Cogitatum qua cogitatum

ちょこちょこっと載せています。

山歩き考

2008年03月20日 13時20分28秒 | flexaret Ⅳ 春
flexaret Ⅳ Belar 80mm/F3.5 Velvia100F F16 1s




この記事に掲載してある写真はすべて、先日4人で行った埼玉の正丸峠から高麗川源流までの写真です。この日を境に、山に1人で行くときにのみカメラを持っていこうと決めました。

複数人で行くと時間がなくてゆっくり撮れないってことも確かにあります。この日は、「写真撮るので、先入っていてください」、「じゃあ、先入ってるよ」とやり取りをして写真を撮る。撮り終わったらすぐに走って追いかける。そういった仕方で写真を撮っていました。どうしても、急いでとらなければならないし、そもそも山歩きの方が主題なので、写真を撮ることが迷惑にもつながります。しかし、なによりも、山の中に一人でいるときこそ、写真を撮りたいし、そこで写真を撮ることが、ある楽しみをより大きくしてくれることが私にとっては重要です。



flexaret Ⅳ Belar 80mm/F3.5 Velvia100 F5.6 1s




2月29日、私自身の誕生日に、一人で鋸山に行ってきました。その時に感じたものを友人に話したところ、その友人が誰かの言葉を引用してくれました。正確には覚えていないけれど、「人間は街の中では孤独だが、自然の中では孤独ではない」といった旨のことでした。鋸山で感じたものは、まさにそれに同意するに充分なものでした。

おそらく、「私」に対する任意の「あなた」が眼前に存在しないことが、第一なのでしょう。任意の「あなた」は個人です。つまり、個別存在。その時に、「私」は個人としての「あなた」とは別でありながら、同じ人間であるがために、「あなた」にたいして個人としての「私」が定立される。孤独は、個人であるために生じるものだとすれば、山の中に一人だけでいる時に、個人ではなく孤独を感じないのも納得です。と、しちめんどくさい話は置いておいて。ともかく、山の中に一人でいる時の感覚。それは、孤独とは反対に、自然の中に溶け込んでいる感覚なのです。私にとっては。



flexaret Ⅳ Belar 80mm/F3.5 Velvia100 F4 1/25s




山の中で一人だけ。そして、自然に溶け込みながら写真を撮る。その時の自然との関係。それを、とても心地よく感じます。

先日4人で埼玉の山に行った際、昼飯休憩の時間に密かに立てていた計画通り、一人だけ飯を食わずに、離れました。一人で、道のない岩場に行って、わずかに足場のになる岩の上に登り、写真を数枚撮りました。いざ、昼食を食べているところへ戻る時になって、足もとに生えていた緑が優しい木を、すごく撮りたくなりました。時間がなかったので、適当に撮りましたが。その木は、さっきから足もとにあり、幾度も視界に入っていた木でした。短い時間そこにいたわけですが、その間にすごく親近感を覚えたようです。もちろん、自然は時に猛威です。しかし、山の中に一人だけでいて、自然が穏やかな時。その時に、自然はとても親近感をもって包んでくれるものでもあるようです。



flexaret Ⅳ Belar 80mm/F3.5 Velvia100F F11 1s




複数人で「山歩き」をしに行く時、そういうときに目につかないものがあります。どうしても、先に行くことが先行します。しかし、一人で山に行く、そして、時間を忘れて、自然に溶け込みながら写真を撮る時には、見えないものが見えてきます。少なからず、被写体に注視するのですから。細部の質感等々。そういったことも、一人で山に行った際のよさでしょう。しかも、ただ山に一人だけで行くのではなく、カメラを持っていくことによって得られる快感です。どうやって、被写体から感じるものを撮って「あげよう」かなと考えたり。複数人で「山歩き」に行くと、その被写体に向き合う時間がなくなってしまうのが、とても残念です。



flexaret Ⅳ Belar 80mm/F3.5 Velvia100 F4 1/25s




私は、複数人で山に行くことを否定してはいません。複数人で山に行くことは、一人で行くのとはまた違った感覚があります。また、高い山、危ない山に一人で行く気にはなれませんし、複数人でこそできることもあります。加えて、私は、もっと一人で写真を撮る時間を与えてくれとダダをこねたいわけではありません。複数人で山に行くのだから、お互いの迷惑にならぬように気を遣うことくらい至極当然ですし。ただただ、カメラを持っていくのは、一人で山に行く時のみにして、複数人で行く時はカメラを持っていくことはやめようと決めたにすぎません。一人の時と複数人のときでは、そもそも目的も違いはずですし。

最近は、就職してもできるだけ一人でカメラを持って山に行きたいなぁと思っています。



flexaret Ⅳ Belar 80mm/F3.5 Velvia100 F22 1s




それにしても、先日4人で行った山は杉花粉がすごすぎました。霧が立ち込めていた午前中はよかったのですが、日が出始めたと同時に、普段東京で暮らしている際にはなんともない私の鼻が反応し始めました。鼻みずが。。。

夕方の山は視界が悪くなっていました。おそらくこれも杉花粉のせいでしょう。飛散して辺り一面に立ち込めた杉花粉。それに太陽光が当たり光が反射する。そうして、山が白っぽく見える。そうなっていたのではないかと思います。花に見間違えた枯れ木を撮ったのですが、その写真に、この状況がよく写っていました。


flexaret Ⅳ Belar 80mm/F3.5 Velvia100 F10くらい 1/25s




ちなみに、私は言わずもがな、初心者で、何週間か前までは写りに興奮していました。ここのところは、どう撮るとどう写るのか、つまりは技術的なところを試しています。最近は、こういう風な写真を撮りたいなっていう考えが、なんとなくですが出来てきました。