Wharton School, University of Pennsylvaniaで催されたJapan Nightのポスター
中学生を持つ日本人仲間のひとりがランチの席で言いました。
「子どもの学校で『日本週間(Japan Week)』を企画するの。日本について紹介するんだけど、何かいいアイディアないかしら?」
女友達ばかりの気のおけない席です。誰かが遠慮なく言います。
「"伝統”の話はもう飽きちゃったんだけど・・・」
「私も!いかにも"歴史と伝統"っていう話題は、もうやめようよ」
「そうねぇ。不思議なんだけど、お茶とか和太鼓とか、そういうお話はお願いできる方が案外たくさんいるのよね。でも、現代の日本を紹介しようと思うと、むしろ、これが案外むずかしいのよ・・・」
日本と言えば、判で押したように茶道に華道、和太鼓に歌舞伎、そして禅・・・などなどが定番の話題。でも、率直に言えば、現代日本人にとってはあまり馴染みのないことばかり。ところが、いつも感動させられるのは、日本から遠く離れたカリフォルニアにも茶道や華道に精進を続けている方がいらして、見事なデモンストレーションや解説をなさること。和太鼓も大学の同好会や地域のサークルに若い人が大勢集まっていて頼もしいかぎりです。歌舞伎は造詣の深いアメリカ人の友人が一人ならずいますし、禅は修業を果たされたお坊様がカリフォルニアにもいらっしゃる。ですからどの話題でも、日本以上に日本的で、かつプロフェッショナルなレクチャーが期待できます。
でも・・・だからといって"伝統"を紹介すれば、日本を紹介したことになるのでしょうか?
ランチでの会話の続きです。
「日本って言えば"技術"よ。製造業だってゲームだって世界に冠たるものじゃない!」
「トレンドは秋葉原じゃないの?外国人観光客に超人気よ」
「原宿ファッションは?世界中が注目してるわよ!渋谷の109の中にあるブティックを最近フランスの会社が買収したっていうし」
「断然 Nintendo!誰でも知ってるわよ。あの会社の人にビジネスの話してもらったら?」
「アニメとか、マンガもいいんじゃない?」
「グリーン技術は?アメリカは最近グリーン一色だけど、ゴアさんはじめ皆が故意に日本を無視してる印象じゃない?エコロジー分野の日本の技術水準ってすごく高いのに・・・」
その後の展開は、さすがシリコンバレーでした。
「私、日本のロボット技術の話ならいつでもできるわよ。写真も資料もいっぱいあるし」
「友だちが日本のマンガの輸入会社のCOOしてる。彼女ならおもしろい業界の話をしてくれると思うけど」
「私のところに来てる留学生、原宿の“生の”刺激的な話ができるんじゃないかな?」
「任天堂には至らないけど、セイコー・エプソンは?私たちが毎日見てる小型プリンターの大半はあの会社のOEMよ。世界シェアはものすごく高い。技術の源流は東京オリンピックの時に開発した技術だから、歴史的にも面白いし、話題性もあるわよ」
「・・・世界シェアが高いって言えば、オムロンの血圧計だってすごいよね」
わいわいガヤガヤするうちに、たちまち『現代日本』を紹介する、魅力的な企画と講師候補の人選が決まりました。それにしても・・・の皆の感想は、
「どうして日本のことってよく知られていないんだろう?」
「謙虚すぎるの?」
「日本人って日本以外のことに関心がなさすぎるのよ」
「それにしても、日本ってマーケティングが下手だよね~」
「ビジネススクールのケースにだって全然出てこないものね」
「英語の問題かなぁ?」
「もっと知ってもらうべきだし、もっと売り込んでもいいのに・・・」
「もったいないよね~」
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