うみねこ 生命は自発的である

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「抗うつ薬」という名称

2007-03-29 06:45:31 | Weblog
先日も,ある抗うつ薬の臨床試験報告書や添付文書を翻訳したのだが,その薬剤はSNRI(セロトニンとノルアドレナリン両者の再取込みを阻害する,つまりこれらの伝達物質による神経伝達を増強する)ということで,その作用メカニズムがものものしく記載されているが,読んでいくと副作用のセクションに「抑うつ気分,自殺念慮」というのが記載されていた。

この薬剤は抗うつ薬だろう。その薬が副作用として抑うつ気分や自殺念慮を引き起こしてどうするんだ(笑) よくうつ病は重度の時は何もする気が起きないが軽快してくると自殺するだけの気力が湧くので自殺に至るのだと書かれている本があるが,こんなもの,私に言わせると屁理屈である(まぁ自殺念慮と実際に自殺することとは別なので注意が必要ではあるが)。

結局,この種の中枢神経作用薬というものは確かに脳内の生化学環境を変化させる。しかしだからといって,うつ病などの疾患を治療するものではないということだ。「抗うつ薬」,「抗不安薬」等々は医師が薬剤を処方する上で便宜的につけられた名称に過ぎない。

患者が自ら望んで薬漬けになるなど,ばかばかしいことだと私は思う。