お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

スーパーシニア:卒業しない学生たち

2009-05-11 | from Silicon Valley


サンノゼ州立大学 (San Jose State University) が、今年2008-2009年度入学者の合格発表にあたって、「諸般の事情により、入学資格のある学生4000人以上を入学させることができなかった」と発表し、議論をまきおこしています。

新入学生の受け入れを難しくしている大学側の「諸般の事情」の最たるものはスーパーシニア(super Senior)と呼ばれる留年組の学生たちの存在です。何年にもわたって卒業しない学生が最終学年(シニア:Senior)に滞留しているために、在籍者総数の制限から新しい学生を受け入れることができないのです。ちなみに、アメリカでは学生は1年生、2年生、3年生、4年生の順にFreshman、Sophmore、 Junior、 Seniorと呼ばれています。留年組がスーパーシニアと呼ばれる所以です。

さて、サンノゼ州立大学には、いったいどれくらいの留年生がいるかというと、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙が報じているところによれば、2009年度に最終学年に留年する(通算で在学5年目以上となる)学生は総数で9757人と見込まれており、およそ3万2000人余の全在学生総数の1/3近くが留年組。2005年の8333人から大幅に増加しており、これでは新入生が圧迫されるのも無理はありません。

もっとも長く在籍している学生は在学15年目となる2人で、2人ともすでに360単位も取得しています。卒業に必要な単位は文科系でおよそ120、工学系でも135程度ですので、この2人はすでに3回卒業できている計算になります。

留年組には大きく括って3つのグループがあり、そのひとつがこの2人のようなモラトリアム組。「いつまでも学生でいたい」と漫然と考えながら、キャンパスで延々と自分探しをしているタイプです。「15年もあれば、学士号をとって、さらに医学部に行ってMDになり、そのあと博士号だってとれているはず・・・」というのが2人をインタビューした記者の感想でした。

一方、深刻なのは不況のあおりで就職できなかった学生のグループです。仕事が見つかるまでキャンパスで時間稼ぎをしようと考えて留年を決めてはいますが、仕事さえ見つかればすぐにでも卒業しようと身構えています。彼らが卒業しないで留年する最大の理由は、おそらくは教育ローン。教育ローンは学生をやめた途端に待ったなしで翌月から返済しなければなりません。アメリカの大学は授業料が高く、したがって学部生でも半端でない金額の教育ローンを抱えていますから、仕事がなければとうてい返せないのです。ローンの返済を先延ばしするために、きちんとした仕事が見つかるまでは学生のままでいようと考えるのも無理からぬ話です。

大学にとって深刻なのは最後のグループかもしれません。「単位はたくさん取得しているのに学位がうまく取れない」学生たちのグループです。このような学生の多くが他の教育機関から中途編入(transfer)してきたグループだと言われており、これら編入組に対する大学側の対応と指導が行き届かないのではないかとの問題が提起されているからです。

ともあれ、誰かを入れるためには、誰かに出て行ってもらわなければなりません。サンノゼ州立大学では、来年度早々から留年組の学生一人一人と学部長が個別面談するスケジュールをたてており、また学位取得がスムーズにできるよう単位取得方法などの相談にのって学生をサポートするアカデミック・カウンセラーを多数配備することを決定しました。一人でも多くの学生に卒業してもらうための積極的支援策です。


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