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お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

サンキュー!の効用

2011-01-14 | my Anthology
『サンキューはこちらに』と大きく道路にペイントされたサイン。どこに行くのか‥‥ちょっと気になります。写真:www.flickr.com/ photos/psd/2086641

アメリカで暮らしていると、ちょっと外を歩いても、マーケットで買い物しても、レストランで食事しても、学校でも、職場でも、家でも、毎日数えきれないくらい「ありがとう Thank You」を言うことになると過日このブログに書きました。(ブログ記事『照れくさいけど、I Love You!』)

朝夕の挨拶でも「ありがとう」は欠かせません。たとえば朝の挨拶の定型は"Good morning. How are you?" 日本でも中学校で習いますね。返事は? そう、"I am fine, thank you."で、締めの「(聞いてくれて)ありがとう」が必須。"I am fine."だけでは「元気だけど(それで?)」とまではいかないとしても、ちょっとそっけなさすぎるので、要注意です。また逆に別れ際には "Bye! Have a nice day!"と言われて、返事は"Thank you, you, too!" そうして、また相手が"Thank you"と言って完結。まさに一日中「ありがとう」の連続です。

「ありがとう」と言い忘れると?もちろん大変。お店では店員さんやウェイトレスさんのサービスが悪くなるし、街では「なんて無礼な人なの」という目で見られるし、時によるとこちらが「ありがとう」をミスしたがために、先に「どういたしまして You are welcome」なんてイヤミを言われてしまったりします。

ですから、子どもを社会に出すにあたっては、なによりも「ありがとう」をちゃんと言えるようにすることが先決。私も、英語はもちろん、アメリカ社会の右も左もわからない2歳の娘をプリスクールに出した時ですら、真っ先に教えた英語のひとつが"Thank you!"でした。(ブログ記事『プリスクール初日のキーワード』)

アメリカ中が文字通りお互いに「ありがとう」を言い合うのは『感謝祭 Thanksgiving』です。遠く大西洋を越えて来た祖先が、厳しいアメリカ大陸の自然に向きあって冷害の飢饉に苦しんだとき、手を差し伸べて食べ物を分け与えてくれた先住民を、翌年の収穫のあとお礼の晩さんに招待したのが感謝祭の由来。その時の感謝を忘れず、おいしい食事や暖かな住まいで、家族がともに過ごせることに感謝し、困っている人には誰にでも手を差し伸べるべき日とされています。(ブログ記事『はじめてのサンクスギビング』、『感謝され感謝する感謝の日』、『昔ながらの感謝祭』)

「ありがとう」と言われたら誰でも悪い気がしませんね。実は「ありがとう」には、言われた人だけでなく、言った人をも"気分よくさせる"効果があるのだそうです。

アメリカの心理学者が最近発表した研究によれば(Personal Journal, The Wall Street Journal, 2010年11月23日)、回りの人にいつも「ありがとう」と言って感謝の気持ちを表す成人男女は、そうでない人に比べて、いきいきして活力があり、楽天的で、友達が多く、妬み僻みを感じることが少なく、鬱になりにくく、身体の不調を訴えることが少なく、よく眠り、免疫力が高くて風邪等の感染症にかかりにくいのだそうです。

「ありがとう」の効用は、おとなだけでなく、もちろん子どもにも共通。よく「ありがとう」と言う子どもたちは、そうでない子どもにくらべて、成績が良く、より高い目標を掲げており、友達や家族や学校生活への満足感が高く、頭痛や腹痛などの不定愁訴の訴えが少なく、物欲が低いという調査結果が出ています。

しかも感謝の気持ちは、それを具体的に言葉や行動に表すといっそう効果的なのだそう。「ありがたかった」と心の中で思っているだけでなく、言葉にして、声に出して「ありがとう」と言う方がはるかにポジティブな気分になれるそうですが、さらに口に出すだけでなくお礼の手紙を書くと、気分はもっと強まりしかも長続きするのだそうです。

確かにアメリカでは、プレゼントをいただいたり、お食事やパーティに呼ばれたら、必ず後でお礼状を出すようにと躾られます。最近の心理学の研究成果を待つまでもなく、古人の知恵は「ありがとう」と表現することの効果をちゃんと理解していたということでしょうか。

そして、時には、ほんのちょっとしたプレゼントのつもりだったのに、思いがけない深い感謝を受けることもあります。思い出すたびにちょっと涙ぐんでしまう私自身の経験は20年前のクリスマスのさかのぼります。(ブログ記事『"くるみ割り人形"と遠くへ行った友だち』)




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