第2Qも半分が過ぎていた。
陵南 37
湘北 42
流川がハイペースに得点を重ねる。
『シュパ!』
「3Pーーーー!!!」
「流川が止まらねぇーーー!!!」
イライラが最大級に募っている田岡。
「仙道ーーー!!お前まで、何をやっておるかーーー!!しっかり、ディフェンスせんかーーー!!」
眼が血走っている。
(感情が表に出ない分、どこから攻めてくるかわかりずらい・・・。)
仙道はここまで、流川に3本連続のシュートを許していた。
そして、もう一人イライラ最大級のこの男。
「ごらぁーー!!センドーーー!!しっかり、止めやがれーー!!」
『バシ!』
「仙道を応援するこたぁねぇだろ?花道。」
「しかし、リョーちん!」
「おめーは、仙道を倒した流川を練習で倒せばいい。それだけだ。」
「つまり・・・。」
「流川を倒せば、お前が1番だ。」
「うむ。そうなるな。」
桜木の顔が変わる。
「よし!今日のところは、キツネを応援してやる。ありがたく思え、流川!!」
(はぁ~。面倒くせぇな。)
と苦笑いの宮城。
(どうでもいい。)
と呆れ顔の流川。
陵南 37
湘北 45
「8点差!!」
「流川先輩ーーー!!」
「流川ーーー!!!」
(流川君・・・。)
湘北のベンチが盛り上がる。
「先生。流川の調子がいいですね。」
「ほっほっほ。流川君は今、心身ともに高いレベルを維持している。
ですが、仙道君もまだまだです。仙道君に対しても、自分に対しても、本当の戦いは、これからですよ。」
「流川。だいぶ、成長したようだな。」
「てめーを倒すためだ。」
「だが、もっと成長しないと俺には勝てない。」
「んだと?」
植草から仙道へのパスが通る。
『バシ!』
すぐにボールを弾く。
桜木を抑え、ポジション取りをしている福田の元へ、仙道から絶妙なパス。
『バス!』
福田の粘り強いポンプフェイクから、ネットを揺らす。
「しまったーー!!」
「桜木、抜かれて当然だ。俺のほうが巧い。」
「フク助め、調子に乗りおって!!」
対して、流川。
「逃げやがったな。」
「ふっ。」
仙道は小さく笑った。
陵南 39
湘北 45
「リョーちん!パァーーース!!フク助に負けておれん!!」
(ちっ。しょうがねぇな。)
宮城から桜木に。
「フク助。見ておれ。」
「もう、抜かせない。」
『キュ!』
桜木のフェイクに、素早く反応する福田。
珍しく粘り強いディフェンスを見せる。
「これは、どうだ!!」
桜木がドリブルをついた瞬間。
『パシ!』
「!!!」
「なっ!」
「いただき。」
「センドーーーーー!!!」
「流川さんをマークしながら、桜木さんも止めるとは、なんちゅうディフェンスやーー!!!」
「仙道なら当然!!」
カバーリングしていた仙道が、桜木のドリブルをスティール。
そのまま、ドリブルをしながら、湘北コートに駆け上がった。
「待ちやがれーー!!センドーーー!!」
桜木も追いかけるが、福田が体で進行方向を塞いだ。
「フク助!」
「お前の相手は俺だ。」
(いかせるか!)
仙道と並走する流川。
『ダム!』
仙道の多彩なドリブルワークにも対応している。
だが。
「陵南が速い!!」
「アウトナンバーだーー!!」
いち早くスタートを切った山岡が仙道のサイドについた。
「2対1---!!」
流川が仙道の前に回りこんだ。
「とめろーー!!流川ーー!!」
「流川くーーーん!!」
湘北ベンチの声。
仙道が横目で、左サイドにいる山岡を確認。
そして、左手でボールを後ろへ回す。
(バックビハインド。パスはフェイクで・・・右か。)
流川は、仙道の右手に集中した。
だが、後ろに回したボールは、流川の前には、現れなかった。
『スポ。』
ボールがネットを鳴らす音が聞こえた。
流川が、振り返ると山岡がレイアップシュートを決めていた。
(何が起きやがった・・・??)
