学生時代、例によってショウジョウバエを用いた遺伝学実習を受けたことがある。しかし、私は実習のテーマそっちのけで牛乳ビンの中を飛び回っているハエの交尾を一所懸命観察していた。♂は空中で飛行中の♀の背中につかまるといとも容易に交尾をやってのける。ハエはそのための精巧な神経系を備えているのだろうか? いや、おそらくそうではないだろう。ショウジョウバエという種の身体構造が、♀の背中につかまると腹を内側に曲げるだけで挿入できるようにできているのだ。そのための神経系自体はごく単純なものでよい。
鳥類の翼もそうだ。翼の持つ構造のおかげで鳥類の神経系は単に胸筋の伸縮を命令するだけで揚力を得て推進することができる。またそのおかげで方向転換その他の機能を容易に追加できる。
身体の外形や筋骨格系の構造の合理化とそれに伴う制御系(神経系)の単純化、それによって生まれた制御系機能の余裕の他の役割への割りつけ、これがヒトを含む動物の進化において一貫して進行したことに思える。
鳥類の翼もそうだ。翼の持つ構造のおかげで鳥類の神経系は単に胸筋の伸縮を命令するだけで揚力を得て推進することができる。またそのおかげで方向転換その他の機能を容易に追加できる。
身体の外形や筋骨格系の構造の合理化とそれに伴う制御系(神経系)の単純化、それによって生まれた制御系機能の余裕の他の役割への割りつけ、これがヒトを含む動物の進化において一貫して進行したことに思える。