズすから、その次の「人体錬成したんだって?」が、どきり、と来るんだ。
(ああ、もっと上手い引用場面があればいいのにー!)
ギャグがあるから、飽きがこない。読者を疲れさせない。
これを私はスパイスと同じ、と思う。
素材の味を生かし、生臭さを消し、全体を引き締めて、味にリズムを作る。
サビ抜きの寿司や山椒無しの鰻やナツメグもガーリックも抜いたハンバーグでも、満足な人はいるかもしれない。
それはまあ、人それぞれの好みだから。スパイスが鼻につくって言う人に、それでも好きになってよとは言えない。
でも私は、スパイスが無い、重いだけの料理なんて、きっとすぐ飽きちゃうな。
だから、スパイスの、ギャグの美味しさを分からないなんて、残念だなあって思う。
ギャグはスパイス。
鋼はスパイスが効いている。
だから余計にヤミツキになるんだよ!
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雑誌ネタではございません。単行本派の方もどうぞ。
さて、鋼をキーワードにgooブログをうろうろしていたら、こんな感想に出会いました。
鋼の錬金術師を読んだ。面白かったけれどギャグが多すぎて
違和感。
ともすれば陰惨になりがちな話をギャグが救っているのは
分かるけれど。
絶対ギャグを入れてはいけないところ(ホーエンハイムと
エドが会うところなど)までギャグを入れるのはどうか。
えー?!って、思った。
鋼はギャグがあるからいいんじゃん!!
どうしてホーパパと会うとこに、ギャグ入れちゃいけないわけよー?
でも、どうして「ギャグがあるからいい」のか、うまく説明できなくて。
むーって、考えてました。
暗くなりすぎるのを救う、っていうのはこの方も評価していて。
でも、ギャグの良さはそれだけじゃない。
多分、この方と作者との、ギャグ臨界点(なんだそりゃ)が、違いすぎるんだろうなー。
いやまったく、荒川先生のギャグ臨界点は、ものすごいギリギリだ。
そこでなお、ギャグ入れるか?!ってとこまでギャグをつっこむ。
私が真っ先に思いつくのはハボとロイの「ボイン漫才」(笑)
湿気たマッチにしろ、あんなベタネタを、あの緊迫の場面で入れるんだよ?!
相当ヤバイ地点にまで足を踏み入れてしまっていることを、キャラも読者も分かってる。
作者はもっとわかってる。
あれを最後にハボは退場だっていうのに!(最期、さえ考えていたというのに!!)
ほんと、ギリギリ。
私はギャグ、好き。
ギャグを入れる作者の姿勢が好き。
もちろん、話を暗くしない、っていう計算もあるだろうけど。
それよりさ、作者さんの、なんか、照れを感じるんだ。
ものすんげー真剣に必死に話を作っていても。けれど所詮たかが漫画なんだよね、っていう、客観的視点を絶対忘れない。
そんで、いやあ、こんな恥かしい台詞書いちゃってるよーとか、そうゆう、照れ。
漫画だもん楽しくないとねー、っていう、照れ。
その照れをね。私、すんごい好ましく感じるの。
まず、ギャグは明りだ。
話を明るくする。
次に、ギャグは漫画だ。
所詮たかが、されど、漫画。
それから、ギャグは落差だ。
そこにはまだ、ギャグの余裕がある。
たとえホーエンハイムが登場しようとも。たとえハボックが刺される一瞬前でさえ。
本当にギリギリのところまで、これでもまだ日常のうちだとギャグは言っていて。
そして、突き落とす。
「本当にそれはトリシャだったのか」
「ハボック!!しっかりしろ!!」
その先になって初めて、ギャグの入る余裕は無くなる。
エドが埋葬跡を掘り返す場面。
ロイがラストを焼き尽くす場面。
各キャラクターの本性を剥き出しにする時、キャラクターが限界の先に挑むとき、作者もまた限界に挑み、そこにはついに、緊迫と痛みしか無い。
それからね。もう一つ。
ギャグは話を引き締める。
こちらを読んで、あっそうだ!って思いました。
Cafe Chaconne Passionateの、リアルタイム感想 2005 11.14付けの記事。(重大な雑誌ネタバレがありますので、単行本派の方はリンク先はご覧にならない方が良いと思います)
緊迫と衝撃な場面のあと、力の抜けた期待通りのギャグ絵。そしてジン、となる台詞。
ここにギャグが無かったら「セリフが王道すぎて単純に涙誘うだけのシーンになってしまったかもしれないと私は感じる。コントラストをつけて湿っぽい雰囲気をべそべそと広げることなく、引締まった切なさで留めるこういうところが凄く好き。」
私もすごく好き~!!