「ふっ。」
仙道が再び、小さく笑う。
「わぁぁぁーー!!」
「なんていうパスだーー!!」
「アンビリーバブルやーーー!!!!」
「仙道さん!!!すげーーー!!!」
「センドー!センドー!」
「あっあんなパス・・・、はっ初めて見ました・・・。」
大きな眼をして驚きを隠せない中村。
「まるでNBAでも見てるようだわ・・・。」
と弥生も今映った光景を受け入れられずにいる。
「おいおい!大学でもあんなパスできるやつ、いねーぞ。」
と観客席の三井は、思わず席を立った。
「あはっ。ホントに凄いな。あのツンツン頭は。」
と新庄。
「流川・・・。今のは仕方ねぇよ。あんなパスされちまったらなっ。」
「何が・・・。」
「仙道の前にいた、お前がわからないのも無理もねぇ。
仙道の後姿が見えるやつじゃないとわからねぇさ。」
観客も仙道のスーパーパスに酔いしれいているもの、
何が起こったか全く把握できないもの、両極端になっていた。
「今のはな。仙道が左手でボールを後ろに回した瞬間、右の肘でボールを弾きやがった。
俗にいうエルボーパスってやつだ。お前の逆をついたんだ。」
「エルボーパス・・・。」
「俺は、お前と仙道の得点能力に差があるとは思わねぇ。だが、2人には絶対的な差がある。
それは・・・、パスセンスだ。あいつは、一流、いや超一流のPG並みだ。」
「・・・。」
無言の流川。
宮城と流川が話をしているころ、湘北ベンチでは。
「ポイントフォワード??」
控え選手が声を揃えていた。
「そうです。ポイントフォワードとは、フォワードのポジションにいながら、
ポイントガードの仕事をこなすポジションのことをいいます。
仙道君は、正しくポイントフォワード、そして、流川君が目指す最終型でもあります。」
「今は、仙道のほうが、流川より上ということですか?」
「はい。数段上でしょう。ですが、流川君がこの試合で気づくことができれば近づける、
いや並ぶこともできると私は信じています。」
第2Q開始から、陵南ゴールを果敢に攻めた流川は、第2Qだけで13得点を奪った。
対する仙道は6得点。
流川は、仙道を超える最高のオフェンスと仙道を抑える最高のディフェンスを同時に披露した。
それは、仙道、田岡の予想を大きく上回る流川の攻守にわたる動きであった。
だが、第2Qが終わったときには、陵南がリードを奪っていた。
流川と仙道との圧倒的な違い。
それは、アシスト数。
第2Q、流川の2アシストに対し、仙道は、Fのポジションにいながら、驚異的な7アシストを記録していた。
仙道は、時には自分から、そして、満遍なく味方を動かし、得点させ、一気に逆転させた。
流川は、自らが切れ込み、体力をすり減らし、得点を奪った。
対照的な2名。
チームへの貢献度という意味では、仙道に軍配が上がっていた。
「ぜぇぜぇ。」
涼しい顔の仙道に対し、流川の呼吸は乱れていた。
陵南 59
湘北 56
続く。
陵南 37
湘北 42
流川がハイペースに得点を重ねる。
『シュパ!』
「3Pーーーー!!!」
「流川が止まらねぇーーー!!!」
イライラが最大級に募っている田岡。
「仙道ーーー!!お前まで、何をやっておるかーーー!!しっかり、ディフェンスせんかーーー!!」
眼が血走っている。
(感情が表に出ない分、どこから攻めてくるかわかりずらい・・・。)
仙道はここまで、流川に3本連続のシュートを許していた。
そして、もう一人イライラ最大級のこの男。
「ごらぁーー!!センドーーー!!しっかり、止めやがれーー!!」
『バシ!』
「仙道を応援するこたぁねぇだろ?花道。」
「しかし、リョーちん!」
「おめーは、仙道を倒した流川を練習で倒せばいい。それだけだ。」
「つまり・・・。」
「流川を倒せば、お前が1番だ。」
「うむ。そうなるな。」
桜木の顔が変わる。
「よし!今日のところは、キツネを応援してやる。ありがたく思え、流川!!」
(はぁ~。面倒くせぇな。)
と苦笑いの宮城。
(どうでもいい。)
と呆れ顔の流川。
陵南 37
湘北 45
「8点差!!」
「流川先輩ーーー!!」
「流川ーーー!!!」
(流川君・・・。)
湘北のベンチが盛り上がる。
「先生。流川の調子がいいですね。」
「ほっほっほ。流川君は今、心身ともに高いレベルを維持している。
ですが、仙道君もまだまだです。仙道君に対しても、自分に対しても、本当の戦いは、これからですよ。」
「流川。だいぶ、成長したようだな。」
「てめーを倒すためだ。」
「だが、もっと成長しないと俺には勝てない。」
「んだと?」
植草から仙道へのパスが通る。
『バシ!』
すぐにボールを弾く。
桜木を抑え、ポジション取りをしている福田の元へ、仙道から絶妙なパス。
『バス!』
福田の粘り強いポンプフェイクから、ネットを揺らす。
「しまったーー!!」
「桜木、抜かれて当然だ。俺のほうが巧い。」
「フク助め、調子に乗りおって!!」
対して、流川。
「逃げやがったな。」
「ふっ。」
仙道は小さく笑った。
陵南 39
湘北 45
「リョーちん!パァーーース!!フク助に負けておれん!!」
(ちっ。しょうがねぇな。)
宮城から桜木に。
「フク助。見ておれ。」
「もう、抜かせない。」
『キュ!』
桜木のフェイクに、素早く反応する福田。
珍しく粘り強いディフェンスを見せる。
「これは、どうだ!!」
桜木がドリブルをついた瞬間。
『パシ!』
「!!!」
「なっ!」
「いただき。」
「センドーーーーー!!!」
「流川さんをマークしながら、桜木さんも止めるとは、なんちゅうディフェンスやーー!!!」
「仙道なら当然!!」
カバーリングしていた仙道が、桜木のドリブルをスティール。
そのまま、ドリブルをしながら、湘北コートに駆け上がった。
「待ちやがれーー!!センドーーー!!」
桜木も追いかけるが、福田が体で進行方向を塞いだ。
「フク助!」
「お前の相手は俺だ。」
(いかせるか!)
