goo blog サービス終了のお知らせ 

うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#252 【彩子の不安】

2010-01-12 | #10 湘北 番外編
流川は、昔の出来事を思い出していた。



-----------------------------------------------------------------------

<<回想>>


練習終了後の流川と三井の1on1は、湘北の慣習となっていた。


「ホント、好きだね。あの人たちは。」

と宮城。

「天才の足を引っ張らぬよう、努力したまえ!ハッハッハ!!」


「さぁ、やるか。」

「うす。」

「今のところ、俺の321勝319敗だよな。」

「321勝320敗。」

「けっ。細けぇな。よし、始めようぜ!!」



『ダム!』


『キュ!』



『ザシュ!!』



練習終了後、毎日30分間の1on1を行っていた。

そして、その30分間で、流川は三井に必ずシュートブロック、ドリブルスティールをされていた。



『バス!!』


「よし!!」

拳を握る三井。



(ぐっ、まただ。)

「先輩・・・。なぜわかる?」

「へっ。勘だな!!相手が、強ぇほど勘に頼る。これだ!ははは。」

三井は、胸を張っていった。


(流川は、着実に力をつけている。悔しいが、経験や眼だけじゃ、追いつけねぇ。)


(勘・・・。)



-----------------------------------------------------------------------



「三井先輩・・・。」


「三井先輩・・・。あぁー、あのグラサンの人ね。」

「そうだ。あの人の勘は、センスという言葉だけじゃ、説明が出来ない。
あの人は、まじで凄かった。スティールはもちろん、チャージングも奪った。」

「・・・。」


「流川も柳もわかっていると思うが、全国には数え切れねぇほどの実力者がいる。
もちろん、俺らよりも上のやつもいるだろう。
そんなやつらをディフェンスするとき、たまには勘っやつを信じてディフェンスしてもいいじゃないか。
自分を信じなさい。安西先生の言葉だが、俺はそう捉えたぜ。」


「自分を信じろ・・・。」

「まぁ、俺はわりと勘に頼っていましたけどね。はははっ。」


「よし。だいぶ休んだだろ。じゃ、もう少しやるか?」

「うす。」


「宮城さん、やります?」

「いや、おめーがやれ。俺は指示を出す。」

「へい。」



-----------------------------------------------------------------------



それから、10分後。

体育館の入口には、石井ら2年生と1年生が、立っていた。


「何してんの?体育館使用中?」

と安田が問う。


「やっ安田さん・・・。あれ・・・。」


桑田が、体育館に指を差すと、柳と流川が1on1をし、宮城が大きな声で指示を出す姿があった。



「チース。」


「チース。」


挨拶する安田ら。


『バシ!!』


『バシ!!』



「声が小さーい!!!」



「マネージャー!!」

「あっ彩子さん!!!」


「今日から練習再開よ!!!もっと気合を入れなさい!!!
挨拶はチューーーース!!よ!!」


「チューース!!!」


「うむ。やれば出来るじゃない。よろしい。」


「うわー。彩子さん、気合入っているな。」

「でも、マネージャーはこうじゃなくっちゃ。」

ひそひそする安田ら。



宮城が振り向く。


「おめーら。おせーぞ!スタメン取る気なら、もっと早くきやがれ!!」


「はい!!!」



そして、宮城が大きく挨拶する。


「チューース!!」


続いて、他のメンバーも挨拶をする。


「チューーース!!!」


「ほっほっほ。元気ですね。よろしい。」

安西の登場である。


「宮城君。いつもどおりに進めてください。」

「はい。先生。」




選手らは、軽いランニングを始めた。


「先生。今日は、桜木花道がリハビリセンターに、白田が晴子ちゃんと病院にいっています。」

「うむ。で、どうですか?2人の状態は?」

「白田が全治1ヶ月。桜木花道は、明日から軽い練習に復帰できるようです。」

「そうですか。彩子君、ありがとう。」

「ですが、先生・・・。ただでさえ、うちはインサイドが少ないのに、白田を怪我で欠き、カクは白田と比べると数段落ちる・・・。
そうなると桜木花道の練習相手がいません。
残された時間は、1ヶ月ちょっと、やはり、桜木の成長が全国への鍵だと思うのですが・・・。」

