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プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 北村薫「飲めば都」

2022年05月03日 | ◇読んだ本の感想。
まあまあ面白かった。あくまでもまあまあ。

……でもわたしは北村薫に対しての見方をそろそろ改めるべきかもしれない。
昔はすごく好きだった。初めて読んだ時は衝撃を受けて。
一目惚れ、というべきにやあらむ。

その繊細さが好きだった。
当時北村薫は覆面作家で、何の疑問もなく若い女性だと思っていたら、
なんと書いた当時もけっこうなおじさんだと知ってびっくり。
高校の国語の先生だって。先生という感じもしなかったなあ。
当時北村薫の作品はだいたいツブして。2003年頃のまでは読んだかな。
それから長い時が経って、去年あたりにまた読む順番が回って来た。

だがそれからの作品ではわたしが好きだった震えるような繊細さには出会えなくて。
ちがう、これは北村薫じゃない、といいたい作品が多かった。

でも北村薫も何十年も同じではいられないよね。
20年経って当時と同じレベルのものを、当時と同じテンションで書き続けろと
いっても無理な話。

今後は、ふんわりとした話を書く、洒脱な作家として期待すればいいのではないか。
こんな話のような。
過去にこだわるのではなく、その変化を愛すべきなのではないか。


※※※※※※※※※※※※


そう考えればこの話は面白かったです。

酒好きの都さん。下戸のわたしからすれば恐ろしいばかりの酒の上での失敗を
積み重ねながら、いい人に囲まれ、いい日々を送っている。

ダジャレがだいぶ入る。ダジャレは年齢を重ねるにつれて必然的に増えるらしいので(脳の機能的にそうなっている。……情報の精度には責任はとれんが)、
これはもうしょうがないと考える。
この年頃の女性(20代後半~40歳くらい)はそこまでダジャレを多用しないだろうと
思いながら、仕方ないなあと考える。

とにかく気持ちのいい話ではあるからね。
特に主人公の都と、彼女を取り巻く先輩たちのやりとりに味がある。
全体的にあっさり。唐揚げが食べたい時は物足りないが、
お茶漬けでいい時にはこういう話でもいい。

……「でもいい」と思っちゃう時点でやっぱり物足りないんだろうな。
高すぎる期待は抱かないように、今後読んで行こうと思う。





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