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プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

ソチオリンピック フィギュアスケート 男子シングル個人戦 フリー。

2014年02月20日 | フィギュアスケート。
実はがんばって見たんですよ、男子フリーは。日程的にキツいのに朝の4時半まで!
だが、高橋大輔の得点を待っている時に突然テレビの画像が乱れた。
……一瞬暗くなった後に映るようになったのはいいのだが、画面が粗々ですやん!

コマ送りというまではひどくなかったが、モザイク的な画面になっちゃってね。
ユヅル以降、最後までこの調子。
どうして!?どうしてこのタイミングで!?
演技が失敗したか成功したかくらいはわかるけど、こんな粗い画像では全くライブ感がない!
4時半まで起きてたわたしの睡眠時間を返せ!
……どうも大雪の影響でBSのアンテナがずれたようです。この行き場のない怒りをどこにもっていこう。


うとうとしながらだったし、正直最初の方は期待値も高くないのであまり覚えてないのだが……
だが一人、瞠目する人がいた。フィリピンの17歳、マイケル・クリスチャン・マルティネス。
そもそもフィリピンのフィギュアスケート選手というのも相当に脇役感。
いたのか、フィギュアの選手が!というようなレベル。
しかしそれがけっこう達者な演技を披露しましてねえ。
いや、達者ではないか。ミスは多々あり。しかし決まった時のジャンプの質の高さは、
トップレベルの選手に劣らない。軸が全くぶれない。
彼はいずれ、GPでしばしばお目にかかるようになると思いますよ。怪我なく順調に育てば。


前半部ではミーシャ・ジーですかな。特筆すべきは。
彼のあの世界は……相当に自由ですね。オマエはエキシビか!!と言いたくなった。
変なヤツ。しかし変なヤツは面白い。あそこまで突き抜けられると笑ってしまうよ。
振付も自分でしてるなら、当然衣装もデザインしたんでしょう。
ボーカル入りで減点が1点だけなら(選手にとっては“1点だけ”ではないだろうが)
そんなにリスクでもないよね。
まあ彼は……世界で表彰台を争う選手にはならなさそうな気がするけど、楽しい色物としてたまに見たい。


フリーのアボットは良かったね。音楽と振付と表現力が強力なタッグを組んでいた。
まあ……あのショートがあったからこそこのフリーがある、という側面はあるかとは思うが、
ショートのあの転倒が残念ではある。転倒だけならなんとでもなったかもしれないのに、
転び方が悪すぎたよなあ。


実はフリーはほぼリアルタイムで見たあとにもう一度見直していて、
二度見てから感想を記すなんて初めてかもしれない。
そうすると意外に印象が変わってるんですね。


アモディオなんて、1回目の時はそのダンスに魅了されて悪い印象はほとんどなかったのだが、
2回目見ると、……ほんとーにジャンプが酷かったんだなあ。
キス&クライで泣いてた顔が、こういってはなんだが可愛かった。
でもわたしはダンス部分で、そのエンターテインメントとしての質の高さに尊敬まで感じたんだけどね。
競技者としては大変悔しかったであろうが、エンターテイナーとしては胸を張っていい出来だ。
23歳は次のオリンピックを目指すのは本当に微妙な年齢だと思うが、
今後も一年一年を積み重ねていって欲しいよ。


そして素でその存在を忘れていたベルネルをとても久しぶりに見てびっくりした。
おお、いたなあ!ベルネル!という感じだった。
ベルネル好きだったんだけどね。若いころは一人だけ毛色の変わった振付で面白かったんだけど。
何年かずっと不調で、そのうちにブレジナの方が出てくるようになって……
年を経るに従って、マジメにシリアスになりましたな。楽しそうに踊っていた頃のベルネルが好きだった。

今回気付いたが、彼は上方からのアングルだととてもかっこよく見えますな。
……つまりはアゴなのだ、アゴ。まあアゴがあっても全体的にはかっこいいけど。
チェコ選手権ではほぼ優勝を譲らないのに、GPシリーズで全く見なくなったのは残念だ。
欧州選手権は日本で放映しないしなあ。
彼は今回のオリンピックで引退したんだって。満身創痍ではあったんだろう。