「大丈夫ですよ。もう準備は出来ています。」

「えっ?」

「ほっほっほ。」


安西の準備は、それから数日経った週末に披露されることになった。








続く。

#251 【勘】

2010-01-07 | #10 湘北 番外編
-----------------------------------------------------------------------

<<回想>>


宮城、流川、柳が練習前の自主練習を行っていた。



その頃、あるリハビリセンターでは。



「だいぶ、張りも少なくなってきたわね。明日から軽い運動なら、大丈夫よ。
週末になれば、バスケットもしてもいいわ。」

「そうですか!!さすが、アイアンボディ桜木、治りも庶民どもとは違う!!ハッハッハ!!」


「ただ!!!練習前後のストレッチは入念に行うこと!!
できれば、さする程度でいいから、マッサージも行ったほうがいいわね。」

「マッサージですか?」

「いないの?彼女とか?」

「かっ彼女ですか?」


桜木は、晴子を思い出し、ほわーとする。


(ハッハルコさん・・・。)


「その顔は、片思いね?」

「ぬわ!!かっ片思いじゃないですよ!!りょっ両思いです!!」

「じゃ、なんか見せてよ。お揃いの指輪とは、2人が写っている写真とか。」


(ぬっ。なっなにも・・・。あっ!)


桜木は、おもむろに財布の中に閉まってあった晴子の写真をリハビリの先生に見せた。


「くすっ。」

「なっ何が可笑しいのだ!!」

と慌てる桜木。


「隠し撮りね。うふっ。」


『ギクッ。』


(ばれてる・・・。)

そう、桜木が見せた写真は、昨年、湘北高校柔道部主将青田龍彦から、奪い取った晴子の隠し撮り写真であった。


「でも、この子可愛いよね。」

「そっそうなんですよ!!!ハルコさんは、天使のような存在なんですよ!!!」

「去年も、桜木君のお見舞いに来てたし、頑張れば、彼女にできるんじゃない?」

「そっそうですか!!」

「バスケットも、晴子ちゃんも、両方頑張りなさいよ!!!」

「はっはい!!!」


リハビリセンターの先生との他愛のない話で、桜木のテンションは、上がりまくっていた。


「全国制覇!!そして、ハルコさんを!!!」

(いや、もうひょっとすると彼女なのかもしれん・・・。)にたー。




再び、体育館。



『キュ!』


『キュッ!』


『ダムダム!!』



『ダム!』


『キュッキュ!』



流川と柳の1on1。


流川は、休憩を挟まず、宮城、柳と1on1をしていたため、動きは鈍くなり、柳の優勢が続いていた。


「流川。少し休むか?」

「いや。」

「まだ、練習前だ。そんなに無理することもねぇよ。柳、おめーも少し休め。」

「へい。」


しばし沈黙が続く。


「はぁはぁ。」


流川の呼吸のみが聞こえてくる。


柳は涼しそうな顔をして、ボールを人差し指で回している。


「柳。お前は、息が乱れないな。」

「俺は、体力もありますから。」


(ぬっ。)

流川が眼を光らす。


「やばっ。」

少し焦る柳。


(そういえば、練習中でも、試合中でも、こいつが息を切らすところを見たことがないな。
余りある体力と抜群のスピードか・・・。
同級生だったら、すげーライバルになっていたかもな・・・。
だが、俺は負けねぇ。No.1ガードを目指している俺が、同じ高校の、しかも後輩に負けるわけにはいかねぇんだ。)


「柳。俺は年下だからって、容赦しねぇぞ。」

「???」


そして、宮城が片膝をついて座っている流川に話しかける。


「流川、そのままでいいから、聞いてくれ。」


流川と柳は、黙って宮城の話を聞いている。


「その並外れた身体能力と今までの経験で、高レベルなディフェンスを見せてきた。
そして、陵南戦において、仙道という高い壁を超えるため、攻守にわたり凄い進歩をしたと思っている。
だが、結果的に仙道を超えることはできなかった。」


(ぬっ。)

(その通りっすね。)


「流川はどう思っているかわからねぇが、俺は体力的な問題だけじゃねぇと思っている。」

「・・・。」

「流川さんの体力以外に問題が・・・ある?」


「流川は、日本一の高校生プレイヤーという大きな目標がある。
そのせいか、全てに対して、完璧さを求めている気がする。
日本一=誰にも負けられないという思いが強すぎて、完璧主義者になってしまっている気がする。」


(何が悪い・・・。)

(宮城さん、良く理解しているな。)


「悪いことじゃない。ただ、やっぱ完璧っていうのは無理だと思うぜ。」


(WHY?)

