うみねこ 生命は自発的である

生命は自発的に行動し、その結果帰還してきたフィードバック情報を処理している。情報はこの方法によってしか収集できない。

動くとは選択すること

2006-05-12 12:53:50 | Weblog
 昆虫が飛行しているとする。行く手にコンクリートの壁が迫ってきた。そのままでは昆虫は壁に衝突する。ここでその昆虫にはその壁を避ける、またはその壁にとまるという選択肢が必然的に生じる。そして、その昆虫はこの二つの選択肢のうち一方を必ず選択することになる。しかし、いずれを選択するにしろ、それはどちらかが必ず選択されるという性質の行動ではないので反射であるはずはない。

 一般に、動くとは、ある動作をする、しないを含め、選択することなのだ。ちなみに無生物には選択の余地はない。

構造に情報が埋め込まれている?

2006-05-12 12:52:10 | Weblog
 学生時代、例によってショウジョウバエを用いた遺伝学実習を受けたことがある。しかし、私は実習のテーマそっちのけで牛乳ビンの中を飛び回っているハエの交尾を一所懸命観察していた。♂は空中で飛行中の♀の背中につかまるといとも容易に交尾をやってのける。ハエはそのための精巧な神経系を備えているのだろうか? いや、おそらくそうではないだろう。ショウジョウバエという種の身体構造が、♀の背中につかまると腹を内側に曲げるだけで挿入できるようにできているのだ。そのための神経系自体はごく単純なものでよい。

 鳥類の翼もそうだ。翼の持つ構造のおかげで鳥類の神経系は単に胸筋の伸縮を命令するだけで揚力を得て推進することができる。またそのおかげで方向転換その他の機能を容易に追加できる。

身体の外形や筋骨格系の構造の合理化とそれに伴う制御系(神経系)の単純化、それによって生まれた制御系機能の余裕の他の役割への割りつけ、これがヒトを含む動物の進化において一貫して進行したことに思える。

キレる子ども?

2006-05-12 12:50:46 | Weblog
 先日のNHK「クローズアップ現代」では「キレる子ども」の問題に対して脳科学も乗り出してきたという話をやっていた。選ばれた委員は錚々たるメンバーであることは間違いないし、あの番組で流されたことは現在広く受け入れられている考え方でもあるのだろう。しかし、私は満足できない。

私は「キレる」とは「他者の発する理不尽な言動に対する正当な怒り」ではないか、と思うことが多い。

今の脳科学も「我々は刺激に反応する」というパラダイムに立つので、正当であるはずの怒りまでも抑制するための方法(どのような刺激を与えるか)を模索しているように見える。しかし、問題はむしろ、理不尽で倫理的にも劣る言動を「自発的に」発する他者にあるのではなかろうか。