プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 元彼の遺言状(ドラマ) >

2022年08月20日 | ◇読んだ本の感想。
前クールのドラマを最終話放映後に見始めて、見終わった後に相当経ってから
感想を書き始める……。(呆)


わたしのなかで原作者の新川帆立のイメージが……微妙でした。
最初に「有隣堂しか知らない世界」のyoutubeで見たんだよね。
喋りは面白かったんだけど、司法試験にぱーっと通っちゃって、小説を書いたら
賞を取っちゃって、という勝ち組ぶりに嫉妬を感じたのと、
賞を取るためにはどんな風に書いたらいいかを分析したという話をしてて、
ああ、計算づくの小説なんだ……と冷めてしまったから。
分析はたしかに大切なんだろうけど、それを公言されると冷めませんか。

そういう意味で、ドラマを見ててもちょっと邪魔される部分はあった。
食べものをやたらと出すのは昨今のグルメドラマの人気を計算した結果なんだろうな
とか。

まあドラマはドラマ、原作は原作。きっと原作は読まないし。



ドラマとしては面白かった。……アベレージ的に。若干悪い意味で。
最初の2話はわくわくしたんだよなー。まず謎の立て方が魅力的じゃないですか。
「元彼の遺言状。私を殺した人に莫大な財産を残します」というのはさ。

ただそれが期待したほどは謎解きとして盛り上がらなかったというのが正直なところ。
「え?これで終わり?」と思ったもの。設定の魅力に対してしょぼい。
この高まった期待をどうしてくれる。

でもまあ半分くらいまでは楽しく見ましたよ。
綾瀬はるかと大泉洋はダブル主演で豪華。
綾瀬はるかは演技力はそうでもないけど外見が美しく、見ていて華がある。
それが赤と黒の衣装に身を包み、
ハイヒールをはいてガツガツ歩くんだからかっこいいしね。

大泉洋は浅からず深からず、程よい演技でした。
あの役であまりがっつりやるのも違うしね。もっとコミカルにやったら
大泉洋単体ではさらに面白くなったんだろうが、W主演として綾瀬はるかが
いる時点でそこまでやらない方が良かろう。いいバランスでした。
もしこれが大泉洋ではない、そうでもない役者が演じてたら破綻してたろうな。

だが、後半からは少々飽きた。つまらないまでではなかったけど、
何しろ剣持麗子のキャラクターが平板。設定は面白いが平板。さすがに飽きる。
最初から最後まで変化しないからね。綾瀬はるかの責ではないが、
でも達者な役者ならもう少し味わいがあっただろうな。

それに加えて、大泉洋の事件にストーリーが移ると、それまでの売りである
能天気さ、無責任さが薄れて普通の事件になっちゃうんだよね。
普通の事件と剣持麗子のキャラクターの乖離。

そしてミステリとしても多々甘いところはあった気がしますよ。
もう細かいところは忘れてしまったけど。
わたしは神のごとき全知の探偵も嫌いじゃないが、無理がありましたからね。
まあミステリドラマに緻密さを求めても仕方ない。


良かった役者はサヤ役の関水渚なる人。
多部未華子に似てる。多部未華子ほどの個性はないけど、見てて可愛かった。
今後若干来るかもねー。……と思ったら、わたしはこないだの
「ウェディング・ハイ」ですでに見ていたようです……
もう少しクセがあった方が印象に残るかもしれないなあ。

浅野和之の役どころは面白かった。さすが。
野間口徹がこういう役どころで出るのは嬉しい。最近役柄が広がりましたね。
勝村政信が年を取った……。彼のせいではないが、この刑事役も変だったんだよなあ。
探偵役と刑事があり得ないずぶずぶ、とはミステリドラマの定番ではあるが。


オカネモチの別荘のインテリアと外観(天鏡閣ですよね?わざわざあそこまで来て
ロケしたのか)も好きだったし、剣持麗子の事務所のインテリアも素敵だった。
こういうところもドラマの価値だなー。ポイントが上がる。

そしてわたしにとってこのドラマの一番良かったところは!
シャーロット・マクラウドのセーラ・ケリングシリーズの、多分
「盗まれた御殿」の表紙が一瞬映ったことだ!

マクラウドはミステリの文脈で話題にのぼることはほとんどない作家で……
コージーミステリの文脈ではたまに出て来るんだけどね。
わたし、すごく好きだったんです。認知されたようで嬉しかったなあ。


ドラマとしては十分楽しませてもらった。期待よりはうっすら下回ったが。
主にミステリの面で。
でももし続編があれば見るだろうな。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◇ 辻由美「カルト教団太陽寺... | トップ |  ◇ 町田康「権現の踊り子」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

◇読んだ本の感想。」カテゴリの最新記事