(まぁ、確かにそうかもしれないっすけど。)


「完璧に相手のオフェンスを止められるもんでもないし、完璧に得点を奪えるわけでもない。
特にバスケは、点が動くスポーツだしな。」

「・・・。」


「流川。お前は、仙道の全てのオフェンスを止めようと考えていないか?」

「ったりめーだ。・・・っす。」


「だろうな。確かにそれが一番の理想型だが、現実は難しい。」

「・・・。」


「つまり、宮城さんは、何がいいたいんすか?」


「つまり、全部が止められねぇなら、時として一か八かの勘に頼るのも悪くねぇってことだ。あはっ。」

宮城は笑って答えた。


「・・・勘。」

「勘すか?」

2人の顔に納得の表情は見られない。


「なぁ、流川、思いださねぇか?あの人の感の鋭さを・・・。」


「あの人・・・?」

「誰だ??」


「あの人は、その勘で幾度となく、湘北のピンチを救ってきた。なぁ?」

「・・・。」




その頃、横浜学芸大学の体育館。



『バチィーーン!!』



「また、三井だ!!!」

「あいつ、何個目のパスカットだ!?」

「三井のスティールは、尋常じゃない!!」


横学大キャプテン畑が三井に話しかける。


「お前のパスカットには恐れ入るな。なぜ、そんなに奪える?」

「誘っているのもありますし、その人の癖とかも読んでますけど、やっぱ一番重要なのは、勘じゃないっすかね。
右だ!左だ!っていう勘が沸くんすよ!」

「けっ。俺たちは、三井の勘にやられているのか?」

「まぁ、特に自分より巧い相手とやるときは、感を信じますね。」

「自分より巧い相手とやるときは・・・。先輩へのフォローも巧くなったな。」

「あざす!」

三井と畑は、笑っていた。


「ん!?」

「どうした、三井?」

「いや、なんか呼ばれた気が・・・。」

(誰か俺のことを噂してやがる・・・。)


三井のその勘は、色んなところで、効果を発揮していた。








続く。

#250 【自主練】

2010-01-06 | #10 湘北 番外編
湘北高校が、夢にまで見た選抜県予選初優勝をした日から、2日後。

練習が再開された。



『ダムダム!』


『ザシュ!』



『ダム!』


『キュ!』


『ザシュ!』



体育館に一番乗りを果たしていたのは、流川であった。

額からは大粒の汗を流し、タンクトップは、すでにびっしょりと汗で濡れていた。

流川は、シュートを打ちながら、仙道との決勝戦での1on1を思い出していた。



仙道にあっさり抜かれる自分。


目の前で、アシストされる自分。


倒れる自分。


(ちぃ。センドーとの差・・・。パスや体力だけじゃねぇ。)



『ガラガラ・・・。』


そこへ現れる自称鬼キャプテンこと宮城リョータ。


「相変わらずはえーな。」

「・・・うす。」



『ザシュ!』


『シュパ!』



流川は、宮城に軽く挨拶をすると、シュート練習を再開した。


(愛想がねぇのも相変わらずだ。さすがにもう慣れたけどな。)


