プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 宮田珠己「モンタヌスが描いた驚異の王国 おかしなジパング図版帖」

2022年08月14日 | ◇読んだ本の感想。
つい先ごろ、海野一隆「地図に見る日本 倭国・ジパング・大日本」を読んだので、
この本の目新しさが減じた。……って、上記の本は宮田珠己がおすすめしてた奴。

これねー。宮田珠己のいい意味の駄文感がまったく出てない、
食い足りない本だったよ。

絵が主だから文章はちょっとした感想なんだけど、
他の(著者の)似たような形式の本の影響を受け過ぎたのか、
文章が真面目過ぎ。解説っぽくやりすぎ。
わたしが宮田に求めているものは、ひたすらにゆるーい、端倪すべからざるユルさだ。
こんなもんでは全然満足出来ない。

とはいえ、内容は面白かった。
あるよねー、こういうの。他国から見た自国への誤解。
しかも全然違うのから微妙に違うのまでグラデーションで。
どこからが間違いでどこからがアリなのか、その基準がだんだん揺らいでくる。
こんなに続けて見ていると。

我々が見て、日本じゃなくてインドじゃん!と思うものでも、
インド人が見たら違和感しかないという絵もあるんだろうなあ。

はるか昔に、イギリスはロンドンにあるお茶の博物館という小さな博物館に
行った時、日本コーナーがあって、そこにはどう見てもベトナムだろうという
銅版画が日本の茶摘み風景として展示されていた。

スタッフの人を捕まえて「これは本当に日本のものなのか?」と訊いたら、
「日本人に監修してもらっているので大丈夫だ」と言われた。
そう言われてしまえば何も言えないが、あれはベトナムだと思いますよ。
とはいっても、わたしがベトナムだと思うだけで、ベトナム人がどう思うかは知らん。


日本らしさというのが一体どこから来ているのか、こういう本を見ていると
わからなくなってくるね。
部分部分を見れば不正解だともいえない。が、全体を組み合わせると
全然日本ではない。
日本を描いてると知らされなかったら、「ああ、東南アジアか中東か、
どこかの風俗なんだろうな」と思いながら見るだろう。
そして東南アジアの人は「中国か中東かもしれない」と思い、
中東の人は東南アジアか韓国か日本」と、全員が自分のところだとは思わない絵。

こういうの並べて、各国から人呼んで来て、一体どこの絵なのかを議論して欲しい。
youtubeの企画とかにぴったりじゃないですか。
昨今、いろいろな国の人が日本語で発信しているし、コラボで不可能じゃないと
思うんだけど。


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