あああ、単行本派の方のために、類似シーンを引用したいのだけど。
今月号ほどクる場面を私は思いつけない・・・・・・(涙)
ええと。
でも、わかるでしょう?切り替えの色っていうか。
今月号とは全然おもむきが違うけど、例えばホーエンハイムと会う場面でも、エドの緊張感(=読者の緊張感)を、「大きく・・・なったな?(疑問系)」と「最小国家錬金術師」でハズすから、その次の「人体錬成したんだって?」が、どきり、と来るんだ。
(ああ、もっと上手い引用場面があればいいのにー!)
ギャグがあるから、飽きがこない。読者を疲れさせない。
これを私はスパイスと同じ、と思う。
素材の味を生かし、生臭さを消し、全体を引き締めて、味にリズムを作る。
サビ抜きの寿司や山椒無しの鰻やナツメグもガーリックも抜いたハンバーグでも、満足な人はいるかもしれない。
それはまあ、人それぞれの好みだから。スパイスが鼻につくって言う人に、それでも好きになってよとは言えない。
でも私は、スパイスが無い、重いだけの料理なんて、きっとすぐ飽きちゃうな。
だから、スパイスの、ギャグの美味しさを分からないなんて、残念だなあって思う。
ギャグはスパイス。
鋼はスパイスが効いている。
だから余計にヤミツキになるんだよ!
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「壊す予定あるんかい!」は、私は、強引な展開(この場合、客を待たせて延々とウィンをセントラルに引き止める)の誤魔化しとしか見てませんでした(苦笑)(や、クロノア様の見方を否定するのではもちろん無くて)
FA見てて思うのですが、実は荒川脚本はすごく強引なところもあるんですよね。でもそれを読み手があまり不満に思わないのは、「愛嬌」があるから。
作品そのものに、愛嬌があるんですよね。作者のマンガ愛とか冷静な距離感とか適切なギャグとかと、この愛嬌は、どっかで繋がってるよーな気がする…。うまく、答えが見つかって記事になるといいな。
ロス、いい女ですよねー!軍人というだけで、ただの普通の人なのに、運命を受け入れ他人を責めない強さ優しさを持っている。
ノックスもそうだけど、普通のキャラがいざという局面でとても強い、だから読者も(特に大人読者が)勇気をもらうんですよねv
>キャラの中から(仲から)生まれたものとして描かれているか否か
>ギャグのためのギャグではなく、キャラが元々持っている多面性の一つを引き出しているだけにすぎない。
そうなんです。まさにそれ!ズバッと言ってもらえてうれしいです~。
もう一つ別の場面を思い出したのですが、ウィンリィが「(オートメイルを)壊す予定あるんかい!!」とエドをしばくシーン。あれを見た時、この2人は本当に仲がいいんだなあーと思いました。そういうことを読者に伝える効果ももったギャグだったのでは?と。
私もアニメFAを毎週主人と見ています♪アニメのギャグはまだ少し硬い印象がありますね。最近はだんだんこなれてきたかな?大佐の「今夜の火力はちょっと凄いぞ」が削られてしまったのが少し寂しかったのですが、その分アニメスタッフの皆さんには優先して強調したい部分が他にあったのだろうと思いました。
前回のロスの悲劇の場面は、彼女が最初涙目になった時、一緒に「うるっ」ともらい泣きしそうになったのですが、次の瞬間からのちょっとやけ気味だけど芯の強い一面を見せられてハッとしました。ギャグにはこんな効果もあるんですよね。
ロス、大好きです。一方的に巻き込まれてしまってエドを恨んでもおかしくない立場の人なのに、エドには涙一つ見せるどころか笑顔で運命を受け入れて(内心は違ったとしても)、エドの背中を押してくれた。誰にでもできないことができる、素晴らしい女性だと思いました。
最後、話が少し逸れてしまいましてすみません。また別の所にもコメントしますね!
