お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

えいが と えほん

2010-07-05 | for the Occasion


写真は映画「You've Got Mail(邦題:ユー・ガット・メール)」のひとコマ。絵本やさんのオーナーである主人公キャサリン(メグ・ライアン)が、店内で子どもたちに読み聞かせをしているシーンです。本棚には、お馴染みのドクター・スースの絵本がずらっと並んでいますが、彼女が読んでいるのは「Boy(ロアルド・ダールの自伝的な作品)」です。

映画の中での読み聞かせといえば、共和党支持派の多い地域では上映中止の劇場もでたマイケル・ムーアの映画「Fahrenheit 911(邦題:華氏911)」では、まさにあの9月11日の朝、ブッシュ大統領が小学校を訪問して読み聞かせをする(はずだった)場面が出てきます。大統領が読み聞かせようと携えていた絵本は彼の愛読書「Good Night Moon(邦訳:おやすみなさいお月さま)」だったとか(ブログ記事『原語で読みたい絵本の古典』)。

アメリカでは子どものための『読み聞かせ』が大変ポピュラーです。ブッシュ大統領に限らず、有識者等が学校などを訪問する時には、たいてい自分の好きな本を持って行って、子どもたちに読み聞かせるものとされています(ブログ記事『ホワイトハウスの本棚』)。

家庭での就寝前の読み聞かせ(bedtime story)はほとんど常識ですが、保育園や幼稚園はもとより小学校にあがっても、1-2年生のクラスでは先生や親のボランティアによる読み聞かせ(story time)が頻繁にあります。街の図書館や本屋さんでも毎週定例の読み聞かせの会(story hours)が決まっていて、いろんな大人が読み聞かせをしています。ニーズが多いので、読み聞かせボランティアのためのしっかりしたトレーニングコースもあり、教会や図書館などにプロの声優さん等が来て希望者に教えてくれます。

映画と絵本‥‥といえば、絵本のキャラクターと映画の主人公を暗に比喩的に重ねるというのもよくある手法。最近の映画では「The Blind Side(邦題:しあわせの隠れ場所)」の中で、母親役のサンドラ・ブロックが「The Story of Ferdinand(邦訳:はなのすきなうし)」の絵本を子どもに読み聞かせる場面があります(ブログ記事『アメリカ映画にみる母と子』)。息子の幼い時の愛読書を読んでいるという設定なのですが、実は、巨漢で力持ちなのに滅法やさしい主人公マイクを、飛びきり大きくて強そうな牡牛なのに花が大好き‥‥というFerdinandに重ね合わせるというのが伏線です(ブログ記事『花の好きな牛』)。

絵本が原作になっている映画もたくさんあります。あたらしいところでは今年い封切りの「Where the wild things are(邦題:怪獣たちのいるところ)」。昨年映画化された「Cloudy with a Chance of Meatball」(ブログ記事『映画の原作になった絵本』)は朝昼晩、空からおいしいお料理が降ってくる町の物語です。その前にはロアルド・ダールのちょっと不気味な「Charlie and Chocolate Factory(邦題:チャーリーとチョコレート工場)」がありました。私が好きなのはドクター・スースの「How the Grinch stole Christmas!」です(ブログ記事『盗まれた?クリスマス』)。ひねくれ者のグリンチが村人を困らせようと"クリスマスを盗んでしまう”お話。こうして並べてみると、不思議なことに、映画になってるのはいずれもちょっと風変わりな絵本ばかりですね。映画もいずれも幻想的な作品揃いです。

珍しいところでは、絵本のタイトルがシリアスな会話の中で比喩として引用されるというのもあります。ハリソン・フォード主演のアクション映画「Air force One(邦題:エアフォースワン)」で、ひとたびテロリストに委ねようものなら‥‥と、危険性を語る場面で引用されるのが「If You Give A Mouse A Cookie(もしもネズミにクッキーをあげると‥‥)」(ブログ記事『ぐるぐる回るお話』)。

絵本ってやっぱり国民的教養の書なんですね。




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