体育館の隅に腰を降ろし、バッシュの紐を締める宮城。


「オッレは、リョータ~♪お~にキャプテ~ン~♪」


優勝したことにより機嫌がよいのか、練習が始まることにより機嫌がよいのか、鼻歌を口ずさんでいる。


『キュッ。』


「ん!?」

「キャプテン。1on1いいっすか。」


宮城が見上げると、そこに流川が立っていた。


「珍しいな。だがよ、俺とお前の身長差じゃ、さすがの俺もお前を守るのは厳しいぜ。」

「キャプテンは、オフェンスだけでいいっすから。」

「ん!?」

(ふっ。仙道にやられて、ディフェンスの重要性を感じたってわけか。
意外と努力家だよな。流川って。)にやっ。


「あぁ、いいぜ。アップするから、少し待ってろ。」

「うす。」




体育館へ繋がる通路。


「今日は、桜木と白田が欠席するようだね。」

「桜木は、また背中に違和感が出たらしい。
ほら、仙道のボールを奪って、2回ダイブしただろ?あれが、原因のようだ。」

「桜木は、無茶をするからな。ところで、白田のほうはどうだ?」

「マネージャーの話だと、白田の肩は、骨には異常はなく、ただの打撲のようだ。1ヶ月も安静にすれば、完治するらしい。」

「よかったよ。ホントに。白田がいなきゃ、全国のインサイドと渡り合えないもんな。安心した。」

「あぁ。」

「・・・。」

「あっ!ごめん・・・。カク・・・。」

「いいよ。気にしなくて、シオのいうとおりだから・・・。俺じゃ・・・。」

「何いってんだよ!カク!!全員で勝つって気持ちを持ち続けなくちゃ!」

と力強く安田。

「そうだ。予選でも出場したように、俺たちにきっと出番が来るはず!!」

と目を光らせる潮崎。

「そのとき、100%の力が発揮できるように、俺たちは日々頑張る!!」

角田も拳を握った。

「そういうこと。」

安田が微笑んだ。


高校バスケの最終段階を迎え、3人の意思、絆は、さらに強固になっていった。




体育館の入口には、石井ら2年生と1年生が立っていた。

そこに安田たち。


「何してんの?体育館使用中?」

「やっ安田さん・・・。あれ・・・。」


桑田が、体育館に指を差すと、柳と流川が1on1をし、宮城が大きな声で指示を出す姿があった。



-----------------------------------------------------------------------

<<回想>>


『ダムダム!!』


『キュッ!』


『キュ!!』


『ダム!』



「誰だ?こんな早くに?ちゃんと授業出てるのか?」


『ガラガラガラ・・・。』


(やっぱり・・・。)


柳の目には、汗だくの流川、同じく汗だくの宮城の姿が映った。

流川の目は鋭く、宮城は鬼の形相をしていた。


「チース。」


2人は、柳の存在に気付くことなく、1on1を続けている。


(1on1か。いや、宮城さんはオフェンスだけみたいだな。
流川さんのディフェンス強化が目的か。)


宮城同様に、体育館の隅に座り、バッシュの紐を結び始める。



『キュ!』


『ダム!!』



「はぁはぁ。」



『キュッキュ!』



「ぜぇぜぇ。」



2人は、柳の存在に全く気付かない。


体育館に響き渡るバッシュの音、ボールが弾む音、そして、2人の息遣い。

柳は、悪い気はしなかった。


(いい音だよな・・・。やっぱ、俺、この音好きだな。)


しばらく、目をつぶり、体育館で息を殺す。


聞こえる心地の良い音。


思い出されるミニバスのころの記憶。


純粋にバスケが好きだったあの頃。



そのとき。


『バン。』


「!!」

ボールが柳にぶつかった。


宮城が柳の存在に気付く。


「はぁはぁ・・・。来てたのかよ?なら、挨拶ぐれーしろ。はぁ。」


(いや、したから・・・。)

「練習前の自主練ですか?」

「はぁはぁ。まーな。流川が、1on1やろーっていうもんでな。」

「相当、息あがってますね?」

「んなことねーよ!はぁはぁ。」

「変わりますよ。宮城さん。」


「なっ!!」


「流川さん、俺が相手じゃ物足りないですか?」

「ぜぇぜぇ・・・。どっちでもいい。」


「よし!宮城さん、交代です。」

「バカヤロー!まだ、勝負はついてねぇ!!」

「宮城さんはオフェンスだけ、流川さんはディフェンスだけで、勝負もなにもないでしょ?」

「まぁ、そうだけど・・・。」

「はい。宮城さんは、休んでいてください。行きますよ!流川さん。」

「・・・。」



『キュッ!!』


『ダムダム!!』


『キュ!』



柳は、流川と宮城が行っていた練習を受け継いだ。


(流川さん。スピードじゃ負けませんよ!!)


呼吸の荒い流川が、必死に柳のドリブルについていく。



(スピードのある俺と柳を相手に、ディフェンスの練習か。これは、かなり効果があるんじゃねーか。
しかも、これを毎日持続すれば、流川に体力もつく。
うむ。いい練習だぜ!!さすが、No.1キャプテンの俺!)にやり。

流川の発案を自分の手柄とした宮城。


宮城、流川、柳の自主練はまだまだ続いた。








続く。