そうしてもう一人、1回目と2回目の視聴で全く印象の違う選手が。

レイノルズ、ショートプログラムは「やる気ないんかい!?」と思うほど覇気がなかったので、
フリーもなんか大したことない気がしていたが、改めて見直すとけっこう良かった。
ダウングレードだったそうだが、4回転を3回跳んで来る……時代を先取りするエースですよ。
ただ、ショートに引き続いて気持ちに情熱をあまり感じなかったかな。
熱いだけが良さでもないが、しかし少し静かすぎる滑りだったかもしれない。


そして、まーまーまーテンちゃんが見事でしたね。立派な滑りでした。
武骨系の人があそこまでリッパに滑ると若干嫌味さえ漂う……とは贅沢ですか。
テンちゃん贔屓だから嬉しいわ。
――だってまさかオリンピックの銅メダルを取るとは思わなかったですよ!
15歳頃から見て来て、その成長を喜んでいた。男の子っぽい武骨な滑りは本田武史や無良君と
似通う、わたしの好みのスケーティング。ちっちゃかった身長も去年あたりからすごく伸びた。

去年くらいから、武骨一辺倒だった滑りに演技が入って来た。
おやおや、こんな芸風も出来るようになったのか。へー、意外だなあ。
でも彼は世界の舞台で表彰台を争うようにはならないだろう。おそらく5位から10位前後の選手。
……と思っていたら、世界選手権ではまさかの銀を取っていった。
フロックだろうと思ったのに……怪我で全く出遅れた今シーズンのオリンピックで銅メダルとは、
なんだかドラマティックすぎて信じられませんよ。
おめでとう、だな。彼は今後まだまだ伸びる。ユヅルと競う。多分最後まで。


ジュベールは悪くはなかった。上手にまとめて来た感じ。
言葉を変えていえば、――残念ながらもう狙ってはいなかった。競技に別れを告げに来た。
それは高橋大輔も同じだったと思う。
いや、でもここまでよくやった。プルシェンコに続いて、男子フィギュアの歴史に名を刻む星だ。
今後もプロとして滑るだろうから、その筋肉を活かした力技で面白いプログラムを見せて欲しい。

――だが、アランフェス協奏曲というチョイスは微妙な気がした。こうなってみると。
古くは本田武史が使った名曲で、曲として素晴らしいと思うし巻き込みやすい曲だとは思うが、
間口の広さに比べて、実際あの曲にフィットさせるとなれば、ジュベールの重厚な滑りは
微妙なところで合わなかったんじゃないかと思う。
もっと繊細に――特に表現部分で繊細に滑るべき曲な気がするんだよね。
ジュベールの今回の演技は、普遍的な「男の切なさ」という部分は全く見えなかった。
そもそも彼はそういう部分を表現することを狙ってないスケーターなんですよね、多分。
本田武史の演技にはそれがあったけど。名プログラムたる由縁。

ジュベールは多分「ジェネシス」の系統が良かった気がするな。
あのくらいかちっと動く方が、筋肉と強靭さが活きた。おそらく。


ブレジナも悪くはなかったんだよね。
あの人は着氷の姿勢が悪い時がある。でも振付は工夫してあるし、曲のチョイスが好きだ。
「鼓童」「山の魔王の宮殿にて」「シャーロック・ホームズ」は好きだ。
今回のフリーの衣装、青の色がきれいでしたね。ああいう色の服が欲しくなった。


あまり欲をかかなくて良い立場であろう閻涵が予想通り、いつものレベルの演技をしてきましたな。
あの人のジャンプは驚異的な幅がある。
今回は小手調べで良い、という判断もあったろうからね。本気でメダルを狙うのは次のオリンピック。
だが、シーズン序盤にも言ったことだが、あの曲のチョイスは疑問だなあ。
もっと似合う曲があったはずだがのう。