初めましてですのに、そしてこんなに素敵なコメントですのに、こんなにもお返事が遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした・・・。
ギャグは
>人間関係やそれぞれの性格を的確に表現する優れた技法
このご意見、正しくそのとおりだ!と膝を打ちました!!
なぜ、アニメFAのギャグが不評なのか。それは作り手がギャグを「明るさ」のためだけに配しているから…なのかも。FAのギャグにも、馴染んで面白いものもちゃんとある。その違いは、テンポの良し悪し…?と思っていたけれど、それがキャラの中から(仲から)生まれたものとして描かれているか否か、も、あるのかも?!?!
うわー!素敵な視点をありがとう!!!
そっか!だから例えば、今週のロスの、悲劇のスポットライトの場面はちょっと浮き気味だけど、続く女は度胸!って言うトコの、ちょっと寄り目の全然美人じゃ無いアップは、自然でしかもすごく可愛いんだ。
あとあと、ホーエンハイムの再会シーン。ホーエンハイムがエド相手にボケとスゴミを演じてますが、それはそのまま、ホーエンハイムというキャラの人となりそのものでしたよね…。ギャグのためのギャグではなく、キャラが元々持っている多面性の一つを引き出しているだけにすぎない。うん。
いやあ。ツボを突いたご意見に、興奮してしまいました(笑)
素敵なコメント、どうもありがとう!!!
3か月ほど前からこちらのブログにお邪魔させていただいています。
遅まきながらつい最近鋼の錬金術師のファンになりまして、インターネット上でいろいろ調べていたところ
歌猫さんのブログに辿り着きました!歌猫さんの鋭い分析と確かな文章力に毎回感嘆しております。
歌猫さんの影響で今年の5月号からガンガンを買うようになりました!(笑)私も荒川先生をとても尊敬しています。
さて、鋼の錬金術師の中のギャグについて、以前から書き込ませていただきたかったので思い切ってコメントしようと思います!
ギャグを入れることについての歌猫さんのご意見、私も全くその通りだと思います。
そして他に自分が考えたのは、ギャグは単にシリアスな場面とのバランスを取るためだけのものではなく、
登場人物同士の人間関係やそれぞれの性格を的確に表現する優れた技法の一つなのではないか、ということです。
(例にする場面がかぶって申し訳ありません)
例えば、対ラスト戦での大佐とハボックのやり取り。緊迫したシーンのはずなのに、何故か笑えるセリフ・・・
これは、登場人物の信頼関係や心の結び付きの強さを表しているように思います。
また、エドとホーエンハイムの墓前の再会では、お互いの認識や感覚のズレっぷりをコミカルに見せることで、
親子なのに解りあえないもどかしさ等を表しているのでは?と思いました。
荒川先生はそういった点も考慮しながらギャグを取り入れているようにいつも感じます。だから不自然だと思ったことは一度もありません。
これ以上ないくらい研ぎ澄まされた表現方法ではないかと思っています。
・・・というわけで初コメントを終わります。
拙い文でホント、お恥ずかしいです。
また時々遊びに来させてください。
キャラにしろストーリーにしろ「ここでこう来るか?!」という驚きが鋼の魅力だと思うのですが、ギャグでさえ「ここでこう来るか?!」をやるというのは、すごいですよねえ。
「ここテストに出すよ!」には笑いました!そうそう、ちょっとダレそうな時にぎゅっと集中させるの。そのタイミングが上手いんだよなあ!
鋼ギャグが出るテスト・・・いいなあ。テスト勉強、エド並みに集中しちゃうよ!
確かに好みの問題ですが、ここで入れるか!というスレスレの場面のギャグの方が、荒川先生らしさだと思ってます。
緊迫したシーンでもふっと息を付けさせることによって、グッと物語に引き込まされますしー。まるで先生が皆が笑ってるところで「ここテストに出すよ!重要!」って言っているような。(笑)