クララ紀

せとうち育ちの ゆるいあれこれ
ただいま北関東の田舎に居住中
季節についての記事多め

2016-11-05 06:00:00 | 考えたこと

 万葉集が作られた時代、青を示す言葉はなかった。

 ではどう言い示すか。

 暗い緑、薄い黒と呼んでいたそうだ。

端的に表す言葉が発明されていなかったから、言葉の組み合わせで示していた。

一言で言い表さない、準重要な色。

 人々が日常と世代交代を繰り返し、その度に語り伝えたいことが増えていく過程で、青という言葉が発明された。

しかしその、音にして二字の表現を知っていると、青について考えるときに良い視点を持つことができそうではある。

 青は空、海。

代表的な自然の色。

見飽きることのない、爽やかな色

静的なイメージから、穏やかな死も連想された。

その無力な虚しさと叫ぶような切なさも含む色。


 また、私が青について具体的に語るとき、それは晴れた海を語ることになる。

 どこまでも空間的に広がっていき、空を同じ青色に染め上げる。

沖で一滴の波紋、かすかな揺らぎを生む。

それを陸まで真摯に届ける。

晴れた海は声高に叫ぶことなく、淡々と仕事を積み上げていく。

自らの中の死にいく魚にかまうでもなく、卵から生まれる稚魚に歓喜するでもなく、ただ包み込む。

海にとっては、生き物の始まりや終わりも、何億回と繰り返される日常の小さなひとつなのだ。

 そんな晴れた日の海が、私の青だ。


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