プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 新源氏物語 (1961年映画)>

2024年03月19日 | テレビで見た映画。
わけがわからない。

さすがに源氏物語の映像化は諦めてるのよ。
あんなに長い話で、時代も違って、基本設定の共通理解が進んでいない世界で、
映像化は不可能。無理。
ちゃんと作ろうと思ったら、多分100時間か150時間くらい必要。

今まで、TBS40周年記念の橋田寿賀子脚本「源氏物語 上の巻 下の巻」に怒り、
「千年の恋 ひかる源氏の物語」を録画で見て最初の20分くらいで怒髪天をつき、
そして今回。製作年代が古いから(1961年)ちっとはまともな脚本かと
淡い期待を抱いたのだが、わけがわからなかったですよ。

なんでこうなる?こうする?

朧月夜が淫乱女になるのも驚いたが(尻軽女ではあるが淫乱女ではない)、
末摘花を才気煥発の淫乱女にして何がしたいんだ!

いくら似ているという設定だからって、藤壺と紫の上を二役で寿美花代に演じさせるのは
無理があるだろう!紫の上は登場の時、10歳前後!

六条御息所は慎みも自省もない年上マダム。

藤壺が青海波の舞を終えた源氏に対して、衆人環視のなか被け物をお届けするなんて
あり得ないんや!

1時間45分の尺で、クライマックスは女院の剃髪、最後のシーンは須磨へ下る源氏を
紫の上が野原で立って見送る場面だよ!紫の上が、立って、野原で見送る!

須磨へ行く前で話が終わって、源氏物語の何を描こうというのか!!描いたといえるのか!
「桃太郎」で言えば、桃太郎が鬼ヶ島へ出発するあたりだよ!





……ほんとにまったく、一体何がしたいんですかね?
源氏物語を表現したいから源氏物語を作るんじゃないんですか?
根本的に腹が立つ。


とはいえ、話があまりにも変になるまでは(まあおまけして半分くらいまでは)
昔のドラマ作りを見られて面白みは感じましたけどね。
お年を召した後しか知らない、寿美花代、中村玉緒、若尾文子の若い頃も楽しかったし。
名のみ聞いてて見たことがなかった市川雷蔵も見られたし。
……市川雷蔵は美男でしたか?わたしはあんまりピンとこなかったんだけど。

なによりセットはありがたかったですね。
ちゃんと几帳や御簾が美しく映るように撮られていた。若干透けすぎだけど。
寝殿造りもけっこう大きなセット。
衣装は……ちょっと枚数が足りない気がしたけど、まあまあしょうがないか。

しかしいかにセットに凝っても、話がヘンチクリンなら作品もヘンチクリンに
ならざるを得ない。


もう源氏物語は映像化しなくていい。唯一可能性があるとしたらアニメだが、
平家物語を11話でオリジナルキャラを主役にして作る暴挙をしたことで、
もうアニメにも期待できない。

原作を表現したくないなら作品は作らないでください。
原作に真摯に向き合ってください。
創作者であるプライドがあるならば。
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