プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 門前典之「灰王家の怪人」

2023年11月29日 | ◇読んだ本の感想。
駄目でした。ダメではなく駄目でした。

この人の本は4冊目。正直、今までもトリックはダメダメ、謎解きの書き方は驚愕するほど
ヘタクソで目も当てられない感じだったが、その新本格らしい大風呂敷の広げ方が良くて、
「いつかは(面白い)新本格になってくれるのではないか?」という期待で4冊読んだ。

駄目でした。

1作目より2作目、2作目より3作目が駄目になっていって……
4作目。この小説はヒドイよ。

なんですかね。1作目から3作目までのホームズ役とワトソン役の関係性も納得できなかったが、
本作の探偵役と語り手の関係性も……まあこう書くならこれはこれで納得出来るのだが、
納得できるから面白いかというとそんなことはない。
そういう着地点だろうなーと途中でわかっちゃうし。

唯一の美点であった新本格らしい大風呂敷の広げ方も本作では瓦解していた。
どこかで見たような断片のつなぎ合わせのように感じた。

そして相変わらず謎解き部分の描き方がスゴイよ。スゴイひどいよ。
なんでこんな風に書くのかと、本人に訊きたいくらい。
謎解き部分でなぜ突然単なる説明になるのか……
何にたとえればいいのか思いつかないくらい。

あ、こういえばいいかな。そこまでの流れは劇画調ともいうべきゴシック感なのに、
突然へのへのもへじになる。
なんでだ???推理小説で謎解き部分っていったら一番美味しいところでしょう?
そこがあんなにへのへのもへじでは、何が楽しくてこの人はミステリを書くのかと思うよ。

しかもその謎解きもアレはないよなあ。ノックスの十戒に反しているのではないか……
まあ反していても面白ければ文句は言わないが、面白くないからねえ。

もうさすがに見捨てていいでしょう。
1冊目から「次は普通に面白くなるかもしれない」と思いながら読んできたが、
だんだん下がってきている。残念ながら。
しかし編集者はよくこの内容で本にしたよねえ。それは2作目から続く疑問だが。
わたしと同じように「次は快作を書くかも」という期待だったのだろうか。

でもまあ特異な書き手だったよ。強い印象を残した。
この人がちゃんとした謎解きが出来てる傑作を書いたら誰か教えてください。
それは読んでみたい。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« < 悪魔が来りて笛を吹く(... | トップ | < 007 スカイフォール > »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

◇読んだ本の感想。」カテゴリの最新記事