町田は、武器というほどの武器は持たないスケーターだ。ジャンプの質という意味ではもっと目に立つ
スケーターが他にいるし、スピード、柔軟性、平均的に良いとしても突出したものではない。
彼の武器は、――表現力。というよりむしろその情熱だろう。
だが今回はその部分が足りなかった。悪くはなかったけど。やはりオリンピックの緊張があるんだろう。
気持ちの表現は余裕があってこそ。今後、どうですかね、情熱は続きますかね。


フェルナンデスは、久々にちゃんとした演技だった気がする。4回転も決まってたし。
去年今年は、どうした?というほど不安定だった。
以前の憎らしいくらい安定したジャンプが信じられないほど。
でも彼も表現力、相当についたね。3年前くらいはただ滑って跳んでるだけのスケーターだったが。
やはり滑らせてるだけではないのか、ブライアン・オーサー。


高橋大輔はショートプログラムに同じ。ジュベールに同じで、もう狙っては来ていなかった。
途中で仙人みたいな滑りになっていた気がする。
やっぱり彼にも曲のチョイスに不満があるなあ。
何もオリンピックイヤーにこの曲じゃなくても良かったんじゃないかっていう。

高橋は曲の世界に入り込んで、みんなをのせて、さらに自分がのって行く人でしょ。
この曲だと何か所かノリのいい部分はあるんだけど、それが散発的なので力を生まない。
わたしは自分の好みがそうだからだけど、曲はあまり繋ぎ合わせないで、一曲の世界を大事にした方が
いいと思うんだよね。何曲か繋ぎ合わせると、それぞれの流れがぶちっと切れてしまうじゃん。

高橋はいろんな世界が表現出来る人だし、そこをアドバンテージとして見せたいということかもしれないが、
だからといってあれもこれもでは、単なるスケート表現力のカタログになってしまう。
2シーズン前に、ショート、フリー、エキシビションまで相当禁欲的な曲で固めて来たことがあって、
それでも、シリーズ最終盤には見事なプログラムにしてきたんだよ。
ここまで盛り上がらない曲でここまで出来るのか!と尊敬した。
それが出来る人だからこそ、今シーズンは素直にラテン系でもミュージカル系でも、
雰囲気の作りやすい曲でがっつり行くもんだと思ってたのに……
あの細切れでは気持ちは作れなかったと思うよ。


ユヅルの演技は……まあ残念だった。4回転が失敗するのは想定内としても、3回転フリップは……。
ここが良かった!というところがない演技でしたな。前半はおそらく緊張で、後半は体力が尽きて、
身体も重かったし。
もっともっといい演技が出来るのに、それなのにこれで金なのは正直残念だ。

だがタラソワさんが「誰にも金メダルを与えるべきではない」なんていうのは笑止千万。
コフトゥンが出られなかったからってやつあたりしないでいただきたい。

まあユヅルは4年後まで宿題をもらったと思えばいいさ。
五輪の借りは五輪で返す。金メダルをとって“借り”っつーのも贅沢な話だけど、
やっぱりこれで満足されちゃ困るし、満足するようなユヅルでもないだろう。
オリンピックの緊張を味わえたことを大きな経験値として、
次は必ず天地人の揃った、素晴らしい演技をしてほしい。

まことにショートプログラムは身を助く。


チャンがユヅルにお付き合いして崩れてくれるとはアリガタイ。
一昨年までの完璧な演技と比べて、去年今年とだいぶ安定感が減じたが……
でもここぞという時は決めてくるコワイ選手だったからね。
しかし彼は、あの出来のフリーの直後、苦笑い混じりとはいえ笑えるんだよ。
大したヤツだなあ、と思った。今後もまた、大したヤツとの闘いは続く……


ジェイソン・ブラウンは9位で満面の笑み。カワイイ。
彼は今後、4回転を跳んでくるんですかね?あんなにノセるのが上手な人が4回転もやるようになったら、
手ごわくなると言わざるを得ない。まだコワくはないけど。でも19歳だしなあ。これから化けるよなあ。





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