仙道と並走する流川。
『ダム!』
仙道の多彩なドリブルワークにも対応している。
だが。
「陵南が速い!!」
「アウトナンバーだーー!!」
いち早くスタートを切った山岡が仙道のサイドについた。
「2対1---!!」
流川が仙道の前に回りこんだ。
「とめろーー!!流川ーー!!」
「流川くーーーん!!」
湘北ベンチの声。
仙道が横目で、左サイドにいる山岡を確認。
そして、左手でボールを後ろへ回す。
(バックビハインド。パスはフェイクで・・・右か。)
流川は、仙道の右手に集中した。
だが、後ろに回したボールは、流川の前には、現れなかった。
『スポ。』
ボールがネットを鳴らす音が聞こえた。
流川が、振り返ると山岡がレイアップシュートを決めていた。
(何が起きやがった・・・??)
「ふっ。」
仙道が再び、小さく笑う。
「わぁぁぁーー!!」
「なんていうパスだーー!!」
「アンビリーバブルやーーー!!!!」
「仙道さん!!!すげーーー!!!」
「センドー!センドー!」
「あっあんなパス・・・、はっ初めて見ました・・・。」
大きな眼をして驚きを隠せない中村。
「まるでNBAでも見てるようだわ・・・。」
と弥生も今映った光景を受け入れられずにいる。
「おいおい!大学でもあんなパスできるやつ、いねーぞ。」
と観客席の三井は、思わず席を立った。
「あはっ。ホントに凄いな。あのツンツン頭は。」
と新庄。
「流川・・・。今のは仕方ねぇよ。あんなパスされちまったらなっ。」
「何が・・・。」
「仙道の前にいた、お前がわからないのも無理もねぇ。
仙道の後姿が見えるやつじゃないとわからねぇさ。」
観客も仙道のスーパーパスに酔いしれいているもの、
何が起こったか全く把握できないもの、両極端になっていた。
「今のはな。仙道が左手でボールを後ろに回した瞬間、右の肘でボールを弾きやがった。
俗にいうエルボーパスってやつだ。お前の逆をついたんだ。」
「エルボーパス・・・。」
「俺は、お前と仙道の得点能力に差があるとは思わねぇ。だが、2人には絶対的な差がある。
それは・・・、パスセンスだ。あいつは、一流、いや超一流のPG並みだ。」
「・・・。」
無言の流川。
宮城と流川が話をしているころ、湘北ベンチでは。
「ポイントフォワード??」
控え選手が声を揃えていた。
「そうです。ポイントフォワードとは、フォワードのポジションにいながら、
ポイントガードの仕事をこなすポジションのことをいいます。
仙道君は、正しくポイントフォワード、そして、流川君が目指す最終型でもあります。」
「今は、仙道のほうが、流川より上ということですか?」
「はい。数段上でしょう。ですが、流川君がこの試合で気づくことができれば近づける、
いや並ぶこともできると私は信じています。」
第2Q開始から、陵南ゴールを果敢に攻めた流川は、第2Qだけで13得点を奪った。
対する仙道は6得点。
流川は、仙道を超える最高のオフェンスと仙道を抑える最高のディフェンスを同時に披露した。
それは、仙道、田岡の予想を大きく上回る流川の攻守にわたる動きであった。
だが、第2Qが終わったときには、陵南がリードを奪っていた。
流川と仙道との圧倒的な違い。
それは、アシスト数。
第2Q、流川の2アシストに対し、仙道は、Fのポジションにいながら、驚異的な7アシストを記録していた。
仙道は、時には自分から、そして、満遍なく味方を動かし、得点させ、一気に逆転させた。
流川は、自らが切れ込み、体力をすり減らし、得点を奪った。
対照的な2名。
チームへの貢献度という意味では、仙道に軍配が上がっていた。
「ぜぇぜぇ。」
涼しい顔の仙道に対し、流川の呼吸は乱れていた。
陵南 59
湘北 56
続く。
コメントありがとうございます。
『仙道無双』響く言葉ですね。
いつか、文中内に使わせていただきたいと思います。